元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

晩秋の北九州市のオーディオフェア(その2)。

2011-11-18 06:23:22 | プア・オーディオへの招待

 当イベントにおけるピュア・オーディオ機器の展示は、正直言ってあまり目を引くものがなかった。同じ主宰者が春に福岡市で開催するフェアと比べると随分と小規模であることがその理由かと思うが、規模が小さいがゆえに参加者個人のリクエストを受け入れてしまうことも、ある意味問題かと思う。

 参加者の希望を聞くことのどこが悪いのかと言われそうだが、このイベントに来ているのは少人数ではない。特定個人のリクエスト通りに機器をセッティングして鳴らすと、その参加者は満足かもしれないが、他の機器を聴きたい別の入場者は“手待ち”の状態になってしまう。しかも、機器の接続等には時間が掛かり、その分視聴時間が削られることになる。

 かくいう私も聴きたい機種があったのだが、先に来ていた別の客達のリクエストが先行していたため、とうとうそのサウンドに接することは出来なかった。ここはやはり機器ごとにデモの時間割をキチッと決めて入場客に周知する方が、数段効率的かと思う。

 そんな中でも印象的だったモデルをあえて挙げてみると、まず思い付くのがこの主宰元が重点的にプッシュしているドイツのMUSIKELECTRONIC GEITHAIN社のスピーカーである。今回は新製品のME100を聴くことが出来た。

 主にスタジオモニターを作っているメーカーなので、音に余計な色付けは見当たらない。ただし決して無味乾燥なサウンドではなく、温度感があって明るい音色展開で楽しく聴かせる。もっとも録音の悪いソフトはそのまま目一杯低音質で再生してしまうため、ポップス系が好きなユーザーは要注意だろう。

 英国B&W社の800シリーズはニュートラルな性格で一種リファレンス扱いされているスピーカーであり、私も何度かその実力を目の当たりにしている。通常このようなイベントでは同社が開発用に使っているというカナダのCLASSE社のモデルや、我が国における輸入代理店のMARANTZのアンプでドライヴされているのだが、今回は珍しく国産の雄ACCUPHASEのアンプで駆動させていた。そして、両者の相性がけっこう良い。

 B&Wの特徴である“奥に広がる音場”を、ACCUPHASEが緻密にバックアップするという感じで、実に見通しの良い音空間が現出する。リスナーによっては“高音にエッジが立ちすぎる”と感じるのかもしれないが、ケーブルと電源の見直しによってカバー出来るかもしれない。私もACCUPHASEの製品のオーナーなので、B&Wは次のスピーカーのグレードアップ候補になりそうな案配である(まあ、いつの話になるか分からないが ^^;)。

 米国AUDIO MACHINA社のコンパクト型スピーカーCRMの良質なパフォーマンスに関しては、以前の書き込みでも紹介したが、今回のフェアではサブウーファーのCRSと組み合わせてのデモが行われた。伸びやかな中高音に加えて骨格の太い低音が加わり、ますます完成度は高まっているように思える。

 しかし、同社の製品はあまりにも高価だ。決して高級感があるとは言えない外見も相まって、いわゆる“お買い得感”は限りなく小さい。改めて思うのだが、どうしてオーディオ機器というものはこうも高いのだろうか。

 もちろん、いくら高い商品を製造しようと、それは生産者側の勝手である。ただし、幅広く顧客を獲得しなければならないディーラーとしては、高額機器の展示ばかりでは中長期的に見て先細りになるのは必至だ。過去のアーティクルにも書いたように、この分野にとって大事なのは“ハイエンドフェア”ではなく“ローエンドフェア”なのだと思う。

(この項おわり)
コメント
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