元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「カウボーイ&エイリアン」

2011-11-13 06:36:23 | 映画の感想(か行)

 (原題:Cowboys & Aliens)突っ込みどころは満載だが、妙に憎めない映画だ(笑)。これはやはり、西部劇とSFとのコラボレーションというアイデアがモノを言っているのだろう。穴だらけの作劇も、西部の荒野を吹き渡る砂塵をバックに展開すると許してしまいたくなるのだから面白い。

 19世紀のアリゾナ州。ある男が沙漠の真ん中で目を覚ます。記憶を失っており自分が誰かも分からない。気が付くと片方の手首には正体不明の手枷がはめられている。何とかたどり着いた小さな町は強権的な元軍人の牧場主が牛耳っており、男は歓迎されることもない。そんな中、町の上空から謎の飛行物体が襲い掛かってきて、人間を次々と攫っていく。すると男の手枷が自動的に“反応”して飛行物体を撃墜。かくして西部の片隅で、地球人対エイリアンのバトルが幕を切って落とされる。

 くだんの男は一度は異星人に誘拐されたが、何とかエイリアンのアジトから逃げてきたらしい(その時に記憶を一時失っている)。しかし、脱出した過程は一応は示されるものの、どうしてあのような結果になるのか分からない。そもそも、エイリアンの基地からの“抜け道”があること自体が噴飯ものだ。

 異星人側にしても、地球人を攫う理由が不明。さらに彼らはここ一番の戦いの場になると、素手で襲いかかってくるのだ(爆)。それでも人間よりは腕っぷしは強いのだが、飛行メカも操る科学技術を持っていながら、どうして丸腰で立ち向かってくるのか釈然としない。

 しかもこいつらのデザインが“どこかで見たような御面相”だったりするのだから呆れる。製作総指揮にスピルバーグ、製作にロン・ハワードが関わっていながら、この体たらくだ。しかしながら、本作の雰囲気は決して嫌いではない。絵に描いたような西部の町と、悪党に保安官にインディアンという、これまた絵に描いたような顔ぶれが画面に現れるだけで嬉しくなる。

 主演のダニエル・クレイグは往年のスティーヴ・マックイーンばりの不貞不貞しさで西部のならず者に成り切っている。ジェームズ・ボンドよりもこっちの方が良い。町のボスに扮するハリソン・フォードも実にカウボーイ・ハットが似合う。この両人で改めて本格西部劇を作って欲しいものだ。

 ジョン・ファブローの演出はテンポが良く、とりあえずは観客を退屈させないで最後まで引っ張っている。難しい事を考えずに、ヒマつぶしに観るにはもってこいのシャシンかもしれない。
コメント
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