元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「イギリスから来た男」

2011-08-12 06:29:58 | 映画の感想(あ行)
 (原題:The Limey )99年作品。長い刑務所暮らしを終えて出所したかつての極道男が、ひとり娘が事故死した真相を確かめるべくハードボイルドに立ち回る。監督はお馴染みスティーヴン・ソダーバーグだ。

 テレンス・スタンプのクソジジイぶりが痛快。非常にジェントルでいて、しかも絶対にカタギに見えない雰囲気を漂わせることができるのは、彼しかいないだろう。特に、悪者たちに通りに放り出された彼が、ピストル片手に飄々と建物の奥に消えて行く場面の何たるカッコ良さ。ファッションもピタリと決まっている。

 そして悪役に回ったピーター・フォンダの“60年代の不良の残滓”をまとった海千山千ぶりも見もので、この二人の出演場面だけで十分入場料のモトは取れる。

 ただし、ソダーバーグ監督によるカットバックの過剰使用によるチラチラとうるさい画面展開は願い下げ。いくら長回しでサスペンスを生み出すのが苦手な作家とはいえ、こうも頻繁にやられると、イライラしてきてストーリーを追うのが辛くなる。監督の人選を誤ったか? なお、テレンス・スタンプが68年に主演したケン・ローチ監督作「夜空に星のあるように」を巧みに引用しているのはユニークで効果的だった。
コメント
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