元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「MONDAY」

2009-12-17 22:15:09 | 映画の感想(英数)

 2000年作品。ごく普通のサラリーマンが、酔った勢いで起こしてしまった連続殺人事件を描いたコメディだが、さっぱり盛り上がらない。

 たぶん脚本段階では面白かったのだろう。それを映像化する際に“キャストの自然なリアクションを期待する”とかで必要以上に各シークエンスが間延びし、結果として少しも笑えない。映画におけるギャグとは、多くの場合“計算されたタイミングとハッタリと力技である”と信じている私にとって、キャストの不愉快な猿芝居におんぶにだ抱っこ状態のこの作品のコンテンツは唾棄すべきものでしかない。

 しかも、それを全編延々と引っぱったせいで、終盤のオチ(らしきもの)が全然サマになっておらず、出るのはタメ息とアクビだけ。しかも長い。

 主演の堤真一をはじめ松雪泰子、大河内奈々子、西田尚美、安藤政信、大杉漣と多彩な顔ぶれを揃えているだけに、実にもったいない。もしも同じネタをTVドラマで気の利いたディレクターが手掛ければ、30分もかからないだろう。サブ監督も、「ポストマン・ブルース」が面白かったぐらいで、あとは完全に地べたを這いずり回っている感じだ。俳優業に専念した方が良いと思う。

 ただし、このドラマの前提だけはちょっと興味深い。主人公が月曜日の朝に見知らぬホテルの一室で目覚める、昨晩は酔っ払って何をしていたか憶えていない、すでに勤め先では業務が始まっているだろう、一週間の始めから出遅れてどうする・・・・といった切迫した心境に陥る。でもその反面“どうでもいいじゃないか”といった捨て鉢な気持ちにもなる。

 このやるせない“サラリーマンにとっての月曜日”の空気感を鮮明に描き出したのは、本作の唯一の取り柄だと言って良いだろう。私だって月曜日の朝は、何もかも放り出してしまいたい衝動に駆られることも時折あるのだ(笑)。
コメント
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