元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」

2009-12-14 06:22:47 | 映画の感想(さ行)
 (原題:The Royal Tenenbaums)2001年作品。離散した天才一家の再生をユニークに描く人間ドラマ。かつて著名な弁護士であったが今はプータロー生活を送っている当主のロイヤルが、自分があと6週間の命だとウソをつき、家族の関係を修復しようとする話。結論を言えば、つまらない。

 ストーリーは月並みでギャグは上滑り。ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ベン・ステイラー、グウィネス・パルトロウ、ダニー・グローバー、ビル・マーレー、オーウェン・ウィルソンetc.といった豪華キャストを集めたわりにはドラマの密度が実に低く、各人することもなく漫然とラストを迎える。どう見てもただの腑抜けた変則ホームドラマであり、監督のウェス・アンダーソンとかいう奴には才能はない。

 ではなぜこの程度のシャシンに有名俳優が大勢出演し、かつまた本国で高い評価を受けたのか。それはたぶん“目新しさ”だと思う。頭の中だけで考えたような非日常的キャラクター設定と意表を突いた(ような)展開。特定色に偏った画調に紙芝居のようなシークエンスの積み上げ。これにウケを狙っただけの衣装と幾分マニアックな既成曲から成る音楽を加えて“ハイ、ちょっとオシャレな映画がいっちょあがり”という手口は、日本やヨーロッパでの映像オタクによる自己満足作品と同等である。

 しかし、これをアメリカ映画でやろうとしたら思いがけず好事家の注目を浴びてしまったと・・・・まあ、そんなところだろう。観る価値はあまりないと思う。
コメント
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