元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「曲がれ!スプーン」

2009-12-04 06:19:11 | 映画の感想(ま行)
 まず、長澤まさみの映画界での立ち位置について考えてしまった(笑)。近年台頭著しい若手女優群の中にあって、出演映画はコンスタントに作られるものの、イマイチ存在感がない。それは彼女が東宝シンデレラ出身であることが大きいと思う。文字通り“シンデレラ”の扱いを受けるため、思い切った役柄が充てられないのだ。

 彼女の出演作全部を観ているわけではないが、私が接した作品だけでもすべて毒にも薬にもならない微温的な仕事ばかりである。この分では東宝シンデレラの先輩の沢口靖子のように、味が出てきたと思ったら40歳超えていた・・・・という事態になること必至だ。人気のあるうちに演技の幅を広げた方が良い。まあ、とりあえず脱いでみるというのも、有力な手段かと思われるが・・・・(激爆)。



 さて本作は「サマータイムマシンブルース」と同じく、劇団「ヨーロッパ企画」の出し物の映画化だ。普段はその超能力をひた隠しにして生活しているエスパー達が、とある喫茶店に集まってクリスマスパーティーを開こうとしたところ、思わぬ手違いで“(自称エスパーだけど実は)一般人”の男が一人紛れ込んでしまう。超能力の存在を知ってしまった彼に対し、どう“口封じ”をしようかと思案するエスパー達。必死で逃げようとするくだんの男。虚々実々の駆け引きがブラックな笑いを呼び込む。

 そこに現れたのが長澤扮するテレビ局のオカルト番組のADで、彼女はネタを探しにその“一般人”に会いに来たのだった。思わぬ異分子の乱入でドラマはもっと盛り上がる・・・・はずなのだが、長澤演じるキャラクターの造型が(長々とした説明にもかかわらず)十分に練り上げられていない。文字通り取って付けたよう設定に加えて、長澤自身が突っ込んだ演技をしていないし、スタッフもそれを期待していないフシがある。



 これがもしも長澤の役どころを上野樹里や綾瀬はるかが演じていたら、お笑いの空気があたりに充満していたところだが、長澤にとっては“笑いを取る”ことはハードルが高すぎる。上野樹里が出ていた「サマータイム~」とのヴォルテージのあまりにも大きな差は如何ともしがたい。

 それでも「ヨーロッパ企画」の面々は全然馴染みのない顔ぶれであるにもかかわらず、全員イイ味を出している。寺島進やユースケ・サンタマリアら脇のキャラは適材適所だ。本広克行の演出は今回“軽くこなした”という程度だが、舞台になる香川県の小都市の風情が効果的。音楽も悪くない。長澤の拙い仕事ぶりに目をつぶれば、そこそこ楽しめるシャシンであることは確かだろう。
コメント (2)
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