元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「デスペラード」

2008-10-15 06:34:20 | 映画の感想(た行)
 (原題:Desperado )95年作品。正直言って、ロバート・ロドリゲス監督によるこの前の作品「エル・マリアッチ」の方がはるかに面白い。理由は明白で、意外性における差である。

 前作の主人公は、最初は文字通りのマリアッチ(ラテン系の“流し”みたいなもの)であり、ギターケースを間違えたことからマフィアの抗争に巻き込まれ、大立ち回りをやるハメになる。いわば素人が活劇のヒーローになる意外性の面白さが一つ。そして主人公と恋仲になるギャングの情婦との関係に代表されるような、通常の恋愛ルーティン(なんじゃそりゃ ^^;)を無視した展開。そして何より、70万円の超低予算であれだけのキレたアクションと非凡なイメージ・ショットをてんこ盛りにして、ハリウッドの大作アクションを凌ぐ娯楽作に仕上げてしまったR・ロドリゲスという才能の、極めつけの意外性が光っていた映画だった。

 対して続編である本作はどうか。かなりの製作費がかかり、主演にアントニオ・バンデラスを起用し、音楽はロス・ロボスで、ゲストにクエンティン・タランティーノまで引っ張り出した話題作でありながら、いまいち迫ってくるものがない。

 今回主人公は素人ではなく、最初からスゴ腕のガンマン(?)として登場。ギターケースに銃火器を詰め込み、一人で何十人もの敵をあっという間に片付ける。相手の弾は全然当たらず、こちらの銃弾は百発百中。スローモーションを駆使したド派手な活劇場面やら、カロリーの高そうな女との濡れ場とか、マフィアのボスとの因縁話など、見せ場を山盛りにして退屈はさせない。たぶん前作を観ていなかったらけっこう楽しめたと思う。

 でも、バンデラスの濃い顔が出てきただけで、これはスーパーヒーローが活躍するアクション物だという映画の外郭が出来てしまい、突き抜けた面白さは期待できなくなるのだ。この窮屈さは、ラスト近くに二人の助っ人が登場するシーンを除いて、全編にわたっている。基本的にスタローンやシュワ氏の路線に近くなってしまった。ならばマリアッチらしく“歌”で勝負したかったが、前作ラストで手のひらを撃ち抜かれているのでギターが弾けない(この設定は失敗だった)。それにしてもタラン氏が出てきてすぐに消えてしまうのは少し残念である(^_^;)。
コメント
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