元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第5回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その3)

2008-04-18 06:33:22 | プア・オーディオへの招待

 この催しにはヴィジュアル部門の展示もある。ハイヴィジョン用ディスクの規格がブルーレイに統一されたせいか、以前のイベントならばNHKのハイヴィジョン放映を録画したものなどを流していたのが、今回は市販ディスクを採用してのデモばかりだ。すでにアメリカでは映画のブルーレイディスクが日本円にして2千円ほどで売られているらしく、DVDからの移行はかなりの短期間になると予想される。

 高精細プロジェクターも数年前に比べて価格も下がってきているし、ここでデモされていた120インチのスクリーンとDLP方式(あるいは、それと同等のスペックを持つ機器)のプロジェクターという組み合わせは、一戸建て(特に新築時)におけるホームシアターの“定番”になるだろう。ただし、会場では画像抜きの音声だけのパフォーマンスも行われたが、どんな高価なAVアンプを揃えようと、サウンドだけならばその4分の1あるいは5分の1の価格のピュア・オーディオ用ステレオアンプの音質しか得られない。AVシステムとピュア・オーディオシステムとは別個に揃えるのがベターだ。

 あと、アナログコーナーも新設され、アナログプレーヤーの新作も数多く展示されていた。80年代にCDが市場に現れてから“もう長くはない”と思われていたアナログレコードは、今でもしっかり生き残っているだけではなく、新たなファンも獲得している。CDプレーヤーと比べてアナログプレーヤーはユーザー側で手を加えられる余地が相当大きく(何しろ、カートリッジから出力される「リード線」と呼ばれる細く短いケーブルを替えるだけでも大きく音は変わるのだ)、趣味性はかなり高い。今後も音楽メディアの一角を担うことになるだろう。それにしても、米国McIntosh社の新作プレーヤーのデザインには笑ってしまった。

 さて、例年になく賑わった今回のイベントだが、あくまでも「ハイエンドオーディオフェア」であり、普通のカタギの勤め人が気軽に手を出せる価格帯のものは最初から対象外になっていたのは不満だった。もちろん、オーディオ好きにとって各社の最上位クラスのものを聴くのは楽しいが、オーディオファンなど音楽ファン全体からみればごく一部である。再生装置の質にはまるで関心のない大多数の層を取り込むイベントを開く方が、よっぽど業界のためになるのではないか。

 たとえばiPodなどの携帯プレーヤーからどれだけのパフォーマンスを引き出せるか検証したり、ミニコンポと廉価版ピュア・オーディオシステムとの聴き比べをやったり、コンポに付属しているケーブルと市販ケーブルとの性能の違いを明らかにしたり・・・・といった、一般ピープル(特に若年層)にも身近に感じられる分野から積み上げるイベントがあってもいい。いわば「ハイエンド」ならぬ「ローエンドオーディオフェア」(笑)みたいなのを開いたらさぞや面白いだろう。

 また、会場の福岡国際会議場は広々とはしているが、交通アクセスがあまり良くない。ここは天神のような繁華街で開催してもよかった。ついでにモーターショーみたいにキャンペーンガール(もちろん、露出度多め ^^;)を多数配備すれば、それ目当てのオッサンどもやカメラ小僧なんぞも多数動員出来て大層な賑わいになると予想できる(激爆)。ともあれ、昨今のオーディオ不況にあって、限られた愛好者を相手にするのもいいが、もっと顧客の幅を広げるような施策を打つことも大切ではないかと思う今日この頃だ。

(この項おわり)
コメント (2)
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