元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「グリーンマイル」

2008-04-01 06:46:27 | 映画の感想(か行)
 (原題:The Green Mile)99年作品。不思議な力を持つ黒人の死刑囚と、彼と心を通わせる看守の姿を描いたヒューマン・ドラマ。スティーヴン・キングの同名小説の映画化で、その年のアカデミー作品賞にノミネートされている。

 公開当時は評判になった映画だが、私はまったく評価しない。尿道炎に苦しむ看守主任に扮するトム・ハンクスのわざとらしい善人ぶりと“ある力”を持った黒人の善良っぽい囚人(マイケル・クラーク・ダンカン)という図式あたりまでは我慢できたが、囚人をいじめるのが趣味の看守が出てきて乱暴狼藉をやるに及んでは作者の安っぽい意図が感じられてタメ息が出てきた。

 知事夫人のコネを傘に着て残酷な行為を楽しむ看守と、善良だが無知でいじめられる囚人(そして囚人に同情する正義漢っぽい看守)。当然、この悪者看守は天罰を受けるけど、そんな展開でカタルシスを受けるほどこっちは脳天気ではない。よく考えると、乱暴な看守と死刑囚というのは、どっちが根本的に悪いのか・・・・というと、死刑囚に決まっている(冷然)。その“善良っぽい死刑囚”に黒人とインディアンとフランス移民といったマイノリティを設定するというのもクサい。だいたい、看守に天罰をくだすヒマがあれば、冤罪の張本人であるゲイリー・シニーズ弁護士を地獄に落とさんかい!(爆)

 しかも、キビキビとやれば2時間ほどで終わる話を、どうでもいいようなエピソードをだらだら並べて3時間も引き延ばし、終盤は聖書のパクリみたいな芸のなさだし、ラストなんて観客をバカにしているのかと思ってしまった。どうも本作はエセ・ヒューマニズムの匂いがして愉快になれない。

 監督は「ショーシャンクの空に」で一躍名を挙げたフランク・ダラボンだが、2作目にしてこうもヴォルテージが落ちるのかとガッカリした。まあ、その他の感想は以下に箇条書きしておこう。
1.ネズミの曲芸は良かった。
2.尿道炎って辛そうだ。
3.アステア&ロジャースはやっぱり最高だ。
コメント
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