いつもユニークなプログラムを提供してくれるノットさんですが、今回も珍しいカップリングです。前半は、アルトサックスやドラムが入ってジャズ風の香りが漂う現代曲。後半はクラシックの王道とも言えるベートーヴェンの交響曲。演奏会が終わっても、この組み合わせの意図は、私にはわからずじまいでしたが、満足感の高いコンサートでした。
冒頭の「タクシードライバー」は懐かしさが一杯。中高生の時に、上映される名画座を見つけては観に行き、デ・ニーロの渋さに痺れてた思い出が詰まってます。もう久しく観てないけど、サックスの調べを聴いて無性に見たくなりました。
2曲目の「パニック」は、弦楽器抜きのオーケストラとサックス、ドラムで繰り広げられる大宴会。正直、私の理解を超えた音楽でしたが、嫌いでないです。普段の演奏会でも、こういう曲がもっと取り上げられて良いのにと思います。
休憩後はベートーヴェン交響曲第8番。こちらは、王道の演奏。ノットさんの8番は、明るく、色彩に富んだ音楽。造形が明快で、聴いていて気持ちが良い。東響もノットさんの激しい指示にしっかり応えてました。
1時間半強で終わりとなり、「軽め」のコンサートとなりましたが、中身は充実してました。ただ、このオペラシティシリーズはいつも聴衆が7割程度しか埋まりません。この日は、結構な雨ということもあってか、6割強ぐらいの入りに見受けられ残念です。それでも、拍手や歓声はいつもの通り暖かく大きなものでした。アットホームないい雰囲気のシリーズですので、お勧めですよ。
東京オペラシティシリーズ 第97回
2017年05月13日(土)14:00 開演
東京オペラシティコンサートホール
出演
指揮:ジョナサン・ノット
アルト・サクソフォン:波多江史朗
ドラムス:萱谷亮一
曲目
ハーマン/パーマー編:「タクシードライバー」〜オーケストラのための夜の調べ
バートウィッスル:「パニック」〜アルト・サクソフォン、ジャズ・ドラムと管打楽器のための酒神讃歌
ベートーヴェン:交響曲 第8番 ヘ長調 作品93
Title
Tokyo Opera City Series No.97
Date: Sat. 13th May 2017, 2:00p.m.
Hall: Tokyo Opera City Concert Hall
Artist
Conductor: Jonathan Nott
Alto saxophone: Shiro Hatae
Drums: Ryoichi Kayatani
Program
B.Herrmann/C.Palmer : "Taxi Driver" A Night Piece for Orchestra
H.Birtwistle : "Panic" a dithyramb for alto saxophone, jazz drummer, wind, brass and percussion
L.v.Beethoven : Symphony No.8 in F major, op.93