その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響2月A定期/指揮:パーヴォ・ヤルヴィ/ブルックナー交響曲第7番 ほか

2020-02-18 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

Yahoo Japan社がコロナウイルス流行を踏まえ、100名以上の集まりにはプライベートも含めて参加を自粛せよというお達しを社員に出したというニュースを聞いて、行くべきかどうかを一瞬考えた(この指示そのものは素晴らしい危機管理施策だと思う)が、パーヴォさんの登壇でもあり迷わず渋谷へGoとなった。

前半は2019年に生まれたばかりの新曲のご披露。数十年前はもっとN響も初演曲をやっていたような朧げな記憶があるのだけど、最近は随分少なくなった印象。日本で初めて演奏される曲だと思うだけでワクワクする。
現代曲としては比較的聴きやすい音楽ではったものの、単純・明快というわけではない。なので、正直1回きりの視聴では私の理解の範疇を超えていた。それでも、この曲が献呈されたシュテファン・ドールさんの美しいホルンの音色に引き込まれた。是非、また聴いてみたい作品である。

後半はブルックナーの交響曲第7番。あまり聴いてないブルックナーの中では、7番は一番なじみがある曲だ。それでも実演に接したのは人生数度である(ただこれは自慢めいていて恐縮なのだが、最初のブル7体験が学生時代にアメリカで聴いたテンシュテット指揮のフィラデルフィア管弦楽団の演奏だったというのは、一生の宝物)。なので、イメージだけの話をしているのだが、今回のパーヴォさんの7番は、これまで持っていた岩のようにごつごつしたブルックナーの交響曲とは対極と言って良いような、透明感ある純粋に美しい音楽でびっくりだった。N響のアンサンブル力がフルに活かされ、かつ金管陣の音が私の3階席に向かってぐんぐん伸びてくるライナーのように飛び込んでくる。実に幸せな60分余りだった。

N響はこの曲を2月下旬からは始まるヨーロッパツアーでもご披露されるらしい。良い悪い抜きで音楽の精神性というよりも構造や機能性が浮き出た演奏だった気がしたのだが、欧州の聴衆にはどう聴こえるだろうか?彼らの反応も楽しみである。パーヴォさんのもとで、N響は決してそこいらの欧州オーケストラには負けない力をつけていると思う。是非、欧州ツアーを成功にさせてほしい。

第1935回 定期公演 Aプログラム
2020年2月16日(日)開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

アブラハムセン/ホルン協奏曲(2019)[NHK交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、 NTR土曜マチネ、シアトル交響楽団、オークランド・フィルハーモニー管弦楽団共同委嘱/日本初演]
ブルックナー/交響曲 第7番 ホ長調

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ホルン:シュテファン・ドール

No. 1935 Subscription (Program A)
Sunday, February 16, 2020 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Abrahamsen / Horn Concerto (2019) [NHK Symphony Orchestra, Berliner Philharmoniker, the Zaterdag Matinee, Seattle Symphony Orchestra and Auckland Philharmonia Orchestra cocommissioned/ Japan Première]
Bruckner / Symphony No. 7 E Major

Paavo Järvi, conductor
Stefan Dohr, horn


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