その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

十勝で人間の業について考える 十勝千年の森&ばんえい競馬:2022北海道旅行(2)

2022-08-16 07:30:45 | 旅行 日本

2日目は、10時過ぎまで宿でダラダラしてから十勝地方の見どころを2箇所訪れました。

【十勝千年年の森】

数多い十勝地方のガーデンの中で、宿をとった新得町の隣町清水町にある十勝千年の森を訪問。広大な土地に、アースガーデン、フォレストガーデン、メドウガーデン、ファームガーデン、HGSデザイナーガーデンの5つが整備されています。「未来へ遺す、未来に引き継ぐ」をコンセプトに自然との共生を謳う素晴らしい庭・森の環境です。

ぶらぶらと散策するもよし、お弁当持ってピクニックも良し、東京近辺ではあり得ないオープンでフレッシュな環境に心身ともに解放されます。厚い雲がかかった日で見通しが悪かったのが残念でした。天気がよければ、日高山脈と一体化した丘がもっと美しく輝いていたことでしょう。

広大な敷地をセグウエイを使って回るガイドツアーがあり、興味をそそられましたが、この日は全て予約で一杯。セグウエイツアーを目的にする人は、事前の予約をしたほうが良さそうです。

【清水町 そば処三品】

新得町や清水町ではソバ畑をいたるところでみかけます。丁度、白い花が畑一面に咲き誇っている時期ですので新そばには時期尚早ですが、真っ白な蕎麦畑を観て、蕎麦を食べたくならない人はいません。清水町の案内パンフを観て入った蕎麦屋さんの蕎麦は絶品でした。


<新得町 蕎麦ロード風景>

絶妙の茹で具合で、仄かに香る蕎麦、濃すぎず薄すぎずのかつおだしの利いたつけ汁、そして写真には無いのですが、柔らかいゴボウの天ぷらが絶品。お店に入った瞬間、ゴボウを揚げる匂いが香るというお店に相応しい、美味のゴボウでした。

北海道の蕎麦がこんなに美味しいとは、これまで露知らず、大感動の蕎麦体験でした。


<市販のガイドにブックには載ってないと思いますが、是非行くべしです>

 

【ばんえい競馬 とかち】

蕎麦で大満足の後は、帯広まで足を延ばして、北海道開拓の名残を残すばんえい競馬を観戦。何百キロというそりを引いた馬が2つの小山の障害を越えて200Mの直線コースを走り抜けるレース。この日はイベントデーらしく入場は無料で、多くの人で賑わっていました。地元の人が殆どのように見えましたが、若いカップル、友達同士、家族連れ、競馬好きおじさんなどなど、バラエティに富んでいます。


<帯広競馬場入口>

府中競馬場で見るサラブレッドとはまったく種類が違う、強く逞しい馬は迫力満点。馬券オッズやレース前のファンファーレなどは通常の競馬と同じですが、レースは随分違ってます。スタート後、1つ目の小山を上り下りしたまでは通常のレースなのですが、最大障害となる2つめの小山を上る前で一休み。馬が山を駆け上る気合と体力を整えるために必要な間とのことですが、出走馬が全部揃って仕切り直しのようで、これはタイムレースではないか???それまでの早い・遅いは何だったのか・・・と驚きでした。

最大のクライマックスは、この第2障害の小山を上る際の馬と騎手の凄まじい必死さ。騎手が掛ける気合やムチが馬に襲い掛かり、馬も必死の形相で駆け上りますが、上り切れない馬もいます。あまりのハードワークと鞭打つ激しい音に、府中の中央競馬しか観てない私は、馬が可哀そうでとても正視できないくらい。


<最大の第2障害。写真だと迫力伝わらず残念>

う~ん、よそ者の感傷をあざ笑うような厳しい当地の人間の娯楽。Wikiによると「ばんえい競馬の起源は木材を運び出していた馬の力比べとされており、北海道開拓期より各地で余興や催事として行われていた」とのことですから、北海道の歴史と文化の一部と言えるでしょう。中途半端なコメントはちょっとできないものを感じつつも、ちょっと素直には楽しめない自分は1レースで会場を後にしました。

未来を見つめ自然と人間の共生をテーマとする十勝千年の森。北海道の厳しい自然を家畜の力を借りて切り開いて来た人間の歴史と文化と言えるばんえい競馬。ともに大切である中で、今を生きる自分たち人間の難しさをちょっと感じた1日でありました。

2022年8月7日

コメント
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