最近、日に日に寒くなってきているので、夜の試乗は上着が必要です。
点検整備と修理でお預かりです。現状が不明なので、各部点検から始めます。
バッテリーは、MFタイプでしたので、電圧と容量を測り、平気そうでしたので、エンジン始動前と始動後(ヘッドライト消灯時)の電圧です。充電系は、平気そうです。中古車で購入されたようですが、各部の部品類が年式バラバラです。キャブレターを脱着した際に、アクセルワイヤーのステーが曲がっているのと、ホース類が全く違うところに出ています。
フロント&リアブレーキ、クラッチのフルードですが、クラッチはエンジン側の液漏れのため、新しいフルードが補充されていますが、劣化した部分は底に残っています。フロントとリアブレーキは、交換時期不明ですが、しばらく変えていなさそうです。
エンジン側のクラッチレリーズ(プッシュレバーコンプ)からフルードが漏れています。クーラント漏れも過去にあったようでサーモスタット周辺が液状ガスケットで補修されています。 フロントフォークオイルは、トップキャップが錆びているので、しばらく交換していないようです。
入庫時に、空気圧がフロント0.5、リア0.9でした。空気圧が入っていないとセンター部分が潰れるので、センターは摩耗せず、少し横側が摩耗します。空気圧を規定値に戻すと写真のように尖がった形状になります。クーラントにはエンジンオイルの混入は無いようです。
キャリパーは、要清掃です。ブレーキローターは、3枚とも段付き摩耗になっています。
プラグコードとキャップが社外品に交換されていますが、途中でジョイント(丸印)されており、根元は純正のままでさらに緩んでいるので、よくない状態です。プラグキャップに防水性が無いので、NGK製JR8Cのプラグが付いていますが、錆びている上に、キャブレターの調整がおかしいので、カブっています。
フロントフォークは、現状オイル漏れは無いですが、クリップが錆びているのとダストシールはヒビ割れています。インナーチューブは、作動部分は錆びていませんが、少し油分が出ています。(漏れているレベルではありません)
純正エアクリーナーは劣化が激しいので、要交換です。ダイヤフラムは、回転が見られないので、まだ、平気そうです。ゴムジョイント部は、ヒビ割れがあります。
キャブレターがおかしいので、硬化していた同調用の部分のゴムキャップを交換しました。同調もずれており、パイロットスクリューも戻し過ぎな箇所が多く、よくない状態でした。ギアケースのオイル漏れですが、ギアケースセンター―部分は、平気そうですが、ケース外周部のOリング部から滲みがあります。
ギアケースを外して点検しました。ドレンボルトのガスケットがダメなので、ニジミがあり、さらにドライブシャフトが刺さっているカップ部分のオイルシール部から滲んでいます。交換は可能ですが、ただ、ここは、折れる部分(トレイの上の部品は、折れて分解している状態の物です)でもあり、ナットを外す際に折れる可能性もあります。ギアケースも過去に交換されていると思われ、中期頃の部品でアクスルシャフトも長く、割ピン仕様です。ギアケースの使用距離も不明ですので、破損の危険性のある修理を行うより、後期型の中古を探すか、新品交換の方が良いかと思います。
点検後試乗していますが、キャブレターの状態が悪く、いったん戻り、調整及び同調、ゴムキャップ交換し、かなりまともになりました。エンジン回転を上げると、途中で車速とズレが生じますが、クラッチでもなさそうでしたので、タイヤの空気圧を下げ、タイヤが温まってからエンジン回転数を上げると回転数と車速のズレ方が変わるので、クラッチ板の滑りではなく、タイヤの劣化が疑わしいです。製造から4年ほど経過していることと偏摩耗しているので、前後タイヤも要交換です。車体ですが、規定トルクで締まっていないところがありますので、車体増し締めが必要です。
車両の点検が終わりましたので、修理概算を出して、ご連絡します。
2017.11.18 作業担当 ヤダ(矢田)