1116、会津と福島

テレビ、ラジオ、新聞、インターネットなどでは、連日福島第一原発の事故についてのニュースを流しています。
福島から来たというだけで敬遠され、福島県民の宿泊を拒否するホテル、福島には行かないというタクシーやトラックもあります。
農産物や牛乳なども出荷制限されています。
制限されていない農産物も風評被害を受け、買い控えが広がっています。
先日、福島県の農家の男性（64）が自宅の敷地内で首をつり、自ら命を絶ちました。
育てたキャベツの出荷に意欲をみせていたという男性ですが、遺族は「原発に殺された」と悔しさを募らせています。
男性は30年以上前から有機栽培にこだわり、自作の腐葉土などで土壌改良を重ね高品質のキャベツを生産し、自ら作る野菜に自信を持っていたようです。
農協でも人気が高く、地元の小学校の給食に使うキャベツも一手に引き受けていて、「子どもたちが食べるものなのだから、気をつけて作らないと。」と言って、安全な野菜づくりを誇りにしていたそうです。
東北（会津）人の律義さ、純朴さが伝わってきます。
「1102、出荷停止」を参照
放射性物質を含んだ水が海に放出され、漁業も深刻な状況です。
水揚げした魚介類を魚市場に運んだら受け取りを拒否される事態も生じています。

今の福島は幕末維新で悲劇の舞台になった会津を思い出させます。
徳川幕府に忠誠をつくした松平容保とその家臣。
ふるさと会津をまもるという、純粋な気持ちで戦場におもむいた白虎隊の若者が自刃した飯盛山の悲劇は今に伝えられ、お墓には今も訪れる人が絶えません。
戊辰戦争の鶴ヶ城を巡る戦いは凄惨なもので、劣勢を強いられ行き詰まって自ら命を絶つ人が多くいました。
郷里のため戦った少年達、ようやく辿り着いた飯盛山から目にしたものは煙に包まれた鶴ヶ城でした。
城下で発生した火災をみて、落城したものと思い集団自決しました。
今の福島の状況は情報不足による風評被害で、戊辰戦争当時を連想します。
徳川幕府に忠誠を尽くして悲劇の舞台となった会津。
原子力発電を受け入れ首都圏の電力を支えてきた福島。
会津藩の領土と福島県は地理的には同じではありませんが、どうしても重ね合わせてしまいます。
140年目の悲劇再びです。