ニューヨークの想い出

ニューヨーク生活20年間の想い出を書いていこうと思います。

910、ガチョーン

2010年09月13日 | Weblog
谷啓(本名・渡部泰雄)さんが11日脳挫傷のため東京都三鷹市の杏林大学医学部付属病院で死去しました。(78歳)
谷啓ほどいろんな顔を持つ芸人はいません。
クレージー・キャッツのメンバー、俳優、コメディアン、ミュージシャン、・・・。
私が中学生の頃はテレビの「おとなの漫画」や「シャボン玉ホリデー」などで見せたコメディアンとしての顔で、とぼけた丸顔がお茶の間の人気者でした。
開いた右手を手前に引いて「ガチョ~ン」のかけ声とともに右手を閉じるギャグをはじめ、「ビロ~ン」「谷だァ!」などの奇妙な流行語を生み出しました。
映画には「無責任」シリーズ、「図々しい奴」、「釣りバカ日誌」など多数出演しています。
森繁久弥主演の『屋根の上のバイオリン弾き』では肉屋のラザール役を演じるなど、舞台でも活躍しています。
最近もテレビで元気な顔を見せていましたが突然の死です。
芸名の「谷啓」はアメリカの喜劇役者ダニー・ケイを日本風にしたもので、彼の目指そうとしたものが見えます。
674、五つの銅貨」を参照

私の中で最も印象に残っているのはミュージシャンとしての谷啓です。
旧制逗子開成中学時代にトロンボーンを始め、逗子開成高校時代から、キャバレーでバンドマンのアルバイトをしていました。
中央大学在学中、シャープス&フラッツの一員となり大学を中退、その後フランキー堺のシティ・スリッカーズなどを経て昭和31年、ギャグ入り演奏が売り物のクレージー・キャッツに加入します。
とぼけた顔からは想像できませんが、トロンボーンの名手です。
私が学生時代によく読んでいた「スイングジャーナル」誌ではトランペットや、サックス、ドラムなど、それぞれの楽器奏者のランキングを載せていましたが、トロンボーン奏者として上位にランされていました。
中央大学の学生時代、あるステージでバンドの演奏が止まってしまったことがあります。
そのとき谷啓が(当時は本名)がアドリブで演奏し、その場をしのいだというエピソードがあり、彼をトロンボーン奏者として一躍有名にしました。
私は高校時代はトランペット、大学時代はトロンボーンを吹いていたのでトロンボーン奏者の谷啓にあこがれました。
28、独立記念日」を参照
彼のトロンボーンを聞く機会はあまりありませんが、You Tubeに投稿されています。

*スイングジャーナル:昭和22年に創刊されジャズ専門誌。
戦後日本のジャズ文化牽引役を63年間担ってきましたが、今年6月発行の7月号をもって休刊しました。
8月に月刊誌「JAZZ JAPAN」として生まれ変わりました。