まったり アイマス2

アイドルマスター2 超ライトユーザーのプレイ日記

3590. アナログ時計、続き^3

2021年11月27日 | 日記

 電子式のアナログコンピュータの基本要素は多入力積和回路と積分器です。

 積和回路は加算器として紹介されることが多いです。多数の入力があった場合に、それぞれに固有の係数を掛けて総和を求めます。係数は反転増幅器を通すとマイナスにすることもできます。この係数の設定にポテンショメータを使います。ですから回路の出力は入力に比例するだけで、乗算器ではありません。乗算器は別途作れますが、非線形項など特殊用途になるはずです。

 積分器は演算増幅装置のフィードバック部分にコンデンサを使用します。こうすると、たとえば入力が1V(ボルト)の場合に出力が1V/秒で下降する回路になるそうです。上昇/下降は電源電圧でクリップされますから、普通は積分器の出力を積和回路を通じてその積分器の入力にフィードバックさせます。
 正のフィードバック(正帰還)では指数関数的に上昇、あるいは下降して発散します。ですから普通は負帰還にして指数関数のマイナス方向に、つまりある一定値に収束する感じで使います。
 積分器を2個直列に繋いで適当にフィードバックすると2階の常微分方程式になり、様相は一変して振動解(sin/cos)が出てきます。これが狙いと言ってもよいくらいです。

 積分定数として初期値、つまり初期電圧を設定し、ボタンを押して計算スタートとなります。オシロスコープは基本は横軸方向に電子ビームが走査して、縦方向にアナログコンピュータの出力で振り、グラフとして表示します。これを繰り返して、適当に初期値を変えたり上述の係数を変えたりして振る舞いを観察します。

 これのどこが面白いかと言えば、さまざまな物理現象を電圧で表現して、その振る舞いが再現できるからです。物理現象がシミュレーションできる、ということ。物体の位置や速度や加速度や、前項の場合は物質の液中の濃度とか。前項に書いたように、微分方程式が少しでもややこしくなると数式では解けなくなって、実際に計算させないと振る舞いが分からなくなる、と言う理屈です。

 これをデジタル計算機で行うには、積和演算の結果をレジスタまたはメモリに足し込んで積分の代用とします。かつては乗算は時間のかかる計算で、積分が積分に見えるくらいに時間を細かく区切って反復計算するのは大変な計算量となるので、アナログコンピュータの方が速い、ということでした。今は普通のパソコンのCPUでも初期のスーパーコンピュータよりはずっと速いですから、アナログコンピュータ技術は別の使われ方をしています。

 さらに、今普通に物理シミュレーションと言えば、例えば大気現象の再現で、この場合は空間にメッシュを張って各点で常微分方程式を回す、これが偏微分方程式のシミュレーションになります。
 律儀にやるとアナログコンピュータを無数に並べることになってしまいます。デジタル計算機なら時間は掛かりますがメモリを増やせば対応できます。
 これではいくら計算能力があっても足りない感じで、ですからデジタルのスーパーコンピュータの開発競争は熾烈だった、ということ。今でもスーパーコンピュータの能力が話題になりますから、まだまだもっともっと計算能力が欲しい、ということ。

 こうして計算された膨大な出力はデータとして活用できますが、デモンストレーションとしては視覚化したら説得力があります。こちらにも計算機の能力がつぎ込まれました。
 かつてはSGI社のどでかいCG用計算機は憧れの的でしたが、今は普通のパソコンにもスマホにもGPUは入っています。本来は学術用途の技術なので、初期のCG映画、ディズニーの「TRON」が出たときにはCG技術者は娯楽に計算能力を使うなんて、と眉をひそめていたらしいです。今はたとえばOpenGL規格も芸術用途を意識している感じです。

 まあ何というか、良い時代に巡り会ったと思います。欲を言えばこのずっと先にどうなるかを目撃したいですが、どこまで観察できるものやら。

コメント
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