カードが1月の1枚だけだったら、順列は一通りしかありません。
(1月)
カードが2枚なら、順列、つまり並べ方は2通りあります。
(1月 2月) (2月 1月)
カードが3枚なら、6通りとなります。
(1月 2月 3月) (1月 3月 2月) (2月 1月 3月)
(2月 3月 1月) (3月 1月 2月) (3月 2月 1月)
カードが4枚なら、24通りとなります。
(1月 2月 3月 4月) (1月 2月 4月 3月) (1月 3月 2月 4月)
(1月 3月 4月 2月) (1月 4月 2月 3月) (1月 4月 3月 2月)
(2月 1月 3月 4月) (2月 1月 4月 3月) (2月 3月 1月 4月)
(2月 3月 4月 1月) (2月 4月 1月 3月) (2月 4月 3月 1月)
(3月 1月 2月 4月) (3月 1月 4月 2月) (3月 2月 1月 4月)
(3月 2月 4月 1月) (3月 4月 1月 2月) (3月 4月 2月 1月)
(4月 1月 2月 3月) (4月 1月 3月 2月) (4月 2月 1月 3月)
(4月 2月 3月 1月) (4月 3月 1月 2月) (4月 3月 2月 1月)
つまり、全順列の場合の数は急速に増えて行きます。カードが5枚なら、最初の位置が5通りですから、全体は120通りとなります。この数列には名前と記号が付いていて、階乗で、記号は、
n!
です。
さて、2枚のカードを交換する操作を互換と言い、隣同士ならあみだくじの図で説明できます。
(1月 2月) → (1月 2月)
はあみだくじの横棒は0本、または2本、4本と偶数です。
(1月 2月) → (2月 1月)
ならば、あみだくじの横棒は1本、または3本、5本と奇数になります。
カードが増えても、置換は互換の奇偶に分類でき、偶置換と奇置換と呼びます。たとえば、3枚のカードなら、
偶(1月 2月 3月) 奇(1月 3月 2月) 奇(2月 1月 3月)
偶(2月 3月 1月) 偶(3月 1月 2月) 奇(3月 2月 1月)
あみだくじで例えましたが、隣接していない2枚のカードの交換も互換と言い、そうしても奇偶の分類は変わりません。
行列式は、正方行列の各行から列が重複しない要素を取って掛け算し、それが偶置換になっていれば正の項とし、奇置換ならば負の項として、全体の和をとったものです。これが定義。
ですから、3行3列の要素が次のようになっていたとして、
日1 日2 日3
月1 月2 月3
火1 火2 火3
行列式は、
+(日1×月2×火3) -(日1×月3×火2) -(日2×月1×火3)
+(日2×月3×火1) +(日3×月1×火2) -(日3×月2×火1)
となります。よくある図で斜めに掛けている図は単なる解説図です。4次以上の行列式では簡単な図は描けないそうです。計算機プログラムはそれほど難しくは無いでしょうけど、急速に計算量が増えるのは想像できます。
私が所有している1953年が初版の数学公式集では、この行列式がさまざまな場面で使用されていて、一種のブームだったようです。その後、おそらく次数が上がると急速に計算量が増えるのを嫌ってか、流行が去り、私が大学で行列式を見たのは物理の講義でしたが、上述の定義をすっ飛ばして余因子による展開をいきなり提示するものだから、かなりの混乱を学生に与えていたと思います。
近年のコンピュータグラフィックスの発展に伴い、単純な定義を持つ行列式は少し見直されているみたいです。