海に吹く風

海の大好きな私
ここで皆さんとお話しましょう

日々思うこと、短歌についても書いていきます

駅間の時間 河野裕子

2009-01-26 08:57:43 | 短歌
河野裕子さんの病気の再発を知ったのは去年の10月だった。
手術から8年経っていると言うのに。。

その後に詠われた歌は彼女の絶唱であり、心を打つものだった。

河野裕子さんの歌はいつも日常を詠ってをり、私の好みとはいえなかった。
学生時代にめぐり合った好きな人と結婚し、その人が同じように短歌をする人で、短歌ずっと続け幸せな結婚生活を送ってきて、彼女の歌う歌は何気ない日常の光景や気持ちで真っ直ぐで陰がなかった。

私は日常的な歌でなく陰のある想像力を羽ばたかせるような歌が好きだから。。

でもガンという病を得て、死と向き合う彼女の歌は今までとは違う。
山川登美子の歌に通じるものが感じられる。

しかし山川登美子と決定的に違う部分はそんな過酷な状況でお互いを思いやる夫婦愛が詠われていると言うことだ。
それは読む人の心を打つ。

だからこそ何とか病気に打ち勝ってほしいと願わずにはいられないのだが・・・
河野裕子さんのお歌にどんな事が詠われているのか、はらはらとは見守りたくなる。。

角川『短歌』2月号に30首の連作が載っていた。
どれも心を打つけれど、病気のことを真正面から詠っている歌を選んで掲載するのが辛い。
本を手にとって読んでほしい。


1首だけ・・

 冬の底の寒さといへど母が死に心は少し楽になりゆく

河野裕子さんのお母さんは去年亡くなられたようだ。
母が亡くなって悲しくない人間などいない。
しかし自分より早くお母さんが亡くなられて、これで逆縁の不孝をかけることはなくなったと言う安堵。
その気持ちのほうが強いと言うことだ。




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