海に吹く風

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とても嬉しかったこと

2008-02-20 21:24:04 | 短歌
今年初めての新聞歌壇掲載歌

 同時代生きたる人の「総括」とリンチの歌を我は読み得ず


連合赤軍リンチ殺人事件で死刑が確定した坂口弘が最近歌集を出した。
『短歌』2月号の特集に「死刑囚とうた」で紹介されていた。
彼の歌は以前は朝日歌壇に時々載っていて、以前は私は朝日新聞だったので、そのことに気がついていた。
しかししある時もう彼の歌は載らなくなった。
死刑が確定すると外部交通権をたたれるためらしい。

でもその後佐々木幸綱氏に師事してこのたび歌集『常しへの道』が出た。

坂口弘のお母さんは今年94歳になるそうで、面会を続けていらっしゃいます。
面会のとき歌を受け取ってそれを佐々木幸綱氏に渡す、添削してもらったものをまた面会で坂口弘に渡してと・・お母さんがすべてをしているのです。

記事の中で紹介されている歌の中で当然あのリンチ事件の題材の歌もあるのですが・・私は歌として到底冷静に鑑賞できない・・読めなかった。
そのことを詠った歌だった。


私が投稿する新聞歌壇の選者は岡井隆氏。
塚本邦夫や寺山修二と並び前衛短歌の旗手といわれ、かつては左翼的な歌を詠っていた岡井隆氏なら私がこの歌にこめた<思い>を解ってくださるのではないか・・そういう予感があった歌なのだ。

短歌は31文字の言葉が海の上に出た氷山とするなら、海に隠れている大きな部分がある歌が深い歌だと思う。

その部分を歌人が読み取ってくださり、作者である私が感じたこと同じことを時空を超えてテレパシーのように感じてくださり、同じ音色の二つの心が共鳴する・・そう思えたときは歌をつくるものとして無上の喜びだ。
今回はそういう歌だった。

岡井隆氏はこれが坂口弘の歌集のことを詠った歌ともちろん解ってくださって、それへの私の思いもわかってくださった。
本当に嬉しかった。

歌のテクニックとしてのレベルでなく内容で取ってくださった歌だと思う。






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2 コメント

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理解できる人 (ゆゆ・・)
2008-02-21 08:40:30
いつもこういう系の話になると沙羅さんは切ないようですね。自分のような田舎に住んでる人間は「学生運動」など遠い世界のことと思っていたので、その渦中にいる人の心など読むすべもないわけですもの。

それはさておいて、自分の言葉の奥底を理解してくれた感動、それを沙羅さんが無邪気に喜んでる姿を想像しています。
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ゆゆさん (沙羅)
2008-02-21 17:33:32
同時代学生だった身としてはあのリンチ事件は何かが崩壊するような衝撃でしたね。
絶対認められないこと。
それでも同時代を生きた人間として学生運動をしていた人たちへの共感みたいなものをゼロにできない・・そういう切なさですね。

でも今思うことは・・あの頃大学進学率は2割くらい。
大多数の人は社会人として自分で自分の身を養っていたのです。
学生の私たちが時代を代表している、時代を変えるのだと思ったのは思い上がりだったと。。

今忙しくしていまして、もうちょっとしたらブログにお邪魔しますね。
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