六月の雨の匂ひに包まれて日陰の似合ふクチナシが咲く
ひつそりと花を咲かせるドクダミは地下茎伸ばし仲間を増やす
夕闇が似合ふ花なり庭隅に十字の白の際だちで咲く
立ち尽くす夏の日ありき紅のたちあほひ咲く一本道に
海からの風が座敷を通り過ぎほろり崩れるミルク金時
水たまりの国にも空と雲があり私もいるよ六歳の夏
父がいた母がいた夏吹き抜ける風に揺られて風鈴の音
びいだまをポンと蹴飛ばし夏が来たまあるい空とふわふわの雲
傷ものとして捨てられた桃の実をあの日ひそかに触れたのはだれ
知らぬ間につけられた痣広がって茶色に腐る箱入りの桃
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