東京生まれ東京育ちのアントンKにとって、学生時代には故郷に帰省する友人達がとても羨ましく思ったものだった。当時は、今のように高速道も繋がっておらず、大概鉄道を利用して移動していたはずだが、休み明けに聞くお土産話が楽しみだったことを思い出す。
時が経ち、アントンKにも家族が出来たが、その愚妻が長崎出身だったことは偶然だった。九州ブルトレでも「さくら」は一番身近に感じていたし好んで乗車した列車だったことも懐かしい。当然ながら異国情緒の残る長崎の街には、よく出向くことになったわけだ。坂の多い街並みは、独特の雰囲気があり、路面電車が肩を揺らして走っている光景は、時の経つことを忘れさせる。そんな長崎にも、来年新幹線がやってくるという。それに伴い、在来線も大きく様変わりしてしまい、昔の面影は皆無らしいのだ。新幹線開通は、昔から長崎市民の悲願だというが、果たして本当に必要なのだろうかと首を傾げたくなる。ここ数年、長崎どころか、九州にも行けていない。コロナ感染症の沈静化を待って、早く出向きたいといつも考えているのである。
掲載写真は、長崎駅で出発を待つ44列車、特急「さくら」東京行き。車止めの並ぶ構内に、歴史を感じるプラットホームが昭和時代まで時が遡る。やけに低いホームが地方線を思わせたが、もうすでにこのホームも跡形も無くなり、現在は近代的な高架線ホームに切り変わっているらしい。いつか新しいホームに降り立った時、どんな想いに駆られることだろう。
2004-10-23 44列車 特急「さくら」 ED76 61 JR九州/長崎駅