アントンKが鉄道写真を意識して撮影し始めた時代、誰もが通る東京や上野への表敬訪問を熟し、その後興味が走行写真へと移っていく訳だが、この当時にはまだ、一目惚れしたEF57が活躍していて、ゴーナナを中心に線路端へと繰り出ていた。もちろん、撮影の合間に引っ切り無しに通る電車特急は限りなく、今にして思えば、東北線は電車特急王国だった。しかしその中で、ひと際異彩を放っていた特急列車があった。キハ181形を使用していた奥羽線特急の「つばさ」である。当時は奥羽線の山形以北がまだ非電化であり、秋田まで結ぶ「つばさ」は、必然的に気動車だったのだ。結局、アントンKも大した写真も撮れず、その時の11月のダイヤ改正で、奥羽線も電化され同時に485系電車へとスイッチされてしまったが、後年よく行った奥羽本線板谷峠に、このキハ181形「つばさ」がEF71の補機の力を借りて通っていたことを思うと、一度で良いから見てみたかったと、いつも後悔していたものだった。
掲載写真は、見よう見まねで当時の望遠レンズを装着し撮影した、キハ181形「つばさ1号」秋田行き。キハ82形から継承されたパノラミックウィンドウがカッコよく、485系等にも負けない存在感だったことを思い出す。圧倒的なスピードで黒煙をまき散らしながら通過していく姿は、一発で虜になったのだ。
1975-11-02 1D 特急「つばさ1号」 kiha181-19 11両編成 東北本線:白岡-久喜にて
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