アントンKの世代は、いわゆる最後の国鉄蒸気機関車を北海道で撮影できたギリギリの世代。確かに当時は、煙を求めて渡道していた学友が多かった。しかし前記のように、アントンKは、あくまで模型作りの資料としてカメラを持ったのが事の始まりなので、当時は蒸気と言われても、今一つピンと来なかったというのが本音だ。
国鉄現役蒸気に事実上終止符が撃たれた頃、今度は「ゴナナ」ブームが到来するのだ。親戚が川越線沿線にあり、幼少の頃から、大宮駅をよく通り憧れていたこともあって、この「ゴナナ」には、今考えればすんなりとハマってしまったように思う。まだカメラも大してわからない頃、掲載写真である、6番線のホーム先端には、よくカメラを持って行っていた。ここは、東北線の上り列車が綺麗に撮影できて、当時のお気に入りの場所。大宮といえば、現在でもネタものが走れば、大混雑していると聞くが、当時はゆったりしたもので、撮影者がいることの方が稀であったように思う。また大宮と言うと、当時の下りホーム(8番線~9番線)に響く構内アナウンスがカッコ良くて、大好きだったことも付け加えておこう。特に、多客時の下りホームは、次々に優等列車がやってきて、アナウンスが佳境に入り、テンションが上がる。独特の言い回しで次々と列車をさばいているようで、頼もしく感じたものだった。カメラとともに、レコーダーを持って行き、この状況を一日中録音して自宅で何度も聴いていたから、当時はちょっとオタクっぽいと言われても仕方あるまいか。
そんな思い出多い大宮駅で撮影したゴハチの牽く客車列車の写真を掲載してみよう。徐行しながら4番線ホームに進入してくるシーン。何と大窓時代の12号機だ。おそらく、EF57置き換え用に、宇都宮に転属してきて間もない頃なのかもしれない。この時は、遠くに「青」が見えてガッカリしたのだと思うが、こうして時間が経つと、12号機が早々に小窓黒エッヂに改造されてしまい、東京区に転属したから、これはこれで価値を見いだせたかもしれない。写真は、原板ネガカラーだが、あまりに退色が進み見苦しいので、少しでもマシなモノクロに変換して載せてみた。しかし画像が乱れているのが残念だ。
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1975(S50)-08-19 48レ EF5812 東北本線/ 大宮駅
Nikon FTN MF Nikkor 105mm f/2.5S
KODAK COLOR FILM (ネガカラー)