![sphinx sphinx](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/36/8f/7ea0e193df519988e9f82799a0427ad6_s.jpg)
1931年ミラノをへてパリに移ったこの24歳の新進の美人画家は、当時画壇を席巻していたシュールレアリスムの画家、作家、詩人たちと出会う。このことが、フィニをシュールレアリスムの画家のひとりに加える要因だが、ブルトンの言う「魔術的絵画」ではあっても、シュールレアリスムでくくるには、この画家の個性は特異である。
フィニは生前自分でもどこにも所属しないものという自負を込めてだろう「わたしの職業はレオノール・フィニを生きること」と、言っていたようだ。
今回も会場は、初期作品の「1.トリエステから」「2.シュールレアリスム」「3.鉱物の時代」「4.エロティシズム」「5.シアター」「6.円熟期」という全100点の作品からなる構成になっており、これまであまり知られていなかった「鉱物の時代」というデカルコマニーを駆使した作品群もあった。これは、ボクにとっても収穫で、この時期のある面内面的で暗い作風はとても気に入ってしまった(SF的挿し絵やギガーのファンなら分かってもらえるだろう。現代のそのようなイラストにまで通じるようなほどとても表現が新しいのだ。)。
容易に推測できるように、フィニの「スフィンクス」のテーマは、また「ラファエル前派」や「ベルギー象徴派」とりわけフェルナン・クノップフあたりの影響を感じさせる。クノップフもまた「スフィンクスの画家」であった。だが、クノップフのスフィンクスは単純化して言い切ってしまえば、「女性-性」の隠喩であった。そこで提示されている「謎」は、「永遠の(男にとっての)女性」のことだ。
フィニの場合は違う。それは、フィニ自身が女性であることもあるが、フィニのスフィンクスは謎を問いかけるというよりも、そこにゆったりと充足している女性原理を彷佛とさせる。
スフィンクスは上半身が乳房をもった人間の女性で、下半身が獅子そして鷲の翼を持つキマイラ的存在だ。旅人に謎かけをし、謎が解けないと旅人を食べてしまう。ギリシャ/エジプト神話の出自をもつ神話上の生き物である。実の母と交わったオイディポスが退治する怪物だ。
「朝は四本足、昼には二本足、夜に三本足になる生き物はなにか?」という謎かけを出して、オイディポスに容易に謎を解かれてしまう。
いま、ここでこの謎かけに即座に答えられなかったあなたはスフィンクスに確実に、食べられている!
もうひとつ。スフィンクスは無毛の猫の品種である。もっとも、これは新品種でうまれたのはたかだか30年ほど前らしい。ヌードマウスというモルモットの品種があるが、これはヌードキャットとでも言うべき猫の新品種である。ただ、これは断っておくがフィニがこの猫の存在を知っていたかどうかはわからない。
(写真はレオノール・フィニ「守護者スフィンクス」1946)
(つづく/次回完結)
ベルメールは現在の「人形」ブーム(「人形愛」ブームかな?)から考えればやってほしいですけど写真ばっかりになるかもしれませんよね。
最近では、シュールレアリスム系ではメキシコの女性画家ですが、レメディオス・バロをやりましたよね。ま、そちらの方にいったかどうかは知りませんが……。
MIXIコミュの参加の傾向からしてimaさんが、アート系に強いのはよく分かります。気が合うかもね?
(昔風ならとめどもなく、美術論でヒマつぶしするかもね……)