プレイバック・エプリルフール

2週間前の４月1日（金）は、ウソをつくヒマがないほどあわただしく過ぎ去っていったが（これが一番のウソだったりして）、ちょっとたちどまってエプリルフールを振り返ってみよう。といっても、その日にウソをつかなかったから、今日つかせてくれという訳ではない。

この日は、新年度というだけでない様々なものが、まるでドサクさにまぎれるみたいに施行された。
銀行にペイオフが解禁された。この日からは、預金者は自己の責任でもって自らの預金を守らなければならない。万が一なにかあったとき1銀行での預金高は1千万円までしか保証されない。ま、持たざる者は悩まなくてすむことだが……。
個人情報保護法が施行した。医療、銀行といったものだけでなくたとえば定期券購入の際に書かされる個人情報なども厳重かつ慎重に取り扱われるようになった。
東京都迷惑防止条例に改正条項がつき、盛り場でのキャバクラ、ホストクラブ、呼び込み、スカウト、勧誘などの客引き行為が禁止された。歌舞伎町も変わるだろう。
東京都が経営する銀行が、この日から営業を開始した。中小企業への融資の道がこれで開けるのかどうかは予断を許さない。
まだ、なにかあったと思う。そうそう、この日から国民年金が月280円高くなり、これから毎年さらに280円ずつアップされる。
児童虐待増加を食い止める目的で「改正児童福祉法」も施行された。などなど。

で、このような記事が並んだ、エプリルフールの日の同じ新聞にこんなウソみたいな、それこそエプリルフールのような記事があったんだ！　それを発見した時、あらためて驚いてしまったから（というか、笑ってしまった！）、ここにピックアップして紹介しておきたい。

いまや受信料不払い者が予想をはるかに越えて増えている（3月末で75万世帯弱）不信の渦中にあるNHKだが、なんとそのNHKから懲戒免職になった職員にこれまで退職金が支払われていたそうだ！　で、その問題についてNHK広報局は「退職金を支払ったかどうかも含めて、個人情報保護の観点から答えられない」。
これは、さっき学習したばかりの「個人情報保護法」をどう盾にとればいいかの応用例のひとつでありますね（笑）。

これも、処分だがNHKのケースとは意味も違う。東京都教育委員会は、31日づけでこの春の卒業式で「君が代」斉唱時に起立を求める「職務命令」に従わなかった公立学校の教職員52名の戒告・減給処分を発表した。この問題は同時に社説でも取り上げられ（朝日新聞）、その中にある卒業生が卒業証書を受け取った後にフロアに向かって「東京都教育委員会のみなさんにひとつお願いがあります。これ以上、先生たちを虐めないでほしい」と言い、別の生徒が「生徒が座っていないかをチェックして、先生を処分する。教師を人質にとった思想統制と、私は考えています」と勇気ある発言をおこなったということにふれている。社説はそして「卒業式を生徒に返そう」と提案している。（この問題をとりあげたNHKの報道番組に対し東京都教育委員会からクレームがつけられたという！）

もうひとつ。これはなんというか、日活ロマンポルノか、エロなAV作品みたいなことが、妄想だけでなく実際にあるんだということを露わにした事件。
これは、先の都の処分とは別だが、同日に論旨免職にされた教師（42）の話し。障害児学校の教員が、かって担任していた児童の母親と勤務時間中に教室や学校のトイレで、キスなどをしていたんだそうだ。いったい、どのようにかきくどいて、児童をそっちのけにして何をしてたんでしょうね？
昼下がりの情事。でも、この母親はどう処分されたのでしょう？

さらに、もうひとつエプリルフールらしいニュースもあった。なんとジュラ紀（1億5千万年前）にアリを食べていた初期のほ乳類の化石がコロラド州で見つかったんだそうだ。で、そのほ乳類アリクイとは系統が違うのに、その形態がアリクイにそっくりになっていたんだそうだ。こういうのを「収斂（しゅうれん）進化」と言うんだそうだけど、実際のアリクイより1億年も前に出現したこの動物、泡くいそう！
（ここに書いたものは、すべて今年のエプリルフールすなわち4月1日に報道されたものからピックアップしたもので決してウソではありません！　でもウソみたいな話しばかりでしょう？）
※写真はパラグアイの動物切手から。