風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

短編・『読み切り短編特集』のミステリー

2006-08-29 00:32:15 | トリビアな日々
 この頃、すっかり本を読むスピードが鈍ってしまった。読む意欲はあるのだが、根気がついていかないのだ。自分ではこむずかしい文章を書くくせに、難解な論文のたぐいは読む気もしない。まったく読まないのは哲学書や思想書で、満足に完読したためしがない。あれは、若者のブームでもあり、輸入思想の大好きなこの国のインテリの流行でもあった「フランス構造主義」なんてものを、好んで読んでは知ったかぶって上っ面な議論をしていたことが、いまでは恥ずかしい。

 もう単行本は読めないからと、面白さだけを求めて好きでもないミステリー関係の雑誌を買ってしまった。厚さだけは500ページに近い「読み切り短編特集」だそうで、表紙に大きな活字でそう大書されている。これは期待できそうだと勝手に思い込んだ。これだけの短編読み切り形式のミステリーが詰まっていれば、江戸川乱歩の怪人二十面相ものをよんでいた時のワクワク感がよみがえるかのしれない。いや、そこまで行かなくとも、「名探偵コナン」のよく出来た回くらいの面白さが、味わえればよしとしよう。
 と、ランダムにタイトルだけにひかれて読み出した。

 ところがである。最近のミステリーってこんなにも詰まらないの?
と、文句のひとつでもいいたくなるほどネタというネタもなく、凝ったトリックもなく、面白くもない大衆小説のストーリーを読まされているみたいだ。
 これじゃ、星新一のショートショートを読んでた方がいいよ、と溜息をついいて、思わず

??裏切られたな…!

と呟いた時、ボクはふいに不安になったのだ。

??もしかしたら、自分の勝手な誤解、思い込みじゃないだろうな?

と、読みかけていたその分厚い雑誌をひっくり返してもう一度、表紙の特集タイトルを読み返したのだ。するとどういう訳か、500ページにおよぶその分厚いミステリー雑誌の表紙には大きな活字で書いてあったのだ!

 「裏切り短編特集」!

と。