風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

祖国のために 身捨つるや?

2006-08-07 01:24:18 | ブル新の楽しみ(今様新聞批評)
 ヒロシマに原爆が投下されてから61年めの8月6日は、甲子園全国高校野球選手権大会の開会式と第1日めの3試合が行われた(その第2試合は西東京で勝ち進んだ早稲田実業で、素晴らしい猛打が炸裂した。第1試合の白樺学園対高知商業の試合も素晴らしかった)。野球など全然みないボクが胸を熱くしてTV観戦していたくらいだ。

 平和なのだ。最近の新聞記事を任意にコラージュすると、かくのような日本(人)像が浮かび上がるだろう。
 私たちの国は世界で16パーセントの億万長者が141万人もおり、それは欧米のそれぞれ半数程の数でアジア全体の57パーセントをしめる。しかし出生率は1.25で少子高齢化が進み、それどころか人口は今後ますます減少する。若年労働力が貴重になるはずなのに、製造業の現場では実際には「派遣」であるにもかかわらず、「請負」として低賃金、劣悪条件(ボーナス、昇級なし、社会保険なしなど)で若者を働かせており、これは大企業と言われるメーカー(キャノン、日立、ニコン、東芝、松下、富士重工、トヨタ、コマツなどの子会社などの名前があがっている。トヨタはすぐに改善策をとり正社員化をすすめるらしい)にも見られる傾向である。このような「偽装請負」で働く若者は空腹に絶え、流動化する労働力層をつくっている。これは、新聞には書いてなかったが、いわば労働ジプシー(ロマ)化し、ホームレス予備軍としての底辺労働者となって、いざと成れば税金を払いたくないために海外に住民登録し、「日本居住」を「偽造する」先の金持ち層のさらに上奏のひとびとをささえている(村上ファンドの村上が典型。さらに「ハリポタ」の出版と翻訳で屈指の大金持ちになった某女史もそうだ)。

 さらに、「世界価値観調査2000」によれば、「戦争が起きたら国のために戦うか」という設問に日本人は「はい」と答えたひとが15.6パーセント、「いいえ」が46.7パーセント、「わからない」が残り37.7パーセントだった。「はい」の回答率は図示された10ケ国の中で最低だった。「はい」とこたえた率が高かったのは、ベトナムで、中国、イスラエル、韓国、ロシア、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、日本の順だった。下から2番目のドイツでさえ「はい」は、33.3パーセントもいて、日本はその半分以下である。
 この軟弱さは、この国の長く続く平和の素晴らしさだ。また、これをして「平和ボケ」などと言う手合いがいないように願いたい。これを掲載した朝日新聞日曜版(8月6日)「Be」でさえ「日本は敗戦で不戦を誓った。この結果を「情けない」という必要はないと思う。」と坪谷氏名義で書いている。

 そうだ。むしろ情けないのは口を開けば「日本は法事国家だ」と秩序を公序良俗を求めて自分の私有財産を必死で守ってきたはずの大金持ちが、自衛隊も警察もそれこそ行政機関も養い、福祉制度も国家予算もそれで成り立っているはずに義務としての納税を拒否し、海外への「偽装」逃亡をはかる方が「情けなく」「ふがいない」。

 「売国奴」という差別語は、かっては戦争に反対する良心的厭戦主義者や、左翼の「主義者」に向かって差別、村八分的に発せられたが、そもそもは国を売り渡す行為、裏切り者に対しての言葉だろう。国を売り渡すどころか、一銭も国などに払うものかと言う富裕層の本音は、守銭奴(ドケチ!)をも越えて、「(死)滅国奴」(めっこくど! 造語です)とでも言うべきなのかも知れない。
 ま、先の「戦争が起きたら……」のデータ記事には以下のような記述もあったから、これはかって香港から香港返還にともなって大量の中国系富裕層がその財産とともに海外移住した現象とのアナロジーもあるのかもしれないが……。
 つまり、60ケ国の国民の価値観を調査した先のデータで、自国の軍隊(日本は「自衛隊」)を「非常に信頼する」と答えた日本人は8.5パーセントで、上から43番目だったんだそうだ。

 この国はこれまでの行政府の無能・無策がたたって、平和ボケどころか内側から崩壊しかかっているのかもしれない。これから、世界中に日本人と言う民族の難民が増えていく時代になるのかも知れない。