2019年10月7日(月) 晴れ ※冒頭写真は前日の比叡山にて
京都3日目は北野界隈、北野天満宮、上七軒、千本釈迦堂、そして南へ移動して東寺を訪ねた。上七軒、千本釈迦堂は私が行きたかったところで、東寺は山の神のリクエストだった。
まず最初に北野天満宮を訪れた。とくに行きたい場所ではなかったが、上七軒と千本釈迦堂に行くなら、近所だけに行ってみるかとなった。今年は令和改元で、大宰府天満宮と深いゆかりがあるというから行くだけの価値はあった。
北野天満宮は、言わずと知れた菅原道真を祀った神社だ。中央から左遷されて太宰府勤めとなった道真は、彼の地で不遇をかこったまま没した。直後から都では凶事が続き、道真の怨霊のしわざであるとのうわさが立った。そこで鎮魂の目的で建てられたのが北野天満宮というわけだ。
左:北野天満宮三光門 右:大宰府から飛んできたという謂れのある飛梅
朝いちの平日でまばらな観光客のなかを山の神と参拝する。境内にはさだまさしの歌でも有名になった「飛梅」があった。道真の魂とともに大宰府から飛んできたという謂れをもつ。
左:上七軒 右:千本釈迦堂入口
そのうち観光バスが現れ、観光客は倍増。早々にわれわれは退去し、上七軒の通りに出た。お店はこれから開店というところが多く閑散としていたが、明日から始まる寿会(歌舞会)用のちょうちんを軒に下げるなど準備をしている花街の人たちがちらほらといた。整然とした通りは花街らしい趣があってなかなかのもの。春の北野をどり開催時に再訪してもいいなと思いながら、山の神とそぞろ歩いた。
千本釈迦堂(大報恩寺)の入口にあった喫茶店のコーヒーでほっと一息をつき、お目当ての釈迦堂へ移動した。訪れる人が少く静かな佇まいはいい。まずは宝物殿で重要文化財に指定されている快慶の十大弟子像や定慶の六観音像などを見学する。度肝を抜くのは、鼉太鼓縁。言葉にすれば、たんなる太鼓の縁なのだが、とにかく見上げるばかりの巨大さで、一対になっているそれは、それぞれ龍、鳳凰で装飾されている。いったいどんな儀式にこれを使ったのだろうと想像するだけでも楽しい。
この寺は、おかめさん縁(ゆかり)の地でもあり、おかめ塚がある。そのため国宝の本堂にはおかめさんの置物が多く奉納されていた。
左:東寺講堂 右:東寺金堂
次に北野の地から南に大移動し、東寺(教王護国寺)を目指した。東寺といえば空海が曼荼羅の立体化を実現させたところだ。巨大な仏像群が講堂や金堂に整然と置かれ、厳粛な雰囲気をかもし出している。博物館で見るアートとしての仏像ではなく、宗教としての、信仰の対象としての仏像だ。外界の光が遮断された堂内で威厳に満ちたお姿を拝するだけで心が落ち着いてくる。
東寺五重塔
立入禁止で、倒壊しそうなのかと思わせるような危うい五重塔を見上げたのち、 境内はずれの宝物館、そして剣豪宮本武蔵が身を寄せていたという観智院にも足を運んだ。宮本武蔵筆の「鷲の図」と「竹林の図」は一見の価値がある。武蔵の心の内を覗けたような気がした。
昼食はだいぶ遅くなったが、東寺から少し下がった九条の洋風創作料理ル・ブランで濃厚ソースのおいしいパスタをいただいた。この店に高島礼子さんが訪れたようで、マスターの話はそればかりで止まらなくなった。もう100回くらいはしゃべったのだろう。奥さんはその話は飽きたとばかりに奥に引っ込んでしまった。行く機会があれば、店内に飾ってある高島さんの写真を見て、「女優が来たんですね」とマスターに話しかけてみると、例外なくその話を聞けるはずだ。
腹を満たしたのち、京都駅に出て山の神とおみやげを物色。生麩饅頭やら、千枚漬けやら、くず餅やら、お茶やら、しこたま買いこんで新幹線に乗り込んだのだった。