分類・歴
お葬式の仕来たり
昔は村の地域組織の末端に「隣組」というものがあって、隣近所の何軒かが1単位として何事に於いても協力し合っていた。
組内に冠婚葬祭があると、強固なチームプレイとなって表れた。
例えば組内に不幸が起きると自宅から墓場まで出す訳だから、組の衆がその家に集まり一切の役割分担を決めて「知らせ」役になった人は、2人1組になって遠くの家々までお悔やみがあるのを知らせに歩いた。
今のように「葬式」とは言わずに、何処そこの家で 「じゃんぽん」 ができたと、クチコミで早々に伝達されていった。
《土葬なので棺を担いで親戚縁者が行列して墓へ行った》
隣家の2~3軒を中宿(ちゅうやど)として借り、弔問客を振舞うが客がどの宿へ行くかの割り振りは青年団。婦人会の人たちも加わり、料理の手伝いや細かな仕事を手伝った。
振る舞いの料理は女性たちの手作りで、煮物・ごま塩のおにぎり・茶(醤油)ぶかし・季節の野菜漬け・きんぴらごぼう・タクワン・吸い物(おツユ)などに加わり、魚類は普段行商に来ている魚屋に任せた。
弔問客は焼香を済ませると、中宿(※「ちゅうや」とも言う)で休憩し故人を見送ることになるが、ここで酒や食べ物を振舞われているうちに酔いが回ってしまう人が結構いた。
「これも仏様の供養になるから」と言われて誰も咎める人はいなかった。
今でも地域の組織の中に区長、組(班)長制があるから、その組(班)内の人たちという意味では変わりはないが、どこの家も葬祭ホールを利用するようになった現代では、隣近所の役割負担は大幅に軽減されている。
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