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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

キンクスの脱力した魅力

2007-09-14 13:53:06 | Weblog

政治の世界、一寸先は闇! とは良く言ったもんです。

昨日まで本命とされていた総裁候補者が、本日昼には劣勢になっているという……。

まあ、これはマスコミが報道している範疇での感想ですから、本当のところは分からないんですが、私のような凡人には決して安心出来る世界ではありませんね。

今日は夜に大切な会合を控えて、自戒しています――

Kinda Kinks ! / Kinks (Pye)

イギリスを代表するロックバンドのひとつ、キンクスのアルバムが紙ジャケット仕様のCDで大量に復刻されています。しかもボーナストラックが満載! もちろん私は買うしか無い状況に追い込まれ、全く嬉しい苦しみに突き落とされています。

まあ、キンクスというバンド名は「性倒錯者」達という意味ですから、私のような者にはジャストミートなのかもしれませんね。

ご存知のように彼等は1960年代前半のブリティッシュビートの大ブームの中でデビューしたバンドのひとつで、1964年夏に出した元祖ハードロック「You Really Got Me」の猛烈ヒットによって歴史に名を残しているように、本来はR&B系のバンドでした。しかしボーカリストで中心人物のレイ・デイビスが作る楽曲には、如何にもイギリス人らしい生活感覚とか、持ち前のイジケやひねくれが滲み出ています。

またリードギターとボーカルを担当しているのが弟のデイヴ・デイビスで、この人が兄のレイ・デイビスとは対照的に直情型の熱血野郎ですから、バンドとしてのバランスが上手く取れていたのかも……?

ですから、彼等の発表する曲には妙な脱力感がありますし、ソフトロックっぽい感覚とか、ポール・マッカートニー的なホノボノフィーリング、さらにジョン・レノン風の皮肉っぽさが、ビートルズとは似て非なる魅力として、私は大好きなバンドです。

さて、このアルバムはキンクスが1965年に発表した、イギリスでは2枚目のLPで、復刻された現行CDにはボーナストラックが11曲も入った素晴らしい作品ですが、まずオリジナルアナログ盤には――

A-1 Look For Me Baby
A-2 Got My Feet On The Ground
A-3 Nothin' In The World Can Stop Me Worryin'`Bout That Girl 
A-4 Naggin' Woman
A-5 Wonder Where My Baby Is Tonight
A-6 Tired Of Waiting For You
B-1 Dancing In The Street
B-2 Don't Ever Change
B-3 Come On Now
B-4 So Long
B-5 You Shouldn't Be Sad
B-6 Something Better Beginning

――上記の12曲が収録されていました。もちろん全篇がモノラルバージョンで、ビートバンドの本質を大切にしながらも、後の展開に繋がるホノボノ感とかメロウな雰囲気、さらに絶妙の脱力フレイバーがたまらない曲ばかりです。

まずド頭の「Look For Me Baby」からして、気だるいコーラスとメロディライン、重たいビートが上手く機能した脱力ロックの傑作! 胸キュンのサビと黒いギターのオカズも最高です。

そして5枚のシングル盤A面曲で大ヒツトした「Tired Of Waiting For You」が、そうした路線の集大成♪ 緩~いメロディと力強いビートはフォークロック的でもありますが、あくまでもビートロックの本質から外れていませんし、サビのメロウな展開は唯一無二の素晴らしさです。

そうした元ネタを感じさせるのが、アメリカ南部のホノボノブルースだというカバー曲の「Naggin' Woman」です。あぁ、このイナタイ雰囲気に溢れたレイ・デイビスの歌いまわしは、もう最高の極みです!

さらに生ギターを使った英国フォーク風の「Nothin' In The World Can Stop Me Worryin'`Bout That Girl」と「So Long」からは、サイモンとガーファンクルみたいな……♪ ふっふっふっ、和みますねぇ~♪

またビートバンドとしての本質は、デイブ・デイビスが歌う「Got My Feet On The Ground」「Come On Now」で存分に楽しめます。この捨て鉢なフィーリングもキンクスの持ち味なんです!

当時、時代の先端だったモータウンサウンドの影響下にある「Wonder Where My Baby Is Tonight」やカバーバージョンの「Dancing In The Street」も楽しいですねぇ~♪

そしてオーラスの「Something Better Beginning」は、ビートルズにも負けない夢見るようなラヴソング♪ イジケ男の恋の不安を歌うレイ・デイビスのボーカルが味わい深いです。

ということで、何度聴いても飽きない傑作アルバムなんですが、当時の彼等は、どうしても「You Really Got Me」の色がついていましたから、シングル盤として発売する楽曲にはガチガチのビートナンバーが求められていたようです。そのあたりを楽しめのるが、以下のボーナストラックです――

13 Everybody's Gonna Be Happy / 陽気にやろうぜ
14 Who'll Be The Next In Line
15 Set Me Free
16 I Need You
17 See My Friends
18 Never Met A Girl Like You Before
19 Wait Till The Summer Comes Along
20 Such A Shame
21 A Well Respected Man
22 Don't You Fret
23 I Go To Sleep
(Unreleased Demo Recording)

「陽気にやろうぜ」は6枚目のシングル盤A面曲で、手拍子も楽しい痛快なバカノリロック! 我国のスパイダースは、これに影響を受けていたと思うのは、私だけでしょうか? そのB面曲だった「Who'll Be The Next In Line」も同路線の名曲・名演で、アメリカでは、こちらがA面として発売されました。

しかしキンクスの本質は7枚目のシングル盤A面曲となった「Set Me Free」で見事に開花します。アタックの強いギターリフと気だるくメロウな曲調が完全一致♪ 我国のグループサウンズが影響を受けまくりのメロディラインと演奏の雰囲気が、実に良いです。そのB面に入っていた「I Need You」では、サイケなギターソロが冴えていますが、コーラスの按配がモロにGSしていますよ♪

さらに8枚目のシングル盤A面曲「See My Friends」では、ラガロック~インド風のメロディラインと強引な演奏が強烈なサイケ感覚で、私のような者にはジャストミートの悶絶地獄! ストーンズの「黒くぬれ!」よりも1年早いんです♪ ただし歌詞はホモセクシャル?

そしてオーラスはレイ・デイビス畢生の名曲として多くのカバーバージョンが吹き込まれている名作のデモバージョンです。ピアノの弾語りで淡々と歌われるあたりが、一層、シミジミとして……。

ということで、とても気の利いた再発です。

紙ジャケットも英国仕様を大切にした造りになっていますし、音質もリマスターが良好ですから、これはオススメ!

ただしキンクスという「ひねくれ者」達が作り出す音楽には、ある種のクセが強いですから、ちょっとした覚悟が必要かもしれません。虜になったら抜け出せない!

ですから、今回再発された紙ジャケット盤を全買いするハメになっても、私は責任とれませんです。

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