■ジェラシー / 北村優子 (日本ビクター)
どんな世界にも正統派の意義は厳然とあって、特に芸能界におけるアイドル部門では、それが尚更に大きいように思います。
つまりキワモノとかトンデモ系がウケるのは、正統派の存在があるからでしょうし、終始きっちりと「けじめ」がついているアイドルこそが、正統派!
例えば本日の主役たる北村優子は、当然の如く「スター誕生!(日本テレビ)」出身者であり、しかもキュートでありながら、穏やかな面立ちが所謂妹キャラとして、デビュー当時から忽ち高い人気を集めています。
しかし、実はサイケおやじが彼女を知ったのは、公式レコードデビューを果たした昭和51(1976)年春でしたので、前述「スター誕生!」決勝大会を経てスカウトされたのが昭和49(1974)年だったという現実を知ってみれば、その間の2年近くは、なんだったのか!?
という疑問が今も継続しています。
そして人気アイドルとして芸能界で活躍していた実質的期間も、実は3年間弱だったんですから、「旬」を大切にするジャルンの中にあっては、まさに理想の過ごし方だったと思います。
なにしろ引退の理由が、所属事務所取締役のご子息と結婚ですからねぇ~~!
大勢のファンを嘆かせたのは、言うまでもありません。
さて、そこで本日ご紹介のシングル盤は、おそらく通算3作目として、昭和51(1976)年10月に発売されたものですが、特にA面の「ジェラシー」が作詞:松本隆&作編曲:穂口雄右のハイブラウな感覚が良く出た隠れ名曲♪♪~♪
もちろん「隠れ」と書いたのは、実質的に大きなヒットにならなかった事に所以しています。
そして「ハイブラウ」なのは、エレピが主導のメロディ展開と派手気味なストリングスアレンジやビシバシにキメまくりのドラムスと弾むベースのコンビネーションの素晴らしさ、加えて結果的に目立ってしまうコーラスパートの潔さが、幾分拙い北村優子のボーカルを交えた絶妙の仕上がりになっているところです。
実は失礼ながら、彼女は「ステー誕生!」出身者としては、決して歌唱力に秀でているわけではなく、ルックスや佇まいに違和感のない声質と節回しがあってこそのアイドル人気でしたからねぇ~~♪
そのあたりをあまりに融通をきかせた企画や制作にしてしまったら、何も印象に残らないという狙いなんでしょうか?
個人的には、そこになかなかアイドル歌謡の本質と正統を楽しめるわけです♪♪~♪
ということで、このジャケ写のキュートな魅力共々、北村優子はリアルタイムのファンはもちろん、後追い再発見組からも熱い視線を集める存在になっているようです。
もちろん当時の芸能界ですから、歌以外にバラエティやドラマにも出演していた彼女は、決して今も忘れられていないはずですが、「懐かしの芸能人」特番にちょっぴりでも登場して欲しいと願っているのは、サイケおやじだけではないでしょう。
もう一度、逢いたい!
そう、思わせるのも、正統派アイドルの本懐であるはずです。