OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

内藤やす子の魂の復活

2016-03-05 18:00:17 | 歌謡曲

淋しい天使 / 内藤やす子 (日本コロムビア)

昨夜、遅い夕飯を喰うために入った店のテレビで、久々に内藤やす子の現況を知りました。

ご存しのとおり、鮮烈な大ヒット連発のデビュー期から大麻事件での謹慎逼塞、そして復帰して以降の活躍も無残に崩れた病魔との闘いがあって、どうやら脳内出血による心身共に不自由な生活は、当然ながら絶望に満たされていたにちがいありません。

そして、昨夜のテレビ番組で特集的に放送されていた内藤やす子のリハビリに励む姿や気持の葛藤等々は、華やかなキャリアと波乱万丈の生き様とに重なりつつ、ど~しようもない人間の宿命、運否天賦を感じざるをえないものがあり……。

さらに番組の企画とはいえ、最後には10年ぶりに公の場で歌うという、なんとも暴挙に近い事までやるというのですから、サイケおやじはメシ喰うのも半端にして、テレビ画面に吸い付けられてしまったですよ。

そして結果は、彼女の代表的ヒット曲「弟よ」「想い出ぼろぼろ」「六本木ララバイ」を短くはありましたが、それなりにきっちり歌ってしまったんですから、そこまでだけでも数か月間撮影されていた映像の連なりを見せられた者であれば、素直に驚き、心を動かされても恥ずかしがる必要はないと思うほどですし、実際、サイケおやじは感動させられましたですねぇ~~。

もちろん、ここまで、失礼ながら、ある意味では「恥を売る」という行動に対し、経済的な事情とかテレビ局や関係者への義理云々があるにちがいないという推察は易いでしょう。

しかし、それにしたって、これは実際に件の番組に接した皆様ならば少なからず、内藤やす子の必死の気持ちがあれやこれや伝わっていると思うばかりで、それはサイケおやじの「青さ」かもしれませんが、それでも既に初老の自分にも、そうしたピュアな気持ちが残っていたという事に気づかされただけで、何か嬉しいような、せつないような気分です。

さて、そこで本日のご紹介は、これまた当然の成り行きから、内藤やす子のデビュー第二弾シングルとして昭和51(1976)年春にヒットしたA面曲「淋しい天使」でありますが、今となっては「弟よ」と「想い出ぼろぽろ」の間にあって、ちょっぴり忘れられた感もある名唱という事になりましょうか。

しかし、作詞:橋本淳&作曲:川口真が提供した当時流行の懐古趣味っぽい味わいの歌謡フォーク系演歌節が、佐藤寛のソウルビートを強く感じさせるアレンジを得て、如何にも内藤やす子のイメージにはジャストミート♪♪~♪

そう思うばかりなのは、随所に滲むアウトロー的なフィーリングに加えて、哀しいほどの純情が彼女の歌から伝わってくるからで、それこそが「プロが気持ちを入れて歌う」という証なのでしょう。

ところが、昨夜放送のテレビ番組の中では、前述した病気により記憶を失った内藤やす子が自分の持ち歌をすっかり忘れ、音程もコントロール出来ず、書き出した歌詞を見ながら歌っても気持ちが入らない……、と悲痛な表情で絶望的な告白をする場面さえあったのですから、これはもう、演出云々という暗黙の了解を超越したドキュメントであったと思いますし、そう思いたいのがサイケおやじの正直な本音です。

と同時に、最近は公私諸々で泣きが入っている自らのだらしなさにすれば、内藤やす子が呂律も回らず、すっぴんで苦闘しつつ前向きな姿勢を見せてくれた事からは、大いなる勇気を与えられました。

サイケおやじは、これからも内藤やす子の歌を聴き続ける気持ちに些かの変化もありませんが、さらに加えて感謝という言葉以上のリスペクトを覚える次第です。

心から、ありがとう。

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