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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

あったかい、これっ♪

2006-11-28 19:14:46 | Weblog

今年は恐いほど、暖かい冬になりそうです。

雪国だっていうのに、こんなにポカポカして、いいんでしょうか……。

揺り戻しが恐いですよ、本当に。

ということで、本日は身も心も暖まる、王道のこれです――

Smithville / Louis Smith (Blue Note)

ジャズメンは本場ニューヨークで認められてナンボ、というのが業界の掟ではありますが、頑なに地元に留まる実力者も大勢います。

その理由は様々でしょうが、本日の主役たるルイ・スミスの場合は、演奏家よりもアトランタの高校の音楽教師という、指導者の道を選んだためでした。もちろん安定しないジャズメンよりはカタギの生活を、という部分もあるのでしょうが、それでも時折、地元のクラブには出演していたらしく、巡業してくる大物ミュージシャンと遜色無い腕前は、ニューヨークでも噂になっていたそうです。

そのルイ・スミスが1958年の短い期間、ニューヨークで活動していた時に吹き込まれたのが、このアルバムです。

録音は同年3月30日、メンバーはルイ・スミス(tp)、チャーリー・ラウズ(ts)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という、非常に魅力的なセッションです――

A-1 Smithville
 蠢くようなポール・チェンバースのベースに導かれて始まるスローブルースで、リラックスした中にもファンキーなルイ・スミスのトランペットが、「らしい」テーマを吹いてくれるだけで、もう満足です♪
 もちろんソニー・クラークの、これも真っ黒にファンキーな合の手ピアノがたまらなくグッときますし、先発でアドリブしていくチャーリー・ラウズの、幾分ハスキーなテナーサックスが、ハードバップの王道を聴かせてくれます。
 当然、リズム隊は粘っこく、ポール・チェンバースは刺激的な遊びを入れてきますから、油断なりません。
 そしてルイ・スミスは朗々としていながら、ファンキーな翳も併せ持ったスタイルで圧倒的です。まさにクリフォード・ブラウン直系の閃きですが、どこかイナタイ部分が、さらなる魅力です。
 加えてソニー・クラークのファンキー節が冴え渡るんですから、聴いている私は完全にKO状態♪ 名盤「クール・ストラッティン(Blue Note)」の続篇という趣です♪ なにしろ続くポール・チェンバースまでもが、その雰囲気にどっぷりですから!
 まさにアルバムの冒頭に相応しい、本当に強烈なブルースセッションだと思います。

A-2 Wetu
 一転、ルイ・スミスのオリジナルという、烈しいアップテンポのハードバップです♪
 激流のようなテーマが一糸乱れずに演奏されていく様は、当にモダンジャズ全盛期の輝きに他ならず、いつも同じようなフレーズばかり吹いているチャーリー・ラウズにしても、ここでは異様とも思えるハッスルぶりです。
 そして続くルイ・スミスは、ここでもクリフォード・ブラウン(tp) に優るとも劣らない素晴らしさで、輝かしいソロを聴かせてくれます。あぁ、こんな凄い人が短期間しか現役で活動しなかったのは、本当に勿体無い事でした。
 またリズム隊の恐ろしさは言わずもがなで、アート・テイラーの強靭なシンバルとハイハット、ソニー・クラークの俊敏なファンキー感覚、ポール・チェンバースのブリブリドライブは、二度と再現不可能な一期一会♪ トンパチなアルコ弾きにも絶句します。

B-1 Embraceablie You
 チャーリー・ラウズが抜けてのワンホーン演奏で、お馴染みのスタンダードがじっくりと楽しめます。
 まずソニー・クラークが作るイントロが素直で良いですねぇ~♪
 ルイ・スミスのテーマ解釈も余裕の歌心で、ノビノビとしていますが、演奏が進むにつれてシンミリ感が強まっていくあたりは、確信犯的な展開でしょうか……? とにかくアドリブとは思えない出来すぎフレーズの連発には驚愕してしまいます。
 もちろんリズム隊も力強く、ミディアムテンポながらグイノリになっていますから、ソニー・クラークも存分に泣きのフレーズを出していますし、ポール・チェンバースも、ハッとするほど危険なラインを弾いています。
 するとラストテーマでは、我慢出来なくなったのか? チャーリー・ラウズがハスキーな音色で、絶妙な絡みを演じ、陶然とさせらます。

B-2 There Will Never Be Anther You
 これも人気スタンダード曲ですが、ここではアップテンポで景気の良いハードバップに仕立て上げられています。
 ソニー・クラークの歯切れの良いイントロから2管ユニゾンでテーマが演奏されただけで、もう気分はワクワクギンギン♪ 間髪を入れずアドリブに突入するチャーリー・ラウズも、この頃はマンネリ感覚が薄くて最高です♪ ほどよい力み具合も快感ですねぇ~。
 そしてルイ・スミスは流麗なフレーズを次々に聴かせてくれるのです。あぁ、これぞモダンジャズの王道です! もちろんソニー・クラークも期待を裏切っていません。

B-3 Later
 オーラスも、これまた素晴らしいアップテンポのハードバップです。
 厳しいブレークから流れるような歌心を披露するルイ・スミスは、素晴らしいの一言♪ クリフォード・ブラウンの焼き直しと言ってしまえばミもフタも無いんですが、では当時、誰がここまで出来たのか? という疑問には答えるすべを持たない凄さがあると思います。
 続くチャーリー・ラウズはタフな一面も出た熱演ですし、ソニー・クラークも自分だけの「節」で突っ走ってい行きます。

ということで、隅々までハードバップ王道の輝きに満ちた「傑作盤」だと思います。

ただし、これが「名盤」とならなかったのは、クリフォード・ブラウン(tp) という、あまりにも偉大な存在があったからでしょう。その天才が不慮の事故で夭逝し、後継者と目されるトランペッターは数多出現しましたが、個人的にはルイ・スミスがイチオシです。

ただし、どうしても「そっくりさん」のイメージから抜け出せないのも、また事実……。本人もそのあたりを自覚して、第一線を退いたのでしょうか……? う~ん、勿体無い!

ちなみにルイ・スミスは、1970年代後半、突如として新作を録音し、ハードバップマニアを狂喜させましたが、それよりも1950年代のリアルタイムに活動を続けて欲しかったのが、ファンの本音ではなかったでしょうか?

ルイ・スミスはこのセッションからしばらく後、ニューヨークを去ったようですから、このアルバムは「お宝」という聴き方がますます強くなりますが、本当はリラックスして楽しめる1枚だと思います♪

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