■Saturday Night / Earth, Wind & Fire (Columbia / CBSソニー)
アース・ウインド&ファイアー=EW&Fのリーダーにして創設者、そして素晴らしいプロデューサー&ソングライター、さらには豊富なセッション経験を積んだドラマーでもあったモーリス・ホワイトが天に召されました。
説明不要かとは思いますが、サイケおやじと同世代の皆様共々、EW&Fは1970年代中頃から大ブームになった大衆ファンク&フュージョンのトップグループという認識であり、それは実際、リアルタイムで発売されたレコードがアルバム・シングルの区別無く、何れも売れまくったヒット作だったという実績は言わずもがな、その与えた影響力の大きさは後追いバンドの出現、そしてホーンやリズム、さらにはファルセットコーラスの使い方等々、とにかく諸々が自然の成り行き以上に深く浸透して、今日に至っていると思うばかりです。
で、そうしたEW&Fの存在意義(?)の中でも殊更強烈なのが、常時10人以上の大編成バンドによる鉄壁の演奏力であり、スピード感満点のメカニックなホーンリフ、激しいグルーヴを噴出させるタイトなリズム隊のソウルジャズフィーリング、加えて前述したとおりのファルセットボイスも印象的なボーカル&コーラスハーモニーのポップな味わいは、普通に黒人っぽいサウンドであると同時に、実は極めて万人に受け入れられ易い方向性を示していたわけで、それこそがモーリス・ホワイトが狙って成功させたものでしょう。
なにしろEW&Fの本拠地はアメリカ西海岸のLA、つまりは往年のハリウッドポップスの伝統や同時進行していた所謂ウエストコーストロックの流行に連動していたが如きブレイクでしたからねぇ~~♪
そこでモーリス・ホワイトが果たした役割は何か?
と問われても、即答出来ないほどのクロスオーバーな感性は故人のミュージシャンとしての履歴、殊更シカゴのチェスレコードにおけるセッションドラマーとしての夥しいレコーディングやラムゼイ・ルイス・トリオのレギュラーメンバーでの活動があればこそ、何が売れるのかという秘訣を掴んでいた証明作業であったと思います。
で、本日掲載したシングル盤A面収録の「Saturday Night」は、まさにその方程式の実践表記とでも申しましょうか、黒人ファンクビートの分かり易い提示とポップなファルセットコーラスが見事に融合した1976年のヒット曲で、もちろん素敵なメロディラインは外していません。
ちなみに同曲はこの年に出した傑作LP「魂 / Spirt」からのカットなんですが、掲載した日本盤ジャケ写にも用いられているピラミッドイメージは、当時のEW&Fが打ち出していた神秘主義や宇宙的宗教観をあえて商業主義を優先させて表したと書けば、顰蹙でしょうか?
モーリス・ホワイト以下、グループの面々が、どの程度それを信心していたかは不明ですが、少なくとも実際のライブステージで繰り広げられていた祝祭的演出は、時にサーカスの如きアクロバットアクションさえも取り入れていたわけですし、そんな享楽こそが魂を高揚させていた素晴らしい結果は、EW&Fが黒人グループのトップに君臨していた時代の証でもありましたですねぇ~~♪
ということで、モーリス・ホワイトの追悼文をと意気込んでも、故人の偉業&遺徳は強大過ぎて、その表層すら拝することが出来ません。
それでもあの時代、つまりデジタルに頼っていなかった頃に人力だけで極みのポップファンクをやってくれたEW&Fは、今でもサイケおやじを浮かれさせてくれます。
モーリス・ホワイトよ、永遠なれっ!
合掌。
ストーンズの4人、ポール、ディランが居なくなる世界を想像するとぞっとします。
でもいつかその日は来るんですね。
EW&Fの音楽、紛れもないブラック・ミュージックであったにも関わらず、我が国歌謡曲ファンにも抵抗なく受け入れられていた、といふ、動かしがたい事実がります。
モーリス・ホワイトさん個人では、確か、紅白にも出演されたことがあったのでは?
音楽的なクオリティを維持しながらの、この全世界的な敷居の低さといふか間口の広さ。ジャンルは全く違いますが、白人ポップスのカーペンターズと、共通のものを感じます。
今頃、あの世では、楽しく歌い踊る祝祭の真っ最中でしょう。私も早晩お邪魔しますので、その節は、村祭り気分で参加させていただきたいと思っております。
蛇足ですが、EW&Fといふグループ名、古代4元素のうち、「水」が入っていないのは何故か、長年の疑問であります。
モーリスホワイト様ご冥福と愛と感謝を祈ります。私もすり減る程聞きました。8
コメント、ありがとうございます。
この世は諸行無常とはいえ、それに虚しさを感じるのも、また事実です……。
その中の悲劇のひとつとして、順番を間違えるというか、本当に早世してしまう人がいるのは、やりきれません。
クラプトン、ベック&ペイジ、またCSN&Yという偉人達も、確実にその日が迫っているわけですから、我々も一期一会の気持ちを大切にしたいものです。
コメント、感謝です。
素敵な音楽に人種とか国境は関係無いはずで、あるとすれば宗教や政治思想がそれにあたるような気もしますが、やっぱり素敵な音楽の発散するパワーは、そんな姑息な思惑なんてブッ飛ばすものと信じています。
ブラックミュージックは殊更アメリカでは「虐げられた者の表現世界」だった側面がありますから、そのエネルギー量は必然的に圧縮と暴発の連鎖だったんじゃ~いかとっ!?
EW&Fは、まさに氷山の一角であって、突破口にも成り得たことは、ずぅ~~っと評価され続けるものと確信しております。
直々のコメント、ありがとうございます。
拙文、ずいぶんと失礼な事も書いてしまって、今更ながら額に汗が滲みます。
そして近況のご報告、本当に嬉しくて、ますますテンション上がっています(笑)。
それにしても憧れのスタア様とこんなに親密(笑)に接することが出来るなんて、ネット時代の恩恵ではありますが、リアルタイムじゃ~、夢でした。
これからも、よろしくお願い致します。