実家の窓ガラスが2枚割られた! という連絡がありました。どうも昨夜の事らしい……。
損害の方は保険もあるんで、どうということも無いのですが、原因不明なのが面白くないところ……。何かをぶっつけられたわけですが……???
というか、こういう事があると、日頃から怨みをかっている自分の存在を見つめることになりますね……。
ということで、本日は――
■Moving Out / Sony Rollins (Prestige)
なんだかんだ言ってもソニー・ロリンズは、やっぱり凄い! 特に1950年代の演奏は勢いと気力が充実していて、モダンジャズ全盛期を象徴していると思います。
このアルバムはソニー・ロリンズが当時発表した10吋盤の曲を集めて12吋LP化した再発物ですが、私は聴く度にゾクゾクする名盤! と自分で勝手に認定した1枚です。
内容は、まず1954年8月18日録音の10吋盤「ソニー・ロリンズ・クインテット(Prestige 186)」に収録の全4曲が中心です。メンバーはソニー・ロリンズ(ts) 以下、ケニー・ドーハム(tp)、エルモ・ホープ(p)、パーシー・ヒース(b)、アート・ブレイキー(ds) という黄金の面々♪ 演目は全てソニー・ロリンズのオリジナル曲です。
そして、やはり10吋盤「ソニー・ロリンズ&セロニアス・モンク(Prestige 190)」からの1曲を加えていますが、こちらは同年10月25日の録音で、セロニアス・モンク(p)、トミー・ポッター(b)、アート・テイラー(ds) という凄いリズム隊とのワンホーン編成になっています――
A-1 Movin' Out (1954年8月18日録音 / Quintet)
快速テンポでソニー・ロリンズがブッ飛ばす爽快な演奏です。テンションの高い合奏のイントロ(?)も凄いですねぇ~♪
あぁ、それにしても躍動的なソニー・ロリンズは圧巻の一言! 続くケニー・ドーハムも大ハッスルのビバップ節ですから、もう気分はモダンジャズにどっぷりです♪
またリズム隊の厳しいノリも流石で、豪快にしてシャープなアート・ブレイキー、純粋ビバップに独特のハーモニー感覚を入れたエルモ・ホープの快演、さらにガッチリと土台を支えるパーシー・ヒースと申し分ありません。
A-2 Swingin' For Bumsy (1954年8月18日録音 / Quintet)
アート・ブレイキーの豪快なドラムソロがイントロになって始る、これも快速ハードバップですが、ソニー・ロリンズのアドリブはアイディアが泉の様に湧いてきて止まらない勢いに溢れています。
烈しいリズム隊を逆に引っ張るような豪快なノリには、後年の十八番になる時間差攻撃の萌芽が感じられ、当に天才の証明!
またケニー・ドーハムがここでも凄いです。良く言われる「イブシ銀」なんて形容は、とこの国の話!?
そしてエルモ・ホープが、またまた素晴らしい! バド・パウエルと互角かと思われる凄いビバップ魂の発露が、ゾクゾクするほどに楽しめます。
さらにクライマックスでは、アート・ブレイキーもナイヤガラ瀑布を炸裂させて存在感を示すという、バンド全体の勢いも強烈です。
A-3 Silk N' Satin (1954年8月18日録音 / Quintet)
ソニー・ロリンズの豪放なテナーサックスが歌いまくる、正々堂々のスローな演奏が潔し♪ このあたりは、もちろんコールマン・ホーキンスの影響が大きく感じられますが、どこまでがテーマでどこからがアドリブなのか、つまり全体を好きなように吹きながら、独自の展開を構築していく中には、モダンなノリと「歌」がいっぱいです。
またエルモ・ホープの新鮮な伴奏、ラストで絡んでくるケニー・ドーハムも存在感抜群なのでした。
B-1 Sold (1954年8月18日録音 / Quintet)
グルーヴィなリズム隊に煽られたファンキーなハードバップ大会♪ ブルースフィーリングを保ちながらも、完全に新しいフレーズとノリを積み重ねていくソニー・ロリンズは、真っ向勝負のガチンコです。
またケニー・ドーハムが素晴らしいファンキー節! トランペットの余韻までも使いこなした素晴らしさです。
そしてエルモ・ホープが意外にもソフトな感性にクラシック調の雰囲気も漂わせる裏ワザを披露♪ 実に良い感じなのでした。
B-2 More Than You Know (1954年10月25日録音 / with Thelonious Monk)
美しいメロディのスタンダード曲を、ソニー・ロリンズとセロニアス・モンクが究極まで煮詰めて、さらに開放していく名演です。
ます不気味なベースのイントロから一転、悠然とテーマを吹奏するソニー・ロリンズのテナーサックスが、たまりません♪ ミディアムスローのテンポをグルーヴィなものにしていくドラムスとベースのノリも素晴らしく、どことなく感傷的なコードを選んでいるセロニアス・モンクの伴奏にも、グッときます。
肝心のソニー・ロリンズは、アドリブパートでも美メロ主義を貫き、生硬で優雅なアンバランスの中のバランスをスリルに変える大名演♪ 聴くほどに味が出てきます。
またセロニアス・モンクには、ジコチュウを捨てたような柔らかさがあって、ここでは大きな魅力なんですねぇ~♪ もちろん決して妥協ではないと思います。
演奏はこの後、ソニー・ロリンズの思い切った捨て身のアドリブまで飛び出して大団円を迎えますが、実は非常に丁寧な演奏だと思います。畢生の名演!
ということで、名作・傑作が多いソニー・ロリンズのアルバムの中では、決して目立つ作品ではありませんが、一切の遊びが無い真摯な演奏は、これぞジャズの魅力がいっぱいです。
個人的にはエルモ・ホープがガチンコでビバップを演じているのが最高に嬉しいですし、あまりハイハットを使わず、煽りに撤しているアート・ブレイキーのドラミングとか、ビバップからハードバップに移り行くモダンジャズ最前線の記録として楽しむのも、一興かと思います。
よくロリンズはアレとアレを押さえておけば他は…、なんてこと言われたりしますが、メンバーの違いによって違うロリンズが顔を出してみたり、押さえておきたい一枚でしょうね。
いつもありがとうございます。
ロリンズは「サキコロ」が素晴らしすぎて、逆に損をしているのでしょうかねぇ……。
それ以前の作品だって、秀逸です、このアルバムのように! 聴かず嫌いというよりは、聴く機会が失われているのかもしれません。