OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ソニー・クラーク目当て♪

2007-07-19 18:01:28 | Weblog

今日は熱くてバテ気味だったんで、昼飯は思いっきり辛い冷麺にしました。最後には味覚が麻痺状態だったんですが、食わずにはいられないという中毒的旨さがありましたですね。

ということで、聴くのも熱い1枚を――

Oleo / Grant Green (Blue Note)

昨日に引き続き、本日も日本先行発売で人気を呼んだブルーノートの発掘盤です。というよりも、実はソニー・クラークが聴きたくなって取り出したのが真相です。

もちろんアルバムのリーダーはギタリストのグラント・グリーンなんですが、やっぱり、ねぇ~♪ という気持ちは分かっていただけると信じています。

録音は1962年1月31日、メンバーはグラント・グリーン(g)、ソニー・クラーク(p) というレーベルの看板スタアに加えて、サム・ジョーンズ(b) とルイス・ヘイズ(ds) が、当時のキャノンボール・アダレイ(as) のバンドから馳せ参じたという豪華カルテットです――

A-1 Oleo
 ソニー・ロリンズが書いたオリジナルにしてハードバップの定番曲ですから、このメンツなら快演は間違いなしと思いきや、グラント・グリーンがリードするテーマメロディが少し変奏されていて、煮えきりません。
 しかしアドリブパートに入れば、これぞブルーノートという痛快さがたっぷり! ルイス・ヘイズの躍動的なドラムスが見事です。
 そしてもちろん、ソニー・クラークは期待通りの名演で、まるっきりソニー・クラーク・トリオ状態♪ なにしろグラント・グリーンは何時もどおり、バッキングしませんからねぇ~。それが結果オーライというか、こっちが期待しているところです。

A-2 Little Girl Blue
 タイトルどおり、ちょっとネクラな雰囲気のスタンダード曲ですが、そこに潜む優しいフィーリングを上手く引き出すグラント・グリーンのテーマ演奏が見事だと思います。
 もちろんソニー・クラークは伴奏&アドリブソロで輝きまくりです。サム・ジョーンズの骨太なベースも良い感じ♪ ですからグラント・グリーンもアドリブパートではグイノリ感覚で、例の針飛びフレーズも聞かせてくれるのでした。

A-3 Tune Up
 マイルス・デイビスが書いたとされる、これもハードバップの定番曲なので、メンバー全員が大ハッスル! 特にドラムスとベースが熱くなっているようです。ソニー・クラークのバッキングもたまりませんねっ♪
 肝心のグラント・グリーンはパキパキのピッキングで歯切れの良い単音弾きに撤していますが、要所で入れるチョーキングや執拗な同一フレーズの繰り返しによる得意技も出すという、本当に素晴らしいノリの良さです。ただし、ややインスピレーションが不足気味でしょうか……。
 ところがソニー・クラークは好調です! 小気味良いファンキー感覚と物分りの良さが表出しているのです。まあ、それゆえに物足りなさもあるんですが、贅沢というものでしょうねぇ。

B-1 Hip Funk
 グラント・グリーンが書いた文字通りのファンキー曲です。なにしろテーマ部分はコード弾き主体で演じられるという珍しさですが、何とも言えない泥臭さが漂います。
 しかしアドリブパートには不思議な浮遊感があって、デスコードしているような、あるいはウェイン・ショーター風の異次元モード感覚までも感じられます。つまり、どこか煮えきっていないという……。もちろん演奏そのものは立派に成立していますが……。
 ところがソニー・クラークがアドリブを始めると、あたりは一瞬にしてハードバップに変化しますから、流石です。強引にファンキーへ持って行くような荒業までやってしまいますからねぇ♪
 う~ん、セロニアス・モンクが書きそうな曲だったのか? という疑問までも湧いてくる、これがお蔵入りしていた原因なんでしょうか……? しかしサム・ジョーンズが立派すぎます!

B-2 My Favorte Things
 オーラスはミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」からのスタンダードというよりも、今やジョン・コルトレーンの演奏で有名になったモダンジャズ曲と言って良いでしょう。
 もちろん、ここでの演奏はジョン・コルトレーンのバージョンを大いに意識していますが、ソニー・クラークはマッコイ・タイナーになれるはずも無く、またルイス・ヘイズはあくまでもハードバップに撤していますから、グラント・グリーンも心置きなく自分だけの世界を追求しているようです。
 う~ん、なかなか良いアドリブメロディを弾いてくれますねぇ~♪ もちろん十八番の針飛びフレーズも出ますし、リズム隊との息もぴったりです。
 そしてソニー・クラークは、戸惑いながらの名演とでも申しましょうか、迷い道ながらも纏まりを大切しているあたりが、面白いところです。
 ちなみに、このセッションから3年後1965年になって、グラント・グリーンはエルビン・ジョーンズとマッコイ・タイナーというジョン・コルトレーンのリズム隊を連れてきて、この曲を再演レコーディングしているので、聴き比べも一興でしょう。それは「マタドール」というアルバムに入っています。

ということで、これは1980年になって、ようやく陽の目を見たセッションなんですが、内容は上等ですから、ブルーノートに膨大なレコーディングを残したグラント・グリーンにとっては、恐らく発売の時期を逸しただけの事だと思います。

そして個人的にはソニー・クラークのトリオ物という感覚で入手した1枚です。サム・ジョーンズとルイス・ヘイズというコンビは、様々なレコーディングに参加していますが、ここでのソニー・クラークとのトリオは、なかなか極上の組合せでした♪

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