OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

客演リー・モーガン、容赦なし!

2010-08-26 16:44:49 | Jazz

The Night Of The Cookers Vol.1 / Freddie Hubbard (Blue Note)

今日は朝っから、猛烈にジャズが聴きたくなりました。

う~ん、こんな気分は久しぶりですねぇ~~♪

いったい原因はなんなのか?

ちょいと自問自答したくなるほどです。

で、実は先日から昨夕まで、関西方面へ出張していたんですが、これが猛暑なんて言葉を超越した灼熱地獄!?! 1日に午前と午後、衣服と下着を替えねばならないほど、汗びっしょり……。仕事よりも暑さに苦しめられたんですが、おかげで少しは体が絞れたような感じなんですよ。

なんかジャズモードに入ったのも、その所為かもしれませねぇ。

ということで、取り出したのが、本日の1枚というわけです。

録音は1965年4月10日、「ラ・マーシャル」というクラブでのライプセッションで、メンバーはフレディ・ハバード(tp)、リー・モーガン(tp)、ジェームズ・スポールディング(as,fl)、ハロルド・メイバーン(p)、ラリー・リドレー(b)、ピート・ラロッカ(ds)、ビッグ・ブラック(per) というガチンコの面々なんですが、実質的には当時のフレディ・ハバードが率いていたレギュラー・バンドにリー・モーガンが特別参加したものと思われます。

A-1 Pensative
 とにかく軽快にしてシャープなボサロックのビートを叩き出すピート・ラロッカが、まずは最高です。もちろんリズム隊全員の堅実さも、モダンジャズの王道でしょう。
 ですから楽しいテーマメロディから先発のアドリブをリードしていくリー・モーガンのミュートトランペットが実に快いですよ♪♪~♪ フルートでホノボノとした彩りを添えるジェームズ・スポールディングも良い感じ♪♪~♪
 いゃ~、和みますねぇ~♪
 ところが続けてフレディ・ハバードが登場すると、現場には微妙な緊張感が支配的というか、先鋭性を滲ませた駆け足的なアドリブフレーズを多用し、その合間にリラックスしたキメを入れ込むという遣り口には、大スタアを迎えながらも、バンドリーダーとしての意気地が感じられるのですが、それは決して成功とまでは言い難く……。
 個人的にはリー・モーガンの圧勝とさえ思うほどです。
 そして演奏はハロルド・メイバーンのモードなアドリブを経て、リー・モーガン対フレディ・ハバードの延々としたアドリブ対決に突入するのですが、その混濁した感情の縺れ具合は、あまり良い感じがしません。極言すれば、サイケおやじはピート・ラロッカのタイトなボサロックビートが無ければ、聴いていられないと思うほどです。
 ちなみにステレオバージョンでは真ん中からリー・モーガン、左チャンネルからフレディ・ハバードというのが基本的な定位なんですが、通常アドリブのパートも含めて、それが左右にしょっちゅう変化するんですよねぇ……。まさか演じている本人達がステージをうろうろ移動しながらということも、あまり考えられませんし、おそらくはカッティングマスターを作る段階でのミックス作業なんでしょう。最終的には右チャンネルへと定位するリー・モーガンということで、バトルの実相は更に激烈になるのですが……。
 そういうわけですから、モノラルバージョンでの団子状のミックスの方が、そのゴッタ煮風の味わいが良かったりするのでした。
  
B-1 Walkin'
 これはご存じ、マイルス・デイビスを筆頭に幾多の名演が残されているモダンジャズのブルースですから、リー・モーガンにとっては何の問題もありえない快演がお約束!
 実はこのアルバムはフレディ・ハバードのリーダー盤としての分類が一般的なんですが、驚くのは、この演奏はフレディ・ハバード抜き!?!
 ですからリー・モーガンも遠慮の無いハードバップ魂を完全披露したというわけでもなんでしょうが、とにかく初っ端からアップテンポでブッ飛ばす熱演には溜飲が下がります。
 う~ん、これが当時のリー・モーガンの日常だったんでしょうねぇ~♪ 録音データ的には「ザ・ランプローラー (Blue Note)」や「ジゴロ(Blue Note)」といった人気リーダー盤を吹き込んでいた頃ですから、十八番のトリッキーなフレーズや単独でボケとツッコミを演じてしまう独壇場の芸風が冴えまくりですよ♪♪~♪
 また、それに負けず劣らずの熱演を展開するのがジェームズ・スポールディングのアルトサックスで、その過激な勢いはエリック・ドルフィーの世界に近くなっているほどですし、当然ながらフリーにも片足を突っ込んでいるのですが、頑固なリズム隊がそれを許さない姿勢は潔いばかり! 特にピート・ラロッカは猛烈に叩きまくりながらも、絶対に基本のジャズビートを外していません。
 あぁ~、こういう安心感って、大切だと思いますねぇ~♪
 闇雲のフリーやモードよりも、ずぅ~っと難しいんじゃないでしょうか?
 まさにモダンジャズ全盛期の勢いが最高潮!
 そして演奏は打楽器の共演となり、またまたリー・モーガンとジェームズ・スポールディングの熱血バトルが展開されての大団円!
 これぞっ、ガチンコのモダンジャズです!

ということで、実に爽快なライプ盤です。

ちなみに既に述べたように、ここではリーダーのフレディ・ハバードよりも、客演したリー・モーガンが主役の様相になっていますが、実は同時に作られた「第二集」ではフレディ・ハバードが本領発揮の大活躍を聴かせてくれますので、併せてご堪能下さいませ。

あぁ、久々にジャズって最高っ!

そう思った日には、きっと良いことがあるに違いない!

そう、思い込んだのですが……。

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2 コメント

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Unknown (TK)
2010-08-26 17:29:35
これは1と2合わせて強烈なセッションですよね~


ハバードもモーガンとの共演ライブという刺激からかいつものアナタと違う感じで激しく凄いはウッフンみたいな(笑)


さてハバードとモーガンの位置が変わるのは、狭いステージで交錯してマイク位置はそのままじゃないかと思うのですがどうでしょう?


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ステレオ処理 (サイケおやじ)
2010-08-27 16:52:06
☆TK様
コメント、感謝です。

ライブの現場でナアナアは禁物ですよね。

さて、このライブはご指摘のように狭いステージとチャンネル数の少ないレコーディング環境による混濁処理の結果だと思います。
実際、「Walkn'」では、テーマ吹奏やアンサンブルで左チャンネルにあったアルトサックスが、アドリブパートでは右から聞こえるわけですが、その瞬間の変化は完全にフェーダーを使ったような感じなんですよね。

まあ、それはそれで面白いんですが(笑)。
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