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サイケおやじの生活と音楽

藤本三重子の魅力

2023-08-29 17:50:08 | 歌謡曲

あゝ新宿の夜は更けて c/w 北のブルース / 藤本三重子 (ビクター)

藤本三重子は昭和歌謡界における美人歌手のひとりというのが世評の定まったところではありますが、サイケおやじにとっては、とにかく最初の出会いが昭和44(1969)年に公開された渡哲也主演の日活映画「野獣を消せ(長谷部安春監督)」に出演し、レイプされたりする被虐の美人女優が彼女であり、その男好きのする面立ちとナチュラルなフェロモンが滲み出る佇まいこそは、当時から全くロリ趣味の無かった十代のサイケおやじを虜にする魅力に満ち溢れていましたですねぇ~♪

そして、ここからは後に知った事として、藤本三重子は「野獣を消せ」出演以前から既にレコードを幾枚も出している歌手であり、ここでの起用は、なんとっ!

――当時、会社から干され気味だった長谷部安春監督に命令として、2ヵ月ほどスケジュールが空いている渡哲也の主演作を撮る企画が申し渡され、ここで制作されたのが前述の「野獣を消せ」だったわけですが、劇中の演出にヌードやレイプシーンが欠かせない事で日活からは女優を出してもらえず、そこで探し出しての出演となったのが藤本三重子だったそうですから、世の中は分かりません (^^;

それでも映画としての「野獣を消せ」はハードボイルドな日活ニューアクションを代表する名作に仕上がってはいたものの、それは後年の評価であり、リアルタイムの興行成績はイマイチだったところへ、さらにラストシーンにおける渡哲也への演技演出について上層部から猛烈な批判があったそうで……。

このあたりは、件の「野獣を消せ」がパッケージ化されておりますので、ご確認いただきたいわけですが、そこで本日掲載のシングル盤は、藤本三重子が古巣のキングレコードからビクターに移籍して後の昭和45(1970)年に発売された1枚であり、ど~です、まずはジャケ写ポートレートで大アップの彼女に魅了されるんじゃ~ないでしょうか (^^♪

―― と、思っているのはサイケおやじだけかもしれませんが、それはそれとして、まずは作詞:西条直樹&作曲:渡久地政信、そして編曲:寺岡真三が提供のA面曲「あゝ新宿の夜は更けて」に針を落とせば、流れて来るのは典型的なミディアムテンポの盛り場演歌であり、曲タイトルどおり「新宿」を舞台に哀しみを背負いつつ、しぶとく生きる女の心情を節回す彼女の声質の細身の唸りとコブシの「しつこさ」は、ど~にも彼女のルックスに不釣り合いな気もいたしますが、これは当時の日吉ミミあたりに代表される流行のスタイルだったと思えば、程好いジャズフィーリングが表出するバックの演奏共々に、その仄かな泣き節がイイ感じ ♪♪~♪

ですから、作詞:杉紀彦&作曲:渡久地政信、そして編曲:寺岡真三が手掛けたB面曲「北のブルース」が、これまた流されて生きる夜の街の女の哀歌という、ミディアムテンポの泣き節演歌に仕上がっているのも当然が必然と申しましょうか、こちらは尚更に場末感も強いところではありますが、なかなか歌詞も良く練られていると思いますし、なによりも藤本三重子の歌いっぷりは、A面よりも気持ちが入っているんじゃ~ないでしょうか (^^)

結果的にヒットしたとは言い難いレコードですし、サイケおやじにしても完全なる後追いの中古ゲットですから、それなりの感想はご容赦願いとうございます <(_ _)>

そして、実はサイケおやじは、彼女のレコードよりも先に、他の映画出演作を探していたのが本当のところでして、そこで発見したのが前述「野獣を消せ」と同じ昭和44(1969)年に公開された東映制作の成人映画「徳川いれずみ師責め地獄(石井輝男監督)」であり、これは皆様ご存じのとおり、片山由美子の初主演作でありながら、その残酷猟奇趣味全開の内容に各方面から顰蹙とクレームの大嵐となった興行的失敗作……。

もちろん、そんなこんなは当時未成年であったサイケおやじは観る事が叶わない闇の世界の映画でしたから、これも後追い鑑賞ながら、そこでの藤本三重子は売春宿で奴隷の如く扱われている刺青女郎を徹底的に苛め抜くという、鬼の様な悪女を演じ、そのクールな魅力を存分に堪能させてくれたんですねぇ~~♪

この作品も現在、DVD化されておりますので、ぜひとも、ご覧くださいませ (^^)

今となっては世界最高の猟奇映画として、高評価を得ているという、その実相は十人十色の感性に委ねられるとは思いますが、片山由美子のフレッシュな頑張り共々、サイケおやじは好きです (^^♪

ということで、話は相当に逸れてしまったんですが、藤本三重子という歌手・女優は、なかなか奥深い存在かもしれません。

レコードは、他に1枚しか所有しておりませんが、映像出演作共々に探索は続行中!

う~ん、映画と歌謡曲の関係性が如何にも「昭和」という時代と思うばかりです。

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