■ここだけの話 / 畠田理恵 (リプリーズ / ワーナーパイオニア)
現在では将棋の羽生善治夫人として知られるというよりも、実はサイケおやじが例によって「異郷での空白期」に絶大な人気を集めたアイドルという正体を知らなかっただけの話ではありますが、とにかく掲載したのは、その畠田理恵の歌手デビュー曲「ここだけの話」をＡ面に入れたシングル盤です。
もちろん、リアルタイムで歌っている彼女に接した事は皆無でしたから、とにかく発売された昭和62(1987)年当時は、このジャケ写ポートレートの印象どおり、正統派の美少女アイドルだったとしたら、麻生圭子が綴った幾分衝撃的な歌詞の内容は、そ～したルックスイメージとは裏腹の「あざとさ」を意図的に狙ったものかもしれませんし、なにやら同時代に全盛期を極めていた中森明菜の路線を踏襲したと思えない事もありません。
ですから、その狙いを完璧に具象化（？）しているのが山本達彦の作曲の素晴らしさであり、クールなオシャレ系のマイナーメロディが冴えまくり♪♪～♪
ちなみに山本達彦は和製ＡＯＲ系のシンガーソングライターとして、この２～３年前から人気を集めていた都会派の新鋭であり、スティーリー・ダンやドッド・ラングレンからの影響も滲む作風は、ある意味ではマニアックでスマート過ぎるところも感じられるので、決して女の子アイドル向きの曲を提供出来るとは思えなかったのですが、こ～した現実に直面（？）してみれば、それは驚きというのがサイケおやじの偽りの無い本音です。
そして肝心の畠田理恵の歌唱力が、ちょっぴり危なっかしいという個性（？）を逆手に活かしたのが、中村哲のアレンジの秀逸さ！？！
思わせぶりなストリングスのイントロから、流行の打ち込みサウンドの用い方は当然が必然かもしれませんが、シンセ主体の派手なリズム隊の中でも、特にベースのパートには妙な人間味を感じますし、コーラスパートのオシャレ感も素晴らしいと思うばかり ♪♪～♪
間違いなくヒット狙いのツボを押さえまくった仕上がりでしょう。
うむ、これこそ、「クール」は「カッコイイ」とか「粋」という意味を持った言葉の本質を教えてくれるんじゃ～ないでしょうか。
サイケおやじは、後追いながら、これ一発で畠田理恵が気になる存在になった瞬間、それは平成８(1996)年でしたが、冒頭に述べたとおり、彼女は人妻になってしまったのでした。
ということで、ここ２日ほどは私的理由から失礼致しました。
おかげさまで、どうにか平常の生活に戻りつつありますが、実は流行病か？
という心配もありまして、結果的にそれは全くの杞憂だったんですが、冷や汗びっしょりだったという、それが……、ここだけの話というわけです。
