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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

今朝、急に聴きたくなったオーティス

2009-05-13 10:06:43 | Soul

ドッグ・オヴ・ベイ / Otis Redding (Volt / 日本グラモフォン)

私が初めてオーティス・レディングを意識した最初の曲が、いみじくも、この天才ボーカリストの遺作でした。原曲タイトルは、(Sittin' On) The Dock Of The Bay ♪♪~♪

それは昭和43(1968)年の初夏のことで、既にオーティス・レディングが飛行機事故で亡くなっていたことは当時、人気があった朝の若者向けワイドショウ「ヤング720 (TBS)」等々からの情報で知ってはいたのですが、実際にオーティス・レディングの歌をリアルタイムで聴いたのは、これが初めてだったのです。

そして一聴、妙に達観しているというか、不思議な哀しみが滲み出た歌唱に???

というよりも、当時の黒人大衆音楽、所謂R&Bは強いビートをベースにしながらも、例えばモータウンに代表されるスマートでメロディアスなポップス系か、もしくはウィルソン・ピケットやサム&デイヴのようなワイルドで熱い魂の叫びが魅力のギトギト系の二通りしか、私は意識していませんでした。

もちろん実際には、もっと多彩な楽しみが、黒人音楽にはあったわけですが……。

そこで、この曲はイントロの波のSEから、真摯でジェントルな歌い出し、そして強いビートとメロディ優先主義の演奏が、ジワジワと胸に迫ってくるという感じでした。

実は告白すると、私はオーティス・レディングがそれまでに大衆を熱狂させていた、あの強烈なソウル魂が溢れる歌は、聴いたことがありませんでしたから、それが結果的に良かったのかもしれません。

というのも、後追いで聴いたオーティス・レディングの熱唱名演の数々とは、明らかに異質なスタイルが、ここに楽しめるからです。おそらくデビュー当時からオーティス・レディングを聴き続けてきたファンの皆様ならば、大いに違和感を覚えたんじゃないでしょうか?

しかしそれにしても、この録音に関しては、セッション終了後の週末巡業中に飛行機事故で急逝……、という事実を鑑みても、歌詞の内容が意味深すぎます。

故郷を遠く離れた老人が独り、サンフランシスコの夕日の港で、海を眺めて物思い……。

後で知ったことですが、オーティス・レディングの歌は圧倒的にラブソングが多いのですから、こんな人生のせつない終焉を歌った曲が遺作になるとは、あまりにも出来すぎで、絶句するしかありません。

もちろん当時は中学生だったサイケおやじには、歌詞の意味も、その重さも、リアルタイムで理解していたはずもありませんが、この物悲しい雰囲気には非常に胸を熱くさせられました。

これも、ソウルミュージックの魅力なんですねぇ~。

そして当然ながら、速攻でこのシングル盤を買い、オーティス・レディングを追いかけ始めたわけですが、やはり聴くほどに早世が悔やまれてなりません。

ちなみに最近、有名人の訃報が連続にあって、本日は朝から、このシングル盤を聴きたくなったわけですが、やはり先ごろ天国へ召された忌野清志郎のキメ台詞「愛しあっているかい?」は、オーティス・レディングがオリジナルとされています。

それは1967年のモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演したオーティス・レディングが、歴史的な熱唱となった「I've Been Loving You Too Long」を歌い出す前のMCの一節として、そのドキュメント映画に残されていますが、そこで字幕に「愛しあっているかい?」が出るのです。

ただし残念ながら、現在のソフトでは別に訳されているそうですが……。

それはそれとして、オーティス・レディングは映像作品も様々に出ておりますので、その熱いパフォーマンスにもシビレて下さいませ。

とにかくオーティス・レディングの影響を受けた歌手や音楽家の存在は限りなし!

享年26歳、しかし、その天才は永遠に不滅です。

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フェンスの向こうから来たスティーヴィー

2009-05-08 12:47:20 | Soul

Talking Book / Stevie Wonder (Tmala)

人類の遺産ともなったスティーヴィー・ワンダーの、この名作アルバムが世に出たのは、アメリカでは1972年の晩秋だと思いますが、もちろん我が国では翌年の春の発売でした。

しかしサイケおやじは前作アルバム「心の詩」、そして最新シングル曲の「迷信」にシビレきっていましたから、一刻も早く、これを聴きたくてたまりません。

とはいえ、当時は輸入盤を扱っている店も少なく、しかも値段が日本盤よりも高かったことを思えば、世の中の不条理を嘆くばかり……。もちろんアメリカへ行けば全てが解消することは分かっていましたが、その頃は今とは想像もつかないほどに、アメリカは遠い憧れの国……。

ところが、アメリカは身近に存在していたのです!

それは日本に駐留する米軍基地でした。そして中にある売店では、普通にアメリカの商品が売られていたのですから、レコードだって同じことです。

もちろん、そこへ一般の日本人がノコノコと入っていけるはずもありません。ですが、米軍関係者や基地内の労働者に知り合いがいれば、全ては解決するのです♪♪~♪

つまりそういう友達や知り合いに買い物を頼むという裏ワザがっ!

これを教えてくれたのは、先輩のお姉様のご友人がプロのミュージシャンで、彼等は最新の音楽情報を得るために米軍関係者にお願いをしているというのです。ちなみに、この裏ワザは昭和20年代から行われていたらしく、音楽関係者の間ではプロレスでいうところのケーフィと同じだったと思われます。

当然ながら、税金の問題がありますから、基地内から商品を持ち出すことは大量には無理です。しかしレコードぐらいだったら、それほど問題にならなかったようですが、それでも違法行為なんでしょうか……。

まあ、それは時効ということで、これ以上は詳しく書きませんが、とにかくそうやって入手したスティーヴィー・ワンダーの新作アルバムには、それこそ全てが逆転したような凄い衝撃が詰まっていました。

もちろん基本はスティーヴィー・ワンダーが各種キーボードやドラムスを駆使して作りだした演奏パートと歌で占められていますが、そこへホーン・セクションやギター、そしてペースや打楽器、コーラスで加わっている少数のゲストの存在感も抜群のバランスで目立つという、そうした最高のプロデュースもスティーヴィー・ワンダー自らの才能の証明でしょう。また当然ながら、収録楽曲は全てが自作です。、

A-1 You Are The Sunshine Of My Life
 今ではスタンダードとなったスティーヴィー・ワンダー自作の名曲ですが、まずはアルバムに針を落とし、初めて聴いた時の吃驚仰天は今も忘れられません。
 鉄腕アトムの主題歌と同じようなコードの響きからエレピがホンワカと気持ち良いイントロ♪♪~♪ しかし歌が入ってくると、それはスティーヴィー・ワンダーの声ではありません!? そして続くパートでは、なんと女性の声が主旋律を歌うのです! その和みの美メロが素敵なだけに、これは??? もしかしたら、中身のレコードが違うんじゃないか? とさえ思った次の瞬間、サビに入ってから初めて、スティーヴィー・ワンダー自らのボーカルが聞かれるんですねぇ~♪
 あぁ、なんという遊び心!
 とてもアルバムのド頭に仕掛けるようなイタズラではありません。
 凄い自信というか、自惚れというか、否、これはスティーヴィー・ワンダーが一流の洒落なんでしょうかねぇ~。去っていくかもしれない愛しい人にせつせつと語りかける歌の内容があればこその美メロ主義が、ここまで効果的に表現される、その刹那の手段のあざとさには脱帽するしかありません。
 ちなみに、ここで最初にリードボーカルを聞かせる男性歌手が Jim Gilstrap、女性ボーカルは同じくコーラスで参加している Gloria Barley か Lani Groves のどちらかだと思われますが、この3人は当時のスティーヴィー・ワンダーのツアーバンドレギュラーだと言われています。
 さらに何といっても、この曲メロのハートウォームな素晴らしさ♪♪~♪ ボサロック系のリズムの和みも最高の極みですから、後にはシングルカットされ、もちろん大ヒットしたのも当然が必然なのでした。

A-2 Maybe Your Baby
 そして一転して始まるのがヘヴィなファンクピートが強烈な粘っこさ!
 その大部分がキーボードで作られているのも驚異だと思いますが、バックで絶え間なく弾きまくられるギターは、これも当時のバックバンドではレギュラーだったレイ・パーカーJr. です。
 ちなみにこの人はご存じ、後にはハービー・ハンコックのヘッドハンターズを経て独立し、ブラコン路線の甘~いバラードをウリにしてブレイクするのですが、こういうハードな仕事もやっていたのですよっ♪♪~♪
 そしてスティーヴィー・ワンダーのドラムスが、実に素晴らしいです!

A-3 You And I
 さらにまたまた一転、今度は完全にスティーヴィー・ワンダーが一人舞台というスローバラードの世界です。ピアノとシンセの響きが巧みに融合した演奏パートと静謐にして情熱的なボーカルの味わい深さは、本当に感動的ですねぇ~♪ もちろん曲メロの素晴らしさは言わずもがな、これも愛する人にせつせつと2人の存在の必要性を訴える歌詞の中身が、当時の作者の心情吐露でしょうか……。
 なにしろセッション前後のスティーヴィー・ワンダーは、シリータ・ライトとの離婚問題で悩んでいたそうですからねぇ。後には神の領域にまで踏み込んでいくスティーヴィー・ワンダーの姿勢を鑑みれば、こういう等身大の姿には共感を覚えてしまいます。

A-4 Tuesday Heartbreak
 これぞ、典型的な「スティーヴィー節」が楽しめるファンキーポップスの隠れ名曲♪♪~♪
 ワウワウなキーボード、ソウルフルなコーラスに加えて泣きまくるサックスが実に最高なんですが、これがなんとデイヴィッド・サンボーン!
 もちろん当時、サイケおやじはこの人の事は何も知りませんでしたが、その名前はこの演奏だけで、深く胸に焼き付いてしまいましたから、後年のフュージョン期の大活躍が待ち遠しいばかりに夢中になったのも、ご理解願います。

A-5 You've Got It Bud Girl
 シングル盤「迷信」のB面にもカッフリングされていた、これも「スティーヴィー節」が全開の名曲でしょう。そのミステリアスでハートウォームな曲メロの魅力に加え、ここではバックの演奏パートの緻密な構成がニクイほどです。
 当然ながら、それゆえに幾多のカバーバージョンが作られたのもムベなるかな、しかしクインシー・ジョーンズですら、このオリジナルバージョンを凌駕することが出来なかったのは、納得されると思います。
 ちょっと聴きには雑なシンプルさが、逆に凄いんじゃないでしょうか。

B-1 Superstition
 やっぱり、この曲はレコードの一発目が似合います!
 B面とはいえ、ド頭はこれしかありませんよっ!
 そうした気分はCDでは6曲目という位置取りが、ちょっと違和感もあるんですが、ダイレクトに選曲出来るという特性があれば、それでも許せますね♪♪~♪
 それでは皆様、ご一緒に踊りましょう♪♪~♪
 ちなみにシングルバージョンとは微妙にミックスが異なると感じるのは、私だけ?

B-2 Big Brother
 という奥の細道的な思いに浸る前曲最終パートのフェードアウトに被ってくるのが、スティーヴィー・ワンダーが十八番のキーボードによるギターのアルペジオ風味というイントロの爽やかさ♪♪~♪ もうひとつの得意技であるハーモニカも素敵です。
 そして極めてポップな感覚は、従来のR&Bというジャンルからは遠く離れた、まさにスティーヴィー・ワンダーだけの世界でしょう。それがあるからこそ、サイケおやじは夢中になったのですが、イノセントに黒人音楽に熱中しているファンからすれば……。

B-3 Blame It On The Sun
 という感覚は、この曲に引き継がれ、ピアノと生ギターで作られるイントロから静かに歌い出されるメロディの素晴らしさ! ちょっとポール・サイモンかポール・マッカトニーという雰囲気も濃厚です。
 愛する人が去って悲しい気分は、太陽が輝かない所為だとする大袈裟な失恋な歌も、最後にはお互いの責任を嘆くという、いやはやなんともの歌の中身を知れば、ここでの全てが笑いたいほどに滑稽なものに感じられますが、それを逆手にとった生真面目が尊いのかもしれません。
 その意味で曲と演奏の完成度は、流石だと思います。

B-4 Lookin' For Another Pure Love
 これが、ある意味ではアルバムのハイライト曲でしょう。
 フワフワしたメロディと脱力系のボーカルが化学変化したような、所謂AOR系の仕上がりなんですが、ギターで参加しているのが前作「心の詩」でも名演を披露したバジー・フェィトン、そしてジェフ・ベック!
 極めてジャジーな伴奏を聞かせるバジー・フェイトンに対し、感覚的な即興が冴えまくりというジェフ・ベックのギターソロが、こんな曲調とは相反する凄味を醸し出していきます。しかも澄みきったギターの音色そのものが、実に魅力的なんですねぇ~♪
 当時はR&Bが急速にロック化していった、所謂ニューソウル期の入口だったわけですが、こうしたロック系の人脈とも繋がりながら、全く自分の存在意義を失っていないスティーヴィー・ワンダーの天才性! それは今になっての後付け的な感想ではありますが、リアルタイムで聴いた時の不思議にゾクゾクする感覚は、サイケおやじにとっては未来永劫続くものでしょう。本当に激ヤバだと思います。

B-5 I Believe
 オーラスは再びスティーヴー・ワンダーが全てを独りで作り上げた感動のスローバラード♪♪~♪ ビートルズっぽくあり、ゴスペル風味も強く、そして何よりも「スティーヴィー節」のじっくりとした歌唱にシビレます。
 歌の内容は、もう一度、信じられる人に巡り合えて云々という、小柳ルミ子の「おひさしぶりね」の世界と通じるというか、未練な世界のような気もしますが、スティーヴィー・ワンダーの強固な決意表明は本物ということでしょうか。
 このアルバムはLP片面づつ、曲間が極端に短く、トラックによっては前曲のラストと被っているほどの構成と流れからして、その最後には、やはりこの曲しかないと感じてしまうのでした。

ということで、もちろんスティーヴィー・ワンダーには、この作品よりも素晴らしいアルバムが以降に作られていますし、個人的にも一番好きとは言えません。

しかし初めて聴いた時の衝撃度と喜びは何物にも優っています!

ロックとかR&Bの境界線が無い、しかしそれは曖昧では無いスティーヴィー・ワンダーの個性だと思います。まあ、作詞の一部にはシリータ・ライトやイヴォンヌ・ライトの手も入っていますが、それでも本人の歌の世界は不動でしょう。

またジャケットに点字が刻まれていたのも、当然のようで画期的だったんじゃないでしょうか。このあたりは日本盤LPや最近のCDでは、どうなっているのか分かりませんが!

とにかく全てが新しかったですねぇ~。それは今でも感じます。

最後になりましたが、これを入手したのと同じ裏ワザは、以降も使ってしまいました。ただし翌年になると、輸入盤屋が急速に開店し、いよいよLPも買い易くなったというわけですが、それは海賊盤地獄という、新しい罠に陥る前触れでもありました。

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キーボードファンク爆発の迷信

2009-05-07 08:43:34 | Soul

迷信 / Stevie Wonder (Tamla / ビクター音楽産業)

価値観が変わってしまうとか、人生の衝撃とか、それは十人十色に様々あると思います。

日頃から何かにつけて大袈裟なサイケおやじにしても、本日ご紹介のスティーヴィー・ワンダーには、これまで以上に歓喜悶絶させられた記憶が、尚更に鮮明な1曲です。

イントロのリミッターが効いたドラムスのシンプルにしてヘヴィなビート、それに続くクラヴィネットによるファンキーなリフ! それはキーボードの多重録音効果も鮮やかなスティーヴィー・ワンダーの独り舞台なんですが、歌が始まってから被さってくるホーンリフのカッコ良さも、実に衝撃的でした。

日本で世に出たのは昭和48(1973)年でしたが、実はFENでは前年末から流されまくっていたと思います。もちろんサイケおやじは、それを聴いた瞬間、全身に電気が流れたという些か使い古された言い回しが、決して嘘では無かったことを実感したのです。

そして発売されたシングル盤を、速攻でゲットしたのは言わずもがな!

今でこそ、こうしたキーボードファンクは、例えばハービー・ハンコックがやっていたとか、決して珍しいものでは無くなっていますが、当時は衝撃的に新鮮でした。何よりもホーンセクション以外の全てを、スティーヴィー・ワンダーが自ら作り出しているという事実にも驚愕させられるだけです。

タメの効いたドラミングにしても、良く聴けば幾層にも重ねられているようですし、鳴り続けてビートをキープしていく低音域のキーボードプレイ、さらにクールな熱気を満たしていく、最高にキャッチーなファンキーリフ! スティーヴィー・ワンダーのボーカルも、あの「スティーヴィー節」が全開という「力み」と「味」が、短調なメロディと日本人には意味不明の「迷信」を唱えるという、文字通りの熱唱が痛快です。

というかボーカルパートとバックの演奏カラオケが実に素晴らしく融合しているんですねぇ~♪ 歌の合の手に入るドラムスのブレイクとか、あるいはキメのリフの整合性は直観的に考え抜かれたとしか思えません。

ですから、当然ながらチャートのトップを独走するウルトラ級のメガヒットでした。

ちなみにこの曲は、ジェフ・ベックが元バニラ・ファッジのティム・ボガード(b,vo)、そしてカーマイ・アピス(ds,vo) と組んだ執念のハードロックバンドというBB&Aでもカバーされていますが、ジェフ・ベック本人が語るところによれば、この曲は本来、自分にプレゼントされたものだと言い張るところから、当時は相当に熱くなっていたらしいですねぇ。すると後年、「哀しみの恋人達」をスティーヴィー・ワンダーが提供したのは、罪滅ぼし!?

まあ、それはそれとして、この曲にシビレたサイケおやじは、既に全米では物凄い勢いで売れているというスティーヴィー・ワンダーの新作アルバムを聴きたくてたまりませんでした。

ところが当時は日本とアメリカでは発売にタイムラグがあり、当然ながら我が国での発売状況なんて、数か月遅れがザラでしたし、輸入盤も簡単には手に入らず、そもそも扱っている店が極端に少なく、さらに値段も日本盤以上に高かったのですから……。

しかしそこに現れたのが救いの神♪♪~♪

サイケおやじは、ついに禁断の裏ワザを知ることになるのですが、それは次回のお楽しみと致します。

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スティーヴィー・ワンダーの心の詩

2009-02-06 11:47:05 | Soul

Music Of My Mind / Stevie Wonder (Tamla)

スティーヴィー・ワンダーを私が強く意識したのもまた、ストーンズの所為でした。

それは1972年、ライブ最強時代のストーンズが敢行した北米巡業の前座がスティーヴィー・ワンダーであり、しかも興業のフィナーレでは両者がジョイントで「サティスファクション」と「アップタイト」をメドレーで演じているというニュースを知ってからの事です。

う~ん、そういえば「アップタイト」は「サティスファクション」を焼き直したR&Bだしなぁ~!

今となっては、全くの贅沢で豪華なライブなんですが、ただし当時のスティーヴィー・ワンダーは今ほどの大物ではなく、特に我が国ではモータウンに所属している盲目の天才少年歌手というイメージしかなかったと思います。

実際、私が知っていたヒット曲にしても、前述の「アップタイト」とか「涙をとどけて」等の正統派R&Bでした。

しかしそのニュースは、前座ながらストーンズに負けない歌と演奏を聞かせているとして、大人気を伝えていたのです。

そして当時、我が国ではストーンズの大名盤アルバム「メインストリートのならず者」が発売され、ラジオでもその中から何曲かを流すのが音楽番組の常でしたから、それ関連してスティーヴィー・ワンダーの新作アルバム、つまり本日ご紹介の1枚から数曲が放送されたのを私が聞き、忽ちグッとシビレたのです。

しかも驚いたことに、歌やコーラスはもちろん、演奏のほとんどを盲目のスティーヴィー・ワンダーが各種のキーボード、当時はシンセサイザーと呼ばれていた楽器で作りだしていたのですから!

 A-1 Love Having You Around
 A-2 Superwoman
 A-3 I Love Every Little Thing About You
 A-4 Sweet Little Girl
 B-1 Hppier Than The Morning Sun / 輝く太陽
 B-2 Girl Blue
 B-3 Seems So Long
 B-4 Keep On Running
 B-5 Evil / 悪魔

とにかく全編、殊更にR&Bに拘っていない姿勢が非常に新鮮でした。

まず冒頭「Love Having You Around」は、ほとんど白人ブルースロックというノリがあって、しかし緻密でありながら骨太のグルーヴが心地良い演奏は、各種のキーボードとコーラスを巧みに積み重ねて作りだしたものでしょう。個人的には、このアルバムの中では一番つまらない曲だと思いますが、全体をトータルな構成として聴けば、やはり最初はこれしか無いと納得しています。

そして続く「Superwoman」は今やスタンダードとなった名曲のオリジナルバージョン♪♪~♪ 爽やかなエレピに彩られた優しいメロディはポール・マッカートニー系の甘さがたまらず、さらにこのアルバムでは少ない助っ人のパートを演じるバジー・フェイトンのメロウなギターの心地良さ♪♪~♪ スティーヴィー・ワンダーの歌とコーラスの味わいは言わずもがな、完全ソロアルバムとしては無残な姿をさらしたポール・マッカートニーの単独初リーダー盤「マッカートニー」は、もしかしたら、こんな音作りを目指していたのかなぁ? なんて妄想も浮かんでくる完成度です。

そうした同系の歌と演奏ては、「I Love Every Little Thing About You」も最高の極みつきですし、これも多くの歌手にカバーされている「輝く太陽」の爽やかフォークの香りは絶品です♪♪~♪ キーボードがギターのアルペジオっぽいスタイルを演じているのも高得点でしょう。

また後年、昭和歌謡のAORで存分に焼き直された「Girl Blue」の胸キュン度も相当に高いですねぇ~♪ その意味では泣きの歌いまわしが心に染み入るスローな「Seems So Long」も良い感じ♪♪~♪ これはジャズっぽさも隠し味になっています。

気になる黒っぽさというあたりは、「Keep On Running」でクラビネットがグビグビに唸り、ドラムスがモータウン所縁のファンキーなピートを再現して、まさにスティーヴィー・ワンダー流儀のファンクな世界が原石で提供されています。

あと開放的なメロディが楽しく、さらに曲構成にも凝った「Sweet Little Girl」は、白人AORやファンキーロックとして多くの追従者が出たほどの隠れ名演だと思います。

そして大団円は厳かにして涙そうそうという「Evil」が、何ゆえにこの世の不幸を作り出すのか、せつせつと悪魔に語りかけるスティーヴィー・ワンダーの熱い歌唱とせつないメロディの完全融合という、実に感動の名曲名演です。

ちなみにこうしたアルバムを制作したスティーヴィー・ワンダーの意図は、つまり自分の好きな音楽をやりたいということでした。そして長年在籍していたモータウンとの契約が終了した1971年、あえて自主制作でこのアルバムの音源を録音し始めたのです。

それには当時の妻で歌手でもあったシリータ・ライト、またシンセサイザーや各種キーボードを新規開発していた数名のスタッフの協力もあって、それまでの本拠地だったデトロイトからニューヨークへとスタジオも代え、あくまでもスティーヴィー・ワンダー自身の音楽を追求していく、新しい挑戦でした。

このアルバムがそれほどR&Bになっていないのは、おそらくはその所為でしょう。しかしそれこそが、新しい時代のソウルミュージックであったことは、以降、次々に発表されていく傑作で明らかです。

その意味からしても、このアルバムにはスティーヴィー・ワンダーの本質が絶対にあるはずで、まさに聴かず嫌いは勿体ない!

もちろんスティーヴィー・ワンダーはキーボードの他にも得意のドラムスや泣きのハーモニカを存分に聞かせてくれますし、なによりも全編に満ちるハートウォームな雰囲気の良さは最高だと思います。

制作当時、スティーヴィー・ワンダーは21歳!

邦題「心の詩」に偽り無しの世界が、このアルバムには確かに感じられ、私はスティーヴィー・ワンダーの全作品中、これが一番好きなのでした。

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やっぱり凄い! アレサのゴスペル

2009-01-21 11:37:43 | Soul

Amazig Grace The Complete Recordings / Aretha Flanklin 
                                                                    (Atlantic / Rhino = CD)

アメリカでは初めての黒人大統領が就任ということで、昨夜から今早朝にかけて、ついついテレビ中継を見てしまいました。なんか今日は仕事がキツイ感じです、もう若くありませんから……。

しかしそれにしても、あの黒人ゴスペル大会みたいなノリは凄かったですね。新大統領の演説には明らかにゴスペル伝道師の趣というか、明快な言葉で民衆の心を掴む説法のツボが使われていると感じました。

おまけにアレサ・フランクリンの熱唱までも!

ということで、本日は私の大好きなゴスペルアルバムを出してしまいました。

主役はレディソウルことアレサ・フランクリンが1972年に制作した、彼女自身が最大のベストセラーとなった「Amazig Grace (Atlantic)」を再発した完全版2枚組CDです。

アレサ・フランクリンは説明不要の黒人R&B歌手ですが、そのルーツはゴスペルであり、父親は有名なゴスペル説教師のクラレンス・フランクリンですから、大衆音楽の世界で成功したとはいえ、何時かはゴスペルの世界へ戻りたいと願っていたようです。

そしてその願望を最良の形で表したのが、1972年1月にLAのパブティスト教会で行った2夜連続のライブレコーディングを編集して作り上げた前述の2枚組アナログ盤LPでした。

まさに全身全霊で魂の歌を聞かせるアレサ・フランクリン(vo,p) をサポートするのは、ゴスペル界の巨匠たるジェィムス・クリーヴランド(vo,p)、南カリフォルニア・コミニュティー聖歌隊、そしてバックはコーネル・デュプリー(g)、チャック・レイニー(el-b)、バーナード・パーディ(ds)、ケン・ラッパー(org)、パンチョ・モラレス(per) という強力な面々ですから、たまりません!

そしてこの再発CDには、その2日間のコンサートが、極力編集を排除した流れで復刻されているのです。

☆Disc One / 1972年1月13日木曜日の夜
 01 Organ Introduction / ケン・ラッパー
 02 Opening Remarks / ジェィムス・クリーヴランド
 03 On Our Way / 南カリフォルニア・コミニュティー聖歌隊
 04 Aretha's Introduction
 05 Wholy Holy
 06 You'll Never Walk Alone
 07 What A Friend We Have In Jesus
 08 Precious Memories / アレサ・フランクリン&ジェィムス・クリーヴランド
 09 How I Got Over
 10 a. Precious Lord, Take My Hand
     b. You've Got A Friend
 11 Climbing Higher Mountains
 12 Amaging Grace / アレサ・フランクリン&ジェィムス・クリーヴランド
 13 My Sweet Lord (inst.)
 14 Give Yourself To Jesus

 上記演目のとおり、アレサ・フランクリンが登場する前段として、実に厳かな思わせぶりがあって、いよいよ主役が歌い出すのは、なんとモータウンの大スタアとして有名なマーヴィン・ゲイが書いた「Wholy Holy」ですよっ! あぁ、ここまでの盛り上げ方が実に上手いというか、全く見事な構成だと思います。当然、その場の観衆も出来あがっているのが、音だけでも充分に伝わってきますね♪♪~♪
 で、その「Wholy Holy」はアレサ・フランクリンがピアノを弾き語り、メロウなコーネル・デュプリーのギター、ジンワリとして強いビートのドラムスとベースが、もういきなりの高得点! バックのコーラス隊も良い感じですし、もちろんアレサ・フランクリンは絶好調の泣き節が全開です。
 原盤解説によれば、実はアナログ盤2枚組LPに入っていた同曲のバージョンは、この日と翌日のカラオケだけを利用して、スタジオでボーカルを録り直したそうですから、この自然なグルーヴと高揚感には、尚更に納得させられますねぇ~~♪
 また有名スタンダード曲の「You'll Never Walk Alone」が崇高な雰囲気に満ちた名演に歌い直されているのには吃驚仰天! おまけにキャロル・キングやジェイムス・テイラーでお馴染みの「You've Got A Friend」までもがっ! あぁ、これがアレサ・フランクリンの凄さですし、真正ゴスペルのピアノと語りでサポートするジェームス・クリーヴランド、バックの聖歌隊の存在感も強い印象を残します。
 そしてもちろん真っ当なゴスペルソングの名曲群も素晴らしいパフォーマンで、やはり彼女がピアノの弾き語りでグイグイとリードしていく「What A Friend We Have In Jesus」、その場の一体感が見事な「Precious Memories」、コーラス隊の素晴らしい実力が冴える「Precious Lord, Take My Hand」と「You've Got A Friend」のメドレー、軽快なゴスペルロック仕立ての「How I Got Over」、楽しげに高揚していく「Climbing Higher Mountains」と、実に自然体なグルーヴが満喫出来ます。
 そして極みつきのとなるのが、アレサ・フランクリンとジェームス・クリーヴランドが魂の掛け合いを堪能させてくれる「Amaging Grace」です。もちろんコーラス隊と観客、バンドの面々も一体となった盛り上がりは、所謂「お約束」なんて言葉が不要の、無垢な感動しかありません。これはキリスト教徒でなくとも、間違いなく感じることの出来る名演だと思います。
 さらにこの後に続くクロージングのインスト曲「My Sweet Lord」はジョージ・ハリスンの大ヒットとしてお馴染みのメロディが、最強のバンドによって祭りの後のせつなさで演じられます。あぁ、ここで聞かれるコーネル・デュプリーのギターは私の憧れ♪♪~♪ チャック・レイニーの蠢くベースにズバンズバンのビートが凄いバーナード・パーディ♪♪~♪ 地元のミュージャンだというケン・ラッパーのオルガンも流石の黒人ノリで最高ですよっ♪♪~♪
 ちなみにオーラスに入っている「Give Yourself To Jesus」は、アナログ盤LP用に作られた素材で、この教会で録られたカラオケにボーカルとコーラスを後でダビングしたと、ライナーに書いてあるとおり、流石の完成度でジンワリと心が温まります。

☆Disc One / 1972年1月14日金曜日の夜
 01 Organ Introduction ~ Opening Remarks
 02 On Our Way / 南カリフォルニア・コミニュティー聖歌隊
 03 Aretha's Introduction
 04 What A Friend We Have In Jesus
 05 Wholy Holy
 06 Climbing Higher Mountains
 07 God Will Take Care Of You
 08 Old Landmark
 09 Mary, Don't You Weep
 10 Never Grow Old
 11 Remarks By Reverend C.L. Franklin
 12 Precious Memories / アレサ・フランクリン&ジェィムス・クリーヴランド
 13 My Sweet Lord (inst.)

 こちらのパートも基本的な構成は前日と同じですが、より剥きだしとなったゴスペルフィーリングが強烈な印象です。それは特に後半、前日とは異なる演目が入っている所為かもしれませんが、単純に言えば、ノリがますます良いんです♪♪~♪
 じっくりと観客を煽っていく「God Will Take Care Of You」ではバンドの地味な伴奏が逆に凄く、狂騒的な「Old Landmark」の手拍子&足拍子の楽しさ、ジワジワと熱気に満ちていく雰囲気が素晴らしい「Mary, Don't You Weep」を聴いていると、宗教的な意味合いが深く込められた歌詞は完全に分からなくとも、そのハーモニーとボーカルの圧倒的な威力には思わず神に感謝の気持ちを抱くほどです。
 生きているって、素晴らしい! それが苦しみの世界であっても!
 そしてアレサ・フランクリンは「Never Grow Old」で、15分を超える魂の熱唱を披露するのですが、これはまだ十代だった彼女の公式初リリース曲でもあり、ビッグスタアとなった今でも、その時のピュアな心情を忌憚無く感じさせてしまう凄さがあります。
 さらに続くのが、彼女の父親であり、百万ドルの声として説教アルバムを多数出している超有名な伝道師=クレランス・フランクリンのスピーチ! そこでは「アレサの心は、今でも教会を離れていない、どうかそれを信じて、彼女の歌声を」と、ある意味では親バカ系の話をしていますが、ここまでの流れの中では、全くそのとおりの感動が広がります。
 そして厳かに熱い「Precious Memories」から終焉のインスト曲「My Sweet Lord」へと続くクライマックスのせつない高揚感は、まさに唯一無二の素晴らしさです。

ということで、実に生々しく溢れ出たソウルがしっかりと記録されています。

ゴスペルという宗教性、そのアクの強さゆえに万人が好む音楽ではないでしょうが、ジャズでもロックでも、とにかく黒人音楽とは切り離せないルーツが、ここに素晴らしすぎるパフォーマンスで残されているのは、それに触れる絶好の機会だと思います。

ちなみに原盤解説によれば、当夜の模様はフィルム撮影も行われたとか!? その発掘も心から願っています。

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魂の高揚♪

2005-09-20 15:25:05 | Soul

元・代議士が覚醒剤で捕まった、というのは、つまり落選したから捕まえたという雰囲気ですねぇ。覚醒剤関係の事件は内偵が執拗らしいので、当選していたら、どうしていたろう? 多分、逮捕されなかったんでしょうかねぇ……。

ということで、本日のBGM――

The Best Of Ray Charles (Atlantic / Rhino)

クスリの助けがなくても、魂を高揚させることが出来ます。例えば、プログレはドラッグが無い国で人気があるとされていますし、ソウル・ミュージックにも熱くさせられますね。

土台は教会のゴスペル、つまり黒人の御詠歌ですね、それに替え歌をつけて、あの娘が好きだよ、イェ~、イェ~、としたのが、レイ・チャールズです、大雑把に言うと。

中でも、一番有名なのが「What'd I Say」でしょう。

で、このアルバムには、その「Part-1」が収録されているのがミソです。つまりシングル・バージョンということ!

大抵のアルバムには「Part-1」と「Part-2」、つまりロング・バージョンが収録してありますが、チャート・マニアならば、きちんと分離した「Part-1」を集めましょう。これがなかなか、ありませんでしたが、ここで目的達成♪ カタログ番号は、Rhino 8122-71722-2 です。あと、もうひとつ、このアルバムのオススメはラストの「Just For A Thrill」で、心底、しんみりと秋の夜長を過ごせます。

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