OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

本気だった1969年のラスカルズ

2012-02-24 15:44:39 | Rock

See c/w Away Away / The Rascals (Atlantic / 日本グラモフォン)

ヤング・ラスカルズとしてのデビュー期から、既に黒人ソウルミュージックにどっぷりだったラスカルズが、もはやブルーアイドソウルと言うよりも、ますますソウルジャズに接近して行った時期のシングル盤が本日のご紹介です。

世に出たは1969年でしたが、しかし皆様もご存じのとおり、ラスカルズにしてもその途中経過には所謂サイケデリックに耽溺していた作品が残されており、それらについては追々に書きたいと思っていますが、とにかくバンドサウンド中心主義に立ち帰ったような姿勢は初期の白人R&Bスタイルの発展系として、なかなか好ましい限り!

それはA面収録の「See」からして、ヘヴィに突進するハードロックを基本にブリブリにドライヴするエレキベースが強烈無比な存在感を誇示するのですから、たまりません♪♪~♪

ちなみにラスカルズは、エディ・ブリガッティ(vo,per)、ジーン・コーニッシュ(g,vo)、フェリックス・キャバリェ(org,p,vo)、ディノ・ダネリ(ds) という公式デビュー以来の顔ぶれですから、ここでのエレキベースは助っ人の仕事であり、それが当時の業界では第一人者であったチャック・レイニー!

という真相を知ったのは、後に「See」が収録されている同名LPを入手してからなんですが、それにしてもラスカルズ本体をがっちりサポートし、全篇のグルーヴをハードロックとソウルミュージックの幸せな結婚に導いていく手腕は流石だと思います。

なにしろ、実はキャッチーなメロディが全く出ない楽曲を最後まで圧倒的な勢いで聴かせてしまうのも、それゆえの事と納得させられるんですよっ!

しかし、ラスカルズの面々も決してそれに負けていないのが、この「See」の大きな魅力であって、そのエレキベース共々に大きくミックスされたドラムスのハウスっぽいバタバタ感や骨太に泣くギター、サイケデリックの残滓の如きコーラスとくれば、なにかボブ・ディランの曲をザ・フーが演奏し、それをノーザンソウルビートで味付けしたと書けば、少しは共感いただけるでしょうか。

ただし当然ながら、提出されているのはラスカルズそのものに他なりません。リードを歌うフェリックス・キャバリェの熱血ボーカルとキーボード主体で書かれたと思しき曲作りも良い感じ♪♪~♪

そこでB面収録の「Away Away」こそが、リアルタイムの真骨頂とでも申しましょうか、これまたサイケデリックのニューロック的発展形と言えばミもフタもないんですが、ギターとキーボードによるアドリブの応酬やブリブリにドライブしまくったエレキベースをさらに煽るドシャメシャなドラムス!

当時、ここまでゴッタ煮のハードロックをやらかしていたバンドは、ちょいと類似が発見出来ないと思いますし、当然ながらソウルっぽい隠し味は「隠し」になっていないジーン・コーニッシュの自作自演は狂言寸前かもしれませんねぇ~♪

実際、これをライプでやったら、延々としたアドリブがどうにもとまらない!?

あぁ、タイムマシンがあったらなぁ~、この時期のラスカルズのステージは絶対に見たいですよっ!

と、そういう想いは尽きせませんが、現実的にはこれ以前のメガヒット「自由への賛歌 / People Got To Be Free」が黒人公民権運動に与したと白人資本家から糾弾され、ラスカルズは相当な苦境に立たされていたそうですし、このシングルも一般的なヒット性感度が薄かったことから、以降はズルズルと落ち目街道へ……。

それでもファン、というよりもファンキーロックやソウルジャズの愛好者は、このあたりからラスカルズを再発見していく実態は確かにあって、サイケおやじもそのひとりであります。

もちろん、当時のサイケおやじは経済状態が苦しく、ラスカルズのLPは買えませんでしたから、シングル盤で「じっと我慢の子」であり、それでも充分に妄想を膨らませてくれる納得感がありましたですねぇ~、ラスカルズにはっ!

ということで、このあたりが自らの音楽的嗜好の原点のひとつと気がついたのは、実はかなり後の事だったんですが、それゆえに好きなものは好きと言える状況は、確実に今日まで続いています。

いゃ~、本気でラスカルズ万歳! です。

コメント (4)
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