原題は「THE DUKE」で、盗まれたゴヤの「ウェリントン公爵」の「公爵」の意味らしい。きっと他にも意味があるんだろうなあ。オープニングの音楽がJAZZなので、デューク・エリントンと何か関係あるのかと思った。
イギリスらしい映画だった。ちょっとブラックなユーモアに満ちた、しゃれたセリフでドンドン話が進む。久々に良い映画を観た。特に、今、精神が救われる映画だ。
私が生まれる4日前に、「ウェリントン公爵」が、ナショナル・ギャラリーから盗まれた。主人公のケンプトン・バントンは、今の私と同じ60歳の設定なんだが、どー見ても70代前半だ。で、見た目はともかく、彼みたいな人、私の同級生の男子(いやおじさん)の数名を混ぜたような感じで実際にいるんだよね。ちょっと話すとずっーと日本の政治のここが悪い!と言って実際に政治活動をしている人、仕事はそこそこに趣味の発表に一生懸命な人とか。この年齢になると、あの主人公はあるあるなんだよね。
パーキーと呼ばれ、英国人より休憩時間が短いパキスタン人は「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディか、結局BBCの老人(年金受給者)の放送料無料化は2,000年まで実現しなかったというのは観た後暗い気持ちになった映画ベスト10に入る「わたしは、ダニエル・ブレイク」とか。BBCの社員がグラナダTVに転職してたりとか。モンティ・パイソンの、予算のないBBCネタのエピソードとかを思い出したり。この後イギリスは、さらに不況になるんだよなあとか。
ヘレン・ミレンは相変わらず良い役者さんで。ヘレン・ミレン演じる奥さんにとっては、絵画の盗難事件の解決より、多分10年以上前に事故で亡くした娘の死をどう乗り越えていくかの方が重要だったような気がする。子供を先に亡くしてしまった親の心情は、計り知れない。
あまり歓迎されてない長男の恋人も含めて、家族全員で外食する幸せな姿は、むしろ切ない。
裁判も陪審員制度の面白さも楽しくて。弁護士通しのやり取りも。
で、ネタバレになるが。
まさか真犯人がいたとは。事実という事で、それもビックリだ。
楽しい映画だった。観て良かった。
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