面白かった。脚本がいい。
そりゃ、「いやいや、それはないでしょ」という強引なシーンはあったけど、129分で映画は終わるんで、いろいろ決着はつけないといけないからしょうがない。
登場人物全てに見せ場があり、それぞれの人生や葛藤や過去やこれからを、うまく処理して魅せてくれてる。重くて、息苦しいストーリーなのに、適度に笑わせる。
これに、TVドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の出演者も出てくるんだが邪魔にならないし、ドラマを観てなくても全然大丈夫。ドラマのメインキャストでも映画のメインキャストでないもないのに、ちょっと映る時間が長い人は、ドラマでゲストだった人のその後を描いているんだなと、想像できる。だから、むしろ《シェアード・ユニバース・ムービー》なんて、強調しなくてもいいのに。TBSの圧力か?
そして「ラストマイル」という題名、「荷物がお客様に届くまでの最後の区間」のことで、物流業界の用語では普通はラストワンマイルと言われる。ので、物流業界の、はっきり言えば、Amazonのブラックフライデーなど通販が物流業界にどんだけ負担をかけているかという話だ。主人公エレナが勤めるDAILY FAST(実質Amazon)サイドの人間も、歴代の関東センターのセンター長も、エレナ自身も、その上司たちも、会社のシステムで病んでしまっている。もちろん、配送を請け負っている会社やその下請けのドライバー達もヘロヘロだ。
末端ドライバーの親子に見えない、火野正平&宇野祥平ペアも悲哀に満ちた毎日の配達生活(いや、火野正平はやりがいを持って一生懸命働いているんだが)を丁寧に描いていると思ったら、最後に大活躍!しかも、あの洗濯機がこんな所で活躍するとは! 今、調べたら宇野祥平って「罪の声」で、逃げ回っていた痩せこけた弟だったんだ!あっ、「罪の声」の脚本も、この作品と同じ野木亜紀子なんだ。
ロケ地は、上空からの巨大な倉庫は、Gメッセ群馬。群馬駅から近いとは言え、あんな巨大で稼働率大丈夫なんだろうか? 工場内ロケの協力は、機械工具卸売商社のトラスコ中山株式会社「プラネット埼玉」「プラネット北関東」だそうだ。「(商品の出荷を)停めない!」って、あんなにエレナが言ってたのに、よくこの会社は停めて、ロケに貸したなあ。まず、このロケ地あっての映画だもんなあ。この会社のロゴの色がブラック×オレンジなんで、DAILY FASTのロゴもブラック×オレンジにしたんだろうなあ。トラック、羊急便に混じって1台だけブラック×オレンジているあったもんなあ。
あとね、爆破シーンも上手なんだよ。爆破の瞬間、ハラハラさせといて、そして、きれいに人が飛んでいく。人間が炭化する過程も丁寧でさあ。本当に上手!下手なアクション映画より、完成度高い。
真犯人の凄みと覚悟も。そして、人間誰でも真犯人側に行きそうな危うさも。
で、ネタバレ&ツッコミ
①映画を観た人は誰もが思うが、夜中に大手物流業者の社長の合意を執って、あんな書類が作成できる訳はない。
②エレナが赴任したてなのに、倉庫で迷わない。倉庫バイト経験者の私は知っている。マップ見ても絶対に迷う! (そして、ロールBOX扱う時は、ヘルメット着用のはずだ。本当はね。でも映画だからこれはいいか。)
③配送代行サービスがなんとなくしか分からない。
④本当はJANシールを外した後に、張り替えて元の棚に戻さなければならないはずだが、そうすると時間がかかるし、人に見られる危険がかなり高い。部門が違うのに派遣社員がウロウロしてたら目立つと思うが。
⑤医療用備品のストックがない?そんな馬鹿な。災害時にどうするんだ?
⑥レントゲンの機械、輸入品になるのに1日で届いて倉庫までたどり着くのか?
んん? 結構多いな。
二度観る人もいるそうだ。誰か誘ってくれたら、もう一度観てもいいな。
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