もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

150810 小沢一郎:国会議員はもっと闘う姿勢を見せるべき!憲法違反の安保法案廃案、ファシスト安倍退陣!

2015年08月10日 22時58分55秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
8月10日(月):   戦争大好きです! 日本会議会員の前原誠司です。 お世話になった外国籍市民のおばちゃんもきちんと差別するよ! ハッシー(橋下)と仲良しだし、ほんとは維新と民主党をくっつけて党首になりたかったんだけど、どうも雲行き怪しいし、民主党に隠れてスキルスしてる方が得みたいなのでスキルスしてまーす。でも最近、変なオヤジに絡まれて困ってるんだ。この「もみ」たら言うオヤジなんなんや?!うっとしいなあ。気持ちよくスキルスして、集団的自衛権の安保法案成立後に、思う存分「現実的」に活用したいのに、ほんま邪魔やで! ってか

  憲法違反で立憲主義を否定した安保法案に対して野党、特に民主党が「相変わらず、枝葉の議論ばかり」をやって、安倍に塩を送ってしまっているのは、民主党内に前原詐欺師や長島戦争屋がのさばっていて、安倍政権に集団的自衛権の安保法案を作らせて、責任だけをとらせて立憲主義を否定した安保法案の成立を陰で望んでいる連中がいるからだ。この不純さが、民主党を信用できない政党にしているのだ。
「150717 安保法案強行採決、立憲主義破壊を前に声もあげず鳴りを潜めている前原誠司詐欺師が恐ろしい。」
「150718 立憲主義の否定、安保法案強行採決を一切批判・非難しない日本会議前原詐欺師が恐ろしい。その2」
「150718 記録です。906 PV、 199 IP:日本会議前原誠司詐欺師(民主党)への危機感が共感を得たのかな? 」

を読んで下さいませm(_ _)m。
 小沢一郎氏(C)日刊ゲンダイ
日刊ゲンダイ:安保法案を潰す秘策を話そう/小沢一郎 <第6回>国会議員はもっと闘う姿勢を見せるべき  2015年8月10日 
  沖縄県の米軍普天間基地の辺野古移設で、政府が工事の1カ月中断を決めた。これは安倍政権が追い込まれていることの表れだと思う。あれだけ強行に進めてきたのに、中断せざるを得なくなったのは、県民だけでなく、国民全体が、安倍首相の強権的な姿勢と戦前回帰的な思想に、どんどん批判的になってきたからだ。安保法案で「潮目」が変わった。辺野古の問題がそれに重なって、安倍政権にいま、大きな逆風が吹き始めている。工事中断は1カ月と言っているが、いったん止めたら、再開は難しくなるだろう
  とにかく安倍首相には信念や理念というものがないのだと思う。自分の頭で論理的に考え、結論を出していないから、いざ逆風が吹いてくると、どうしても気持ちが揺らいでしまう。強気も弱気も風次第。情緒的な感覚で政治をやっているように見える。辺野古移設や安保法案の是非は別として、国のため、国民のために、何としても必要だと思うのなら、自らの主張を貫き通せばいい。途中で腰折れになってしまうようでは、トップリーダーとして失格。安倍さんにトップリーダーは、荷が重すぎるのではないか。
  首相補佐官の暴言などもあり、安倍政権に対する国民の視線は、ますます冷ややかになっている。野党にとって、いまは攻勢をかけるべき時だ。ところが国会では、相変わらず、枝葉の議論ばかり。後方支援での弾薬の提供をめぐって、「手りゅう弾はいいのか」「ロケット弾はどうなのか」などと野党が質問している。これでは安倍首相の思うツボで、ごまかしの言葉遊びに引っ張り込まれてしまう。何度も言っているが、どうしてもっと本質的な議論ができないのか
 委員会で安倍首相に「ポツダム宣言を読みましたか」と質問したらいい。安倍首相の強権的で戦前回帰的な発想の裏には、ポツダム宣言を受け入れず、極東軍事裁判をはじめとする戦後体制に懐疑的な姿勢が透けて見える。ここを突くべきなのだ。必ず答弁で立ち往生する。
 日本はポツダム宣言を受け入れ、全面降伏して、戦後体制が始まった。安倍首相は戦後体制に否定的な考え方だから、「70年談話」でも必ずごまかそうとする。閣議決定をしないで、私的な談話にするという話が出たのもそうだ。総理大臣の談話に公的も私的もない。どうしてそういう姑息なやり方をするのか。
 国民がこれだけ批判を強めているのだから、国会議員も、もっと闘う姿勢を見せて攻めないといけない。以前、不信任案の連発で衆院の再議決を阻止できるという話をした。他にも、村山富市元首相が「与党が法案を強行に成立させるならば、野党全員が議員辞職を」と言っていたが、国民に覚悟を示すには、例えばそういう方法もある。安倍政権に対する国民の批判がこれだけ高まっているのだから、絶対に廃案にできる。いま野党の本気度が問われている


150810 一年前:140809 憲法で保障された「健康で文化的な生活」を解釈変更する違憲政治屋の片山さつき

2015年08月10日 15時12分12秒 | 一年前
8月10日(月):

片山さつきは、現代日本に棲息する生きた悪魔だ! 次回の参院選挙では絶対に落選させなければいけない! こいつのことを考えると正直心が汚れてくたびれる。うんざり。

140809 憲法で保障された「健康で文化的な生活」を解釈変更する違憲政治屋の片山さつきを全面糾弾する!
8月9日(土):「憲法第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「健康で文化的な最低限度の生活」とは、<生きるか死ぬかのレベル>では断じて...


以下、Afternoon Cafeから引用:
“生活保護キラー”片山さつき氏の人となりを示すエピソードをメモ  2013/06/04 13:00
  自分のなかにある思い込みや願望を正当化するため、目も耳もふさいで事実を見ようともしない。憎悪にまみれた妄想がまるで現実であるかのように結論ありきでまくし立てる(前の記事参照)「生活保護キラー」の片山さつき氏はそういう人物の代表格に一人にあげられると思います。

  片山氏と安田浩一氏の生活保護に関する対談をまとめたtogetterがあります。(「生活保護 激論120分 蔓延する「不正受給」は本当か」週刊朝日 2012年07月20日号 122-125頁の内容の一部ツイートです)
そこからいくつかピックアップしてみましょう  http://togetter.com/li/511918#

「本当に困窮して三食食べられない人がどれくらいいると思う?ホームレスが糖尿病になる国ですよ」「ホームレスの血糖値を測ったら高かったと言うのは有名な話」安価な炭水化物を摂っているから血糖値が高いhttp://t.co/WkVfttcAAA

片山:大阪西成で65人の居住者のうち64人が受給者だというマンションを見てきましたが、一部屋が4畳半か6畳一間とか。私が82年に大蔵省に入省したときの寮なんてそれより狭かった
安田:そのことを生保の受給者と同列に語るのはおかしいですよ
片山:でも私は自力で大蔵省に入りましたよ

片山さつき、安田浩一の生活保護に関する対談より
片山「怠けている人が生保を受けて年収4百万の人より良い暮らしをしているんですよ」
安田「年収4百万どこから来た数字ですか?」
片山「税金も払わないでしょ」
ずっとこの調子話がかみ合わない

片山さつき「日本の生活保護受給者は旅行にも行くしお酒も飲んでいるでしょう。生活保護を受ける人は自立してないんだからある程度の不自由は(あるべき)」「私は自力で大蔵省に入りましたよ。問題は自力で頑張った人と頑張らなかった人に差がつかなかったら、誰も頑張らない」安田浩一との対談で

片山さつき:(話を聞いた医者が)受診する生活保護受給者の身なりや生活ぶりは決して困窮していないと言ってますよ
安田浩一:誰もが分かりやすく困窮状態であることを示さない限り受給できないというのでしょうか
片山:じゃ、見に行けば?
安田:見に行ってますよ。取材してますから

片山さつき 生活保護受給者は「税金医療費もNHK受信料もタダ。その他色んな公的料金がタダと考えると実質年収4百万円で色んな税金を払うよりいい暮らし。日本の生活保護のように何の義務もないのって仏で言えばチャリティー(慈善活動)。教会に駆け込めばパンとスープが食べられるという。」

片山さつき:逆に聞くけど生活保護を受けられなくて、困っていてよろよろ倒れそうな人がいっぱいだという調査結果はあるんですか
安田浩一:実際受給できずに餓死した人もいるじゃないですか。研究者もいろんな調査をやってますよ…略 
片山:あなた、派遣村に行きました?  安田:取材しました

安田浩一:生活保護受給者の大半が高齢者。傷病障害世帯の33%と母子世帯の7・7%を合わせ全体の8割
片山さつき:高齢者でも年金少ないし息子とも離れて住んでるからと生活保護をもらって毎日ゲートボールをしてる人はいる
安田:だから、それはどんな手法で調査をして出てきた結果なんですか。

片山さつき:外国人に支払われる生活保護費1200億円の内3分の2は朝鮮半島出身者向け。韓国なんて1人当たりの名目GDPが2万ドルを超えているんだから自国で面倒をみていただきたい
安田浩一:歴史的背景から在日コリアンの人数が多いのは当然、納税者としての側面も見ないとフェアじゃない

安田浩一:生保バッシングと在特会の思考様式は共通している。保守としての矜持をお持ちであれば、生保の議論を在日批判、レイシズム(排外主義)に回収するのはやめてほしい
片山さつき:私はレイシストではありませんし、国籍や参政権で区別することは、保守のオーソドックスな考え方ですから。

片山さつきの「韓国なんて1人当たりの名目GDPが2万ドルを超えているんだから自国で面倒をみていただきたい」が叶ったとして、在日コリアンの納税先はどこ?韓国に?まさか日本に納税だけして、社会保障は韓国で受けろと?大蔵省出身の政治家らしく具体的な政策を持って発言してほしい


  片山氏は生活保護受給者というものはおよそ怠惰な性格の持ち主であり、保護費で図々しくも左うちわの贅沢三昧をしている、そして不正受給が氾濫している、という都市伝説をまるで見てきたかの如くまくし立てます。こういう人はいくら生活保護の実態を突きつけてもそれを頑としてシャットアウト、なかったことにしてしまえるのが特徴です。働けるのに働かない怠け者ばかり、贅沢三昧な生活、というのは実態調査に基づいてはなく片山氏の想像に基づいているとしか言えません。貧困者は高カロリー低栄養の安価な食品しか口にできないため、アメリカでは低所得者層ほど肥満や糖尿病が多いというのは有名だというのに、不正受給件数が全体に占める率は1.8%、不正受給額は0.3%ほどしかないというのに、全てスルー。
  そして、何故か自分が大蔵省へ入ったときの話と生活保護を並べて話すという意味不明な比較をしたり、在日コリアンへの排外主義に誘導したりするのも怠りません。いかにも“片山さつきらしいお仕事”をきっちりこなしていますね。残念なことに片山氏のようにネームバリューがある政治家が行うこのような誹謗中傷・デマは、まことしやかに世間に浸透してしまいます。このようなデマを広めて憎悪を掻き立てるような人物は政治家になってはいけません。  

150810 一年前:3 122 赤坂真理「愛と暴力の戦後とその後」(講談社現代新書;2014/5月):感想5

2015年08月10日 14時27分18秒 | 一年前
8月10日(月):

3 122 赤坂真理「愛と暴力の戦後とその後」(講談社現代新書;2014/5月):感想5
7月9日(土):301ページ  所要時間 4:10     図書館著者50歳(1964生まれ)。16歳の日本人少女が「昭和天皇は戦争犯罪人である」を論題にアメリカの高校でデ...

150810 一年前:140805今の天皇のことを思い、泣きそうになった。朝日新聞夕刊の池澤夏樹【終わりと始まり

2015年08月10日 14時06分23秒 | 一年前
8月10日(月):

140805 今の天皇のことを思い、泣きそうになった。朝日新聞夕刊の池澤夏樹【終わりと始まり】
8月5日(火): 朝日新聞夕刊の池澤夏樹【終わりと始まり】で、  これはどういうことだろう。我々は、史上かつて例のない新しい天皇の姿を見ているのではないだろうか。(略)...


 俺は「天皇制」に批判的な考えの持ち主である。しかし、現天皇夫妻とその意思を大切にする皇太子には強い敬愛心を持っている。この人たちの弱い立場にある人たちを理解しよう、寄り添い、少しでも勇気づけたいという努力には頭を下げざるを得ない。一方で、天皇家とのつながりを強調してナショナリズムを煽るバカどもを見ると強烈な軽蔑心と敵愾心をどうしても抑えられない。天皇夫妻や皇太子の努力を無駄にするバカどもに対して憎悪と怒りを禁じえない。
        

150809 SEALDsに連帯のエール!拡散希望!:朝日「声」欄 元予科練の加藤敦美さん(86)の投稿を掲載

2015年08月10日 03時33分16秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
8月9日(日):  
学生デモ 特攻の無念重ね涙  無職 加藤敦美(京都府 86) 朝日新聞「声」欄(7月18日付け)
  安保法案が衆院を通過し、耐えられない思いでいる。だが、学生さんたちが反対のデモを始めたと知った時、特攻隊を目指す元予科練(海軍飛行予科練習生)だった私は、うれしくて涙を流した。体の芯から燃える熱で、涙が湯になるようだった。オーイ、特攻で死んでいった先輩、同輩たち。「今こそ俺たちは生き返ったぞ」とむせび泣きしながら叫んだ。
  山口県・防府の通信学校で、特攻機が敵艦に突っ込んでいく時の「突入信号音」を傍受し何度も聞いた。先輩予科練の最後の叫び。人間魚雷の「回天」特攻隊員となった予科練もいた。私もいずれ死ぬ覚悟だった。
  天皇を神とする軍国で、貧しい思考力しかないままに、死ねと命じられて爆弾もろとも敵艦に突っ込んでいった特攻隊員たち。人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれていることすら知らず、五体爆裂し肉片となって恨み死にした。16歳、18歳、20歳……。
  若かった我々が、生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるように感じた。学生さんたちに心から感謝する。今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかったのだ。


日刊ゲンダイの記事を見て、新聞の山から投書を発掘、コピペではなく打ち直させて頂きました。この投書を拡散することが、SEALDsの学生たちを応援することにつながるよう願っています。
 昨年の夏から秋にかけて、大岡昇平の「レイテ戦記(上)(中)(下)」と「野火」を読んで、俺は人生観が変わるほど影響を受けた。
3 130 大岡昇平「レイテ戦記(上)」(中公文庫;1971) 感想5 2014/8/31 一日一冊読書開始 」
4 001 大岡昇平「レイテ戦記(中)」(中公文庫;1971) 感想5 2014-09-11 00:59:52 一日一冊読書開始 」
4 012 大岡昇平「野火」(新潮文庫;1951)感想 特5 2014-10-17 01:16:29 一日一冊読書開始 」
4 026 島本慈子「戦争で死ぬ、ということ」(岩波新書:2006) 感想特5 2014-11-25 01:57:30 一日一冊読書開始 」
4 028 大岡昇平「レイテ戦記(下)」(中公文庫;1971、補遺1984)感想5 2014-12-01 02:05:55 一日一冊読書開始 」
の記事もお読み頂ければ幸甚ですm(_ _)m。少し読み返すと、良いこと書いてますよ。
「3 130 大岡昇平「レイテ戦記(上)」(中公文庫;1971) 感想5」の抜き出し記事を少し紹介。
・「武蔵」沈没に際して:空から降ってくる人間の四肢、壁に張り付いた肉片、階段から滝のように流れ落ちる血、艦底における出口のない死、などなど、地上戦闘では見られない悲惨な情景が生まれる。海戦は提督や士官の回想録とは違った次元の、残酷な事実に充ちていることを忘れてはならない。「まわりには人影はなかった。僕は血のりに足をとられながら、自分の配置のほうへはうように駆けだした。足の裏のぐにゃりとした感触は、散らばっている肉のかけらだ。甲板だけじゃない。それはまわりの構造物の鉄板にもツブテのようにはりついて、ぽたぽた赤いしたたりをたらしているのだ。めくれあがった甲板のきわに、焼けただれた顔の片がわを、まるで甲板に頬ずりするようにうつむけて、若いへいたいが二人全裸で倒れていた。一人はズボンの片方だけ足に残していたが、いずれもどっからか爆風で吹き飛ばされてきたものらしい。皮膚はまともにうけた爆風で、ちょうどひと皮むいた蛙の肌のように、くるりとむけて、うっすらと血を滲ませている。とっつきの銃座のまわりにも何人かころがっていたが、一人はひっくりかえった銃身の下敷きになって、上向きにねじった首を銃身がジリジリ焼いていた。そこから少しさきへ行くと、応急員のマークをつけたまだいかにも子供っぽい丸顔の少年が、何かぶよぶよしたものをひきずるながら、横むきになってもがいている。歯を食いしばっている顔は、死相をだして土色だ。みると腹わたを引きずっているのだ。うす桃色の妙に水っぽいてらてらした色だった。少年は、わなわなふるえる両手で、それを一生懸命裂けた下腹へ押しこめようとしていたのだ。が、突然喉をぜえぜえ鳴らして、もつれた縄のような腸(はらわた)の上に前のめりに倒れたまま、ぐったりと動かなくなった。彼は息をひきとるまで、赤く焼けただれた指先でその腸をまさぐっていた。痙攣が走った。僕はそれを横目にみながらかけだした」(渡辺清「海ゆかば水漬く屍」)191~192ページ

・すべて大東亜戦について、旧軍人の書いた戦史及び回想は、このように作為を加えられたものであることを忘れてはならない。それは旧軍人の恥を隠し、個人的プライドを傷つけないように配慮された歴史である。さらに戦後25年、現代日本の軍国主義への傾斜によって、味つけされている。歴史は単に過去の事実の記述に止まらず、常に現在の反映なのである。257ページ

・特攻という手段が、操縦士に与える精神的苦痛は我々の想像を絶している。自分の命を捧げれば、祖国を救うことが出来ると信じられればまだしもだが、沖縄戦の段階では、それが信じられなくなっていた。そして実際特攻士は正しかった。/口では必勝の信念を唱えながら、この段階では、日本の勝利を信じている職業軍人は一人もいなかった。ただ一勝を博してから、和平交渉に入るという、戦略の仮面をかぶった面子の意識に「動かされていただけであった。しかも悠久の大義の美名の下に、若者に無益な死を強いたところに、神風特攻の最も醜悪な部分があると思われる。/しかしこれらの障害にも拘らず、出撃数フィリピンで400以上、沖縄1900以上の中で、命中フィリピンで111、沖縄で133、ほかにほぼ同数の至近突入があったことは、我々の誇りでなければならない。/想像を絶する精神的苦痛と動揺を乗り越えて目標に達した人間が、われわれの中にいたのである。これは当時の指導者の愚劣と腐敗とはなんの関係もないことである。今日では全く消滅してしまった強い意志が、あの荒廃の中から生まれる余地があったことが、われわれの希望でなければならない。285ページ

・初の特攻隊の部隊名の由来:「敷島の大和心を人問はば朝日に匂う山桜花」(本居宣長) 288ページ

・戦闘において、あれほど頑強だった日本兵が、一度捕虜になってしまうと、比島人と同じ阿諛を示すのも、米兵を驚かせた事の一つだった。彼らは例外なく米兵を親切で紳士的だといい、軍部を憎んでいたといった。略。/「とても同じ日本兵とは思えない」という感想に対し、情報部将校が答えた。「日本軍の訓練は厳しく、階級の差別はひどい。兵隊は奴隷みたいなもんだ。一度義務から解放されると、彼等が極端から極端に移るのは当然なのだ。われわれの軍隊とは違うんだ」341~342ページ


閑話休題、頑張れ!SEALDs!
日刊ゲンダイ反安倍のうねり SEALDsが動かした! 決定的なのは想像力の差 彼らは利己的だから戦争反対なのか  2015年8月8日
  “安倍チルドレン”の武藤貴也衆院議員(滋賀4区)がシールズをツイッターで、「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく」と批判したが、本当なのだろうか。
  明治大学大学院の千葉泰真さん(写真)は先月31日、都内で開かれた安保法制反対集会で、「敗戦によって悲しみの底に投げ出された日本人だから持てる『二度と戦争をしない』と誓った不戦の感性がある」と切り出し、7月23日付の朝日新聞に掲載された、元予科練の加藤敦美さん(86)の投稿を朗読した。
  「安保法案が衆院を通過し、耐えられない思いでいる。だが、学生さんたちが反対のデモを始めたと知った時、特攻隊を目指す元予科練(海軍飛行予科練習生)だった私は、うれしくて涙を流した。体の芯から燃える熱で、涙が湯になるようだった。『オーイ、特攻で死んでいった先輩、同輩たち。今こそ俺たちは生き返ったぞ』とむせび泣きながら叫んだ」「人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれ咲いていることすら知らず、五体爆裂し、肉片となって恨み死にした。16歳、18歳、20歳――。若かった我々が、生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるように感じた。学生さんたちに心から感謝する。今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかったのだ」
  千葉さんはこう続けた。
 「この記事を読んだ後、僕は国会前に立つ時、いつも、かつての戦争に短い生涯を散らした先人たちが近くにいて、『がんばれ』と背中を押していてくれるような気がするのです。もう一度、言いたいと思います。大きな理想を掲げて培った、この類いまれなる感性を軽薄に投げ捨てるということは、あの悲惨な戦争で犠牲になったあまたの先人たちに対し、あまりに冒涜的なのではないでしょうか」
  こう安倍首相を一刀両断にした千葉さんは、シールズと首相との決定的違いについて、こう断じた。
 「戦争という全ての人権を否定する、人類の行いで最も愚かな行為に対する想像力が、また、その結果生じる死への想像力が圧倒的に欠如しています」
  シールズの若者たちは利己的考えではなく、元特攻隊員ら戦争体験者の思いに耳を傾け、想像力を働かせながら戦争の本質を見抜いた上で、安保法制に反対しているのだ。
  *「7月23日付」は、「7月18日付」(衆院本会議強行採決の翌々日)の勘違い?

150809 SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編)「利己的個人主義」発言(後編)単純におれは現実を変えたい。

2015年08月10日 01時06分22秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
8月9日(日):

IWJ Independent Web Journal自民党議員の「利己的個人主義」発言で「戦争法案だとバレた」SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編) ~「安保法制反対」国会前抗議で  2015.08.07 
 「戦争をしたくないっていうのが『利己的な発言』であると本当に思うんだったら、そう言ってくださいよ。言ってみてくださいよ、国民に」——。
 猛暑のなか、2015年8月7日に10回目をむかえた安保法制反対の国会前抗議。主催するSEALDsの奥田愛基さんは抗議の冒頭、自民党・武藤貴也衆議院議員が「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義」とSEALDsを名指しで批判したことに触れ、「これは自民党として許容される発言なのか」と問いかけた。
記事目次
・「戦争に行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想」
・戦後の民主主義・立憲主義を否定する武藤議員は「お辞めになられたほうがいい」
・「国会の前でこうやって声をあげることが民主主義なんだよ!」
【奥田さんのスピーチ全編動画】

「『利己的』発言で戦争法案だとバレた」SEALDs奥田愛基さんスピーチ(前編)
■「戦争に行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想」
 「これ自民党はちゃんと説明してほしい。これ自民党として許容される発言なのか。自民党として戦争に行きたくない、戦争をしたくないっていうのが『利己的な発言』であると本当に思うんだったら、そう言ってくださいよ。言ってみてくださいよ、国民に。
 そしてもし、おかしいと思っているのなら、きちんと謝罪をした方がいいんじゃないでしょうかね。戦争に行きたくないのが利己的な発言だなんて、まるで戦争中、戦前の発想じゃないですか。
 だいたい『戦争法案じゃない』とか、『戦争をしなくなる法案です』とか言っておきながら、そんなこと言ったら、『(やっぱり)戦争法案だ』ってバレるじゃないですかね。バレるっていうか、そういう法案なんですけど。そういうふうに自爆したってことなんで、思い切って『戦争法案廃案』と声出していきたいと思います」
 奥田さんは、武藤議員の発言をはじめ自民党議員から、またネット上などで「就活できなくなるぞ」「どこかの政治政党がバックに付いてるんだろ」などと誹謗中傷が巻き起こっていることで、毎日のように取材が来ていることを明かした。
 「毎回思ってるんですけど、記者の方が『どう思われますか?』って言われるんですね。毎回聞き返しますよ、『どう思います?』って」
■戦後の民主主義・立憲主義を否定する武藤議員は「お辞めになられたほうがいい」
 武藤議員は、7月23日の自身のブログで、日本国憲法の「三大原理」である「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」について、「私はこの三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題を孕んだ思想」だとし、「基本的人権の尊重」については「これが日本精神を破壊した『主犯』だと考えている」などと持論を展開している。
 奥田さんは、こうした武藤議員の戦後の民主主義、立憲主義を否定する姿勢について、「この3つの原理は国家の根幹なんですよ。3つの原理っていうのは。それを認めることができないなら国会議員をお辞めになられたほうがいいのではないでしょうか。それが嫌だったら、もうこの国で国会議員はできないと思います」と批判した。
■「国会の前でこうやって声をあげることが民主主義なんだよ!」
 「『学生が煽動して集まっている』って言い方されていますけど、冗談じゃない。馬鹿にするな。集めているのはお前らだ!
お前らがここまで国民を怒らせて、人々を怒らせて、毎週毎週ここに集めてるんだよ!

いい加減にしろよ。国会の中に民主主義が収まっているわけじゃないんだよ。国会の前でこうやって声をあげることが主権在民の意味なんだよ。それが民主主義なんだよ」
 奥田さんは国会に向かって声を張り上げてこう訴え、「憲法守れ!」「勝手に決めるな!」「国民なめんな!」のシュプレヒコールを響かせた。   (取材:原佑介・阿部洋地・遠田哲也、写真:原佑介、記事構成:佐々木隼也)

 日刊ゲンダイ 2015年8月9日
IWJ Independent Web Journal「単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい」――SEALDs奥田愛基さん、「こんな日本で悔しい」と涙(後編)~「安保法制反対」国会前抗議で   2015.08.08
 「8月6日の新聞で『核兵器を日本は運ぶことが可能だ』って書かれている日本が悔しい」――。
 SEALDsの奥田愛基さんが2015年8月7日、安保関連法案に反対する国会前集会で悔し涙をにじませた。
 中谷元(げん)防衛大臣は5日の安保法案の国会で、他国軍への核兵器の運搬について、「全く想定していない。あり得ない」と強調しながらも、「法文上は排除していない」とし、核兵器も運搬が可能であることを認めた。
 翌6日の紙面には、「広島原爆投下から70年」の見出しの横に、「核兵器も輸送可能」の見出しが並んだ。同日、広島の平和記念式典でスピーチした安倍総理は、1994年以降、毎年言及されてきた「非核三原則」に触れず、会場からは大きな野次が飛んだ。
 「なんでおれたちの国ってこうなんですかね?
 奥田さんは声を荒らげる。
 「単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい。次の世代の人たちが、こんなことに悩まなくても済むように、『核兵器は武器か、弾薬か』とか、国会で悩まなくて済むように、もっと声をあげていきたい」
 以下、奥田さんのスピーチ動画と発言を掲載する。
【奥田さんのスピーチ全編動画】
■奥田愛基さんスピーチ全文 
 「このあいだも『何が武器で弾薬か』っていう基準が実は議論されていなかったってことがよくわかりましたよね。
 手榴弾は武器ですか? 弾薬ですか? 『弾薬です』
 ミサイルは武器ですか? 弾薬ですか? 『弾薬です』
 え、じゃあもしかしたら核兵器はどうなんですか? 
 核兵器は『Nuclear weapon』ですが、武器じゃなくて『弾薬です』
 まともに議論してない。新3要件の歯止めがあるってずっと政府は言っていますよね。『3要件あるから大丈夫だ』って。このあいだ、法律の専門家の人とみんなで勉強会しながらこの法案どうなってるんだ、って話し合いました。
 新3要件の1個目についてはみんな議論しているんですけど、2個目、3個目は法案上、明文化されていない。これ国会で今すぐ議論してください。2個目、3個目の新3要件の要件が書かれてない。
 こんなめちゃくちゃな法案で、全然、自国が攻撃されていないのに戦争に行くんですか? 日本は。アメリカに『運べ』って言われたら核兵器運ぶんですか? 
 悔しいですよ。8月6日の新聞で、『核兵器を日本は運ぶことが可能だ』って書かれている日本が悔しい。式典で日本の首相が挨拶して、ブーイングされるような国に生きているのが悔しい。高校生とか大学生も、大人の方も戦争に反対したら『利己的だ』と言われて、しかも国会議員から言われるような国に生きているのが悔しい。
 これから長崎の式典もあるし、8月15日もくるし、そして安倍さんは談話を出すって言っているし…全然期待してないんですけど。なんでおれたちこんな生き方しているんですかね? なんでおれたちの国ってこうなんですかね? 
 負けてられないですよ!
 いいですよ、こんなの理屈は聞きたくない。ネット・ウヨクがどうだとか、そんなのおれは聞きたくない。自民党がどうだとか聞きたくない。単純におれは現実を変えたい。この法案を廃案にしたい。
 次の世代の人たちが、こんなことに悩まなくても済むように、『核兵器は武器か、弾薬か』とか、国会で悩まなくて済むように、もっと声をあげていきたい。
 最近、インタビューとかでも、『これ通ったあとが大事だよね』とか、そんな話ばっかりで、まぁそれも大事なんだけど、次の選挙に勝つっていうのもね。だけどさぁ、まだ通ってないんだよ。
 ふざけんじゃねぇぞ。怒ってるぞ。
 おれは諦めきれないし、絶対に国民主権とか基本的人権の尊重とか平和主義を守ったほうがいいと思っている。誰がどう言ったってそれはそうだとおれは信じている。
 8月15日の前の日、8月14日が今度の金曜日だけど、お盆の時期で人数も減ると思うけど、ちょっと実家帰らずに、今年は国会前にこようと思います。けど、実家帰って友だちと、今、大阪とか神戸とか色んな地元でやってるんで、そっちにもぜひ行ってください。
 憲法守れ!(憲法守れ!)」 (取材:原佑介・阿部洋地・遠田哲也、写真:原佑介、記事構成:原佑介)

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)