アナーキー小池の反体制日記

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#549 勤め人時代(20)道路の仕事⑤

2010年11月27日 | 勤め人時代
融流雪溝の続きです。
一般的には流雪溝といい、川の水で雪を流しさるものなのですが、この設備は温水で雪を融かしながら流すことからボクはこう呼んでいます。
北電火力発電所からの温水は常時来ているわけではありません。
滝川駅が必要なときに駅側が求めるのです。
そして滝川駅構内に分岐点を設け、何ルートかに振り分けます。
市道の側溝に来るのはそのうちの1ルートだけなのです。
駅構内の分岐点では除雪のエリアなどから、頻繁に水量の配分を変えます。
そして水量の少ないルートのところにたくさんの雪を入れられたら、水温は0℃近くまで下がってしまいます。

事前にそのようなことを少しは聞いていました。
でも実態は予想を大きく超える、変動の大きなものでした。
設計の想定の範囲内なら大きな問題は生じなかったのに、水温が低く水量も僅かな場合、沿線住民が一斉に雪を入れたら融けもせず、流れもせず滞り、いずれ水が開口部から溢れ付近が水浸しになる場合が考えられます。
実際にそのような場面になりそうな時がありました。
雪により函渠が詰まり、上流の水位が上がってきたのを目撃しました。
あわてて下流で投雪している人にストップを掛けたところ、しばらくして上流の水圧で一気に流れ、事なきを得ましたが、ヒヤヒヤものでした。
その後、関係する住民を集め雪を捨てるときの留意点などを説明し、理解も得たことから事故は起こらないで済みましたが、事故が起こっても不思議ではない状況でした。

・・・
この一冬、融流雪溝のデータを取りました。
水量と水温の変動により、どの程度の雪が処理できるかを検証したものです。
翌年の夏、札幌のコンサルタントが職場にデータを見せてほしいといってきました。
隣のS市の国道で火力発電所温排水を利用した流雪溝の設計を受託したのだけど、資料が無く困っていたら、このマチにデータがあることを聞きつけたとのことです。
全てのデータを提供し、その後、S市や我がマチの流雪溝の設計に生かされたと後になって聴きました。

この融流雪溝ですが、火力発電所が10年後くらいでしょうか?廃止されましたので、融流雪溝としての役目を終え、ただの道路側溝になっています。
その後設置されたS市や我がマチの流雪溝はいまも健在ですが、経費がかかること、水が溢れる事故が心配なこと(現にS市では店舗が浸水した事故が起きています)、人家が張り付いていないところは歯抜け状に未処理区間が生じることなどから、見直しの声が出始めています。
事業の発端は国による建設事業の発掘で、土建会社とコンクリート二次製品会社への利益供与でしたから、目的は達成しました。
これからは極端に疲弊した中小零細土建業者が生き延びるため、流雪溝を用途廃止し、ショベルカーやダンプカーを用いた除雪に戻すのが一番いいんだと思います。

融流雪溝と流雪溝の件を終わりまして、次回は農林省による国庫補助の道路造成です。
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