アナーキー小池の反体制日記

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#517 サトウ・ハチローと演歌歌手

2010年10月23日 | 教育・文化・芸術・スポーツ
詩人サトウ・ハチローは詩のほか童謡や歌謡曲の作詞をたくさん手がけていますが、演歌の作詞をしたかどうかはわかりません。
きっと、していないような気がします。
サトウ・ハチローの詩は素敵です。
「ちいさい秋みつけた」「悲しくてやりきれない」など、素朴で人の感性に直接響く詩は秀逸です。

子供の頃、テレビで毎週彼が出演して(主に?)母親に関する詩を朗読しているのを観て、詩に現れているとおり素朴で純真な心を持っている人なんだと思い込んでいました。

何年か前です、彼の異母妹の作家"佐藤愛子"の自伝的小説「血脈」を読んでびっくりしました。
その中に書かれているサトウ・ハチローは、とんでもなく邪悪なのです。
欲深で陰湿で放蕩です。若い頃は留置所にたびたび入っていたというから本物の不良で、生涯その性格は変わらなかったといいます。
異母兄妹の父は当時の流行作家"佐藤江緑"なんですが、江緑はどれだけ息子サトウ・ハチローの尻拭いをさせらたのか分らないそうです。
佐藤愛子は小説の中で言うのです、こんな男がよくあんな詩が書けるものだと。
彼女は一度ハチローにそのことを聞いたそうです。
ハチローは即座に「人が感動し喜びそうな字句が自然と頭の中に沸いてくる」と言い放ったそうです。

愛子とハチローは小さい時から仲が悪かったようです。
ですから、愛子の文章を鵜呑みするのは危険です。少し割り引いて読まなければならないと思います。

ハチローは実母のことをたくさんの詩に遺し、評価もされています。
でも愛子はハチローが彼の実母に対して、愛情らしいものを示したことがないとも言っています。

愛子が本当のことを言っているのかどうか分りませんが、そこのところを割り引いたしてもハチローは書いた詩とは裏腹な人のようです。

ボクは、素朴で人の感性に直接響く詩を書く人は、素朴で素敵な感性を持っているものだと思い込んでいました。
でも、それは錯覚なようです。
人に感動を与える作品を提供する人は、その人の人格とは無関係なのが判ります。
人の心を揺さぶる作品は、天性の能力・技術のなせる業だったのです。
少し寂しく思いますが、最近テレビで"演歌"を聴いてそのことを再認識しました。

ボクはもともと演歌を好んではいません。
でも歳のせいでしょうか?
たまたま流れてくる演歌が、妙に心に染みる時があります。
でも、心に染みる演歌を歌っている歌手が、心に染み入る人格の持ち主かというと、そんなことはないのです。
人の心に染み入る歌唱力を備えているだけなのを、みんな知っています。
サトウ・ハチローの詩もまさに同じなんです。
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