こんにちは! ただち恵子です

政治と社会、日々の暮らしの小さな喜び。思いつくままに綴ります。

市民会館等解体工事費の審議・・・「地下杭」の処理をめぐる議論を振り返って

2017-10-29 18:32:39 | 市政&議会報告
27日に開催された臨時議会が早速、議会のHPで録画でアップされている。


市民会館、消防庁舎の解体工事に関わる「地下杭の撤去」になぜこだわったのか?改めてふりかえっておきます。



市は「杭を残置することは廃棄物処理方法違反となるため撤去が必要」という説明を繰り返しされた。

「たとえ費用が軽減できても法律違反はできない」と言う弁明もあった。


当然のことだが「法の抜け穴を見つけて、工事費を安くする」ことを求めてきたわけではない。

法令に即して、問題を整理するすることを私の質疑では主眼としたつもりだ。



一般会計予算総額の3%近く、7億8千万近くの増額補正、そのうち地下杭の撤去費用約7200万円。「7200万円あったら・・・」という思いも当然あるが、問題はそれだけではない。

廃棄物とは何か?

廃棄物処理における自治体の役割と責任とは何か?

そのことを考え続けてきた。




以下、私の質疑のポイントから。


①まず「地下杭」とは、何か?法律上の定義を確認する。

廃棄物処理法(以下法)第2条には「この法律において『廃棄物』とは・・・・」、その4項で「産業廃棄物」の定義をしている。

さらに、この法第2条4項第1号の「その他政令で定める廃棄物」とあり、施行令の2条の中に「九 工作物の新築、改築または除去によって生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」とある。

「地下杭とは、すなわちこれか?」ということの確認を求めた。

答弁は「今、手元に法令がない」というもので「市民会館を支えてきた地下杭は解体後は不要となる。そのため不要物=廃棄物」という答弁だった。


法令が手元になくても、条項は質問の中で引用し、「第何条の何項か?」という質問をしているわけではないので、繰り返し繰り返し「廃棄物処理法違反」と説明してきた市の担当者の答弁としては率直に言って疑問だった。


「杭は、抜いて初めて廃棄物と言える。地下杭が地下にある状態では廃棄物ではない」という建築関係の専門家の見解をお聴きしてきた。

前掲の条項を読めば、その解釈も理解できる。


② 地下杭が廃棄物であるなら、「産業廃棄物の一種」であるということを前提として。

一般廃棄物の処理の責任は基礎自治体である市町村が負っているのに対し、産業廃棄物は「排出する事業者が自ら処理」することを原則としていること。(法第3章 産業廃棄物 第11条)

議論の俎上にあがっている「地下杭」について、「事業者」とは市自身であること。等を確認した。


③「地下杭を残置することが法違反」という法令の根拠について、条文をあげて説明することを求めた。

「明文化されたものはなく解釈の問題」という答弁だった。これは重要な答弁だったと思う。


④ ①で分類するなら「産業廃棄物」であることを確認し、②でその処理の責任は「事業者=市」であることを確認した。そして③で「法令上の明文規定はなく解釈論」ということであれば、市自身が責任を持って「法を解釈する」ことが求められる。


⑤これまで市は、大阪府の産廃処理の担当課に確認をして「地下杭の残置は法違反」と言ってきた。地方自治法上、府も市も普通地方公共団体。広域自治体としての都道府県、基礎自治体としての市町村の役割分担の棲み分けはあるが、それぞれの独自の権能を持っている。市は自らの責任で行う事業に対して、専門家の知見を求めるなど、様々な角度から独自に情報収集も行って判断をしなければならない。この間の経過の中で、そうした努力がされたとは思えない。少なくとも報告されているのは「府の担当課との協議」だけ。


⑥ 法第1条は(目的)として「この法律は、廃棄物の排出を抑制し・・・」と謳っている。「廃棄物の適正処理」を目的に戦後まもなく制定された法律は、改正を重ね「排出抑制」を第一義にした体系となっている。

「何を不要物=廃棄物」とするのか、市として慎重な検討を行うことが求められる。


「廃棄物の抑制により、限られた資源、エネルギー、財源を有効に活用する」ことが、廃棄物処理の眼目。したがって「地下杭の再利用」も検討されることが望ましい。

現実に、そういう考え方を原則としている自治体もあると聞く。



以上が、「地下杭」問題について考え、議論してきたことです。「一般議案の質疑は、質問回数2回まで」という議会で確認しているルールがあって、2回の質問の中に落とし込むのは苦労でした。「答弁漏れ」については、質問回数のカウントに含めないことを求め、これは議長裁量で認められました。


この間、多くの公共事業の事例紹介を含めアドバイスを建築、設計の専門家からいただきました。感謝です。活かしきれなかったところがあって心残りですが。
コメント (2)
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