その日暮らし

田舎に暮らすこの虫は「カネ、カネ、カネ」と鳴くという。

雲と自由が棲むという里で百姓に成りきれるかな?

夢屋工房(つなぐ)

2012-10-28 08:27:06 | 夢屋工房

東日本大震災以来、「絆(きずな)」という言葉が多用されるようになりました。ひとり一人の人間は決して強い者ではないから、助け合いながら生きる…至極当然と言えば当然のことであります。今年、上映されている映画が「ツナグ」…もう一度だけ会いたいと願う死者との再会の機会を設けることができる使者…残念ながら『夢屋国王』は映画も小説も拝見しておりません。
昨日、自家用のタマネギの苗を植えようと思っておりましたら、稲わらの処分をお願いしていた飼料会社に勤めている『サダやん』がやって来ました。最近では、乳牛の飼育には稲わらは使わずもっぱら籾殻を使うのだそうであり、和牛飼育農家で使うとか。通常、コンバインで脱穀し、稲わらは水田で切り刻んでしまうので処分に困ることはないのでありますが、今年作ったもち米は秋の長雨で『クワジマン』家の車庫に積み上げ脱穀したものだから、稲わらが軽トラック一台分ほど積み上げられておりました。軽トラックに一束ひと束積み上げて運ぶだけならさほどの苦労もないのでありますが、一束(イッソク)=6束…二束(ニソク)を束ねて届けなければなりません。我が在所では、束ねることを『まるぐ』と表現するのでありますが、この『まるぐ』作業に使うのが「ツナギ」であります。

 
稲わらを交互に重ね、右側を一周させ

 
穂先を人差し指に引っ掛けながら、左の親指で輪を作る。

 
その親指で、反対側の穂先を輪の中に引き込んで、稲わらを両側から引っ張れば「ツナギ」の完成であります。

要所々々を画像に残しても、何をやっているか良く分からない。指先が作業を覚えているので、口で説明してくださいと言われてもなかなか辛いものがあります。昔は、ヤギとか牛とか各農家で飼っていたものだから、稲わらを保管し敷き藁として使ったものです。家畜が踏んだ敷き藁は、外に積み上げ堆肥として畑や田んぼで使われる。「有機農業」を意識しなくても「有畜農業」は、植物残渣を上手に農地に還元していたものであります。『夢屋国王』の場合は、子どもの頃、田んぼの畦畔に腰掛けながら、遊び代わりに「ツナギ」の作り方を祖母から教わったものであり、もう、何十年も作ったことなど無かったのでありますが、口で説明するより指が覚えている状態なのでありますよ^^;
子どものやることだから、上手に出来ても下手でも怒られない。2時間30分ほど掛けて稲わらを『まるって』おりましたが、友人が助っ人に来てくれたから続けられた作業であります。私の祖母の場合も、もしかしたら退屈しのぎに孫に「ツナギ」の作り方を教えたのかも知れません。今では、稲わらも「ツナギ」も無用の長物となっておりますが、祖母と孫が畦畔に腰掛けながら秋のお日様を浴びて「ツナギ」を作る。貧しいかも知れないが、今ほど殺伐とした記事は無かったと思える時代の話であります。

注)ちなみに、量販店ではきれいに『すぐって』(稲の葉のボサボサを取った状態)ある稲わらが2束ほどで、500円ほどする時代ですから、決して無用の長物でもないのでありますが、手間にならないということでありましょう^^;


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