知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

グローバル化の裏の顔

2019年11月27日 | 国家論
 グローバル化は、なんとなくプラスのイメージがある
と思います。

 他の国文化にふれあう、
 安く外国製品が買える、
 人、物、金の移動が自由になるので、自由の恩恵が手に入る。

ただ、
 別の側面から見ると、競争に否応なく巻き込まれる
という面があります。

グローバル化は、弱者にとっては過酷なものとなります。
それが、
 格差を生み出し、大きくしていく
という側面です。


*****
現在、
 日本国民というだけで、相対的に給与が高くなっています。

人物金が自由となれば、
 価格競争に巻き込まれるので、給与は安くなっていく。

企業が海外に工場を移したがる理由は、人件費の削減です。

また、アメリカ市場で売るなら、アメリカ近郊のメキシコなどで作った方が、
 輸送コストも削減される。

多くの日本人は、グローバル化によって、
 低所得になっていく
わけです。

ただ、能力の高い人材は、グローバル化によっても希少価値はなくならないので、
 他国の企業から高額な給与で引き抜かれたりします。


日本の企業も引き抜かれないように、転職されたら困る社員は、
 給与を高く設定したり、オプションを設定するなど
 社内にとどまるようにする
ことになります。

これにより、
 格差はどんどん広がっていきます。


*****
トランプは、グローバル化の負の面に着目し、
 アメリカにとっては不都合だと考え、保護主義の政策を掲げています。

ただ、これができるのは、
 アメリカが「軍事力」という強制力
をもっているからです。


中国は、外貨を稼ぐには、グローバル化により、
 大量の中国人を輸出したり、工場の従業員にしたりする方が得なので、
 グローバル化を推進しています。

グローバル化がよいからというより、
 自国の利益になるから推進している
わけです。

中国が富を蓄え、グローバル化がアメリカのように不利になると政策を転換させるはずです。
ちなみに、中国は日本企業が撤退しにくいように、投下資本の持ち出しを禁止しています。
これでは、人物金の出入りを自由にするグローバル化推進国家とはいえないと思います。
さらに、日本人が7月から拘束されているというニュースが本日、報道されています。


アメリカも、グローバル化が国内製造業や従業員にとっては不利だから、軍事力を背景に
 保護主義的な動き
をとっているわけです。

日本が不利な状況で合意したなど野党は批判していますが、
 安全保障を頼っているアメリカと対等な交渉などできるわけがない
ことは、当然認識しています。

民主党政権時の外交交渉をみてほしいものです。


*****
現在、中国は、軍事力と資金力を使って、
 自国の影響力を高めています。

ASEANも中国の脅威は認識しているものの、
 得意客に変わりはない
ため、
 関係悪化は避けたい。

特に、オーストラリアは、
 中国を怒らせ、制裁を受け、経済への悪影響を痛感させられたので、
 現在亡命中の中国人の取り扱いに頭を悩ませている
ようです。


*****
グローバル化の裏の顔は、
 GAFAのような巨大企業が強くなりすぎる
ということです。

国内企業であれば、独占禁止法と税制により、
 企業が強大化し、不当な利益を上げることに対応できる
わけですが、
 世界的な企業の場合、なかなか国内法で対処する
ことは難しい。

世界的な巨大企業は、租税回避措置を行い、
 それぞれの国に税金を納めていない。

これを問題とし、ようやく、
 国家間における租税回避措置についての議論
が始められました。

ただ、世界政府のようなものがなければ、
 完全に公平な実効性を有する税制など実現できない
と思います。

税金を納める方からすれば、
 できるだけ安くしたい
と思うのは自然なことです。

納めてもらう国家からしても、
 うちで納めてほしい
と思うはず。

ふるさと納税だとイメージしやすいと思います。
どこでも自由に税金を選択できるというのであれば、
 お得なところで納めたい
と思うわけです。

地方自治体は、
 うちで納付してもらうためにプレゼントを奮発する。

これにより、
 プレゼントを奮発できる自治体
に寄付金が集まることになる。

そのため、
 地方自治体間で格差が生まれる。

グローバル化が進んで、 
 好きな国で税金を納められる
ということになれば、
 一番得な国に本拠地を置いて、税金を納める。

 納めてもらう国も、少しでもいいからうちで納めてください
ということになるわけです。

そうならないようにするには、
 ふるさと納税で、上限などのルールを決めた上の権力(国)の強制力
が必要となります。

ただ、国の上はないので、
 そのような強制力は存在しない。

そこで、租税に関する条約を締結する必要が出てくるわけですが、
 こういう性質の条約は2国間条約では意味をなさない
ので、
 多国間条約を締結する必要があります。

ただ、
 各国で税制が異なるため、とりまとめていく
ことは難しい。

地球温暖化に関する多国間条約なども、
 各国の思惑が異なる
ため、意見の一致は得られないわけです。


そのため、グローバル化が進めば、
 各国間で、優良企業の獲得競争が激化するようになるはずです。

アマゾン・ジャパンは、膨大な利益を上げていても
 日本に法人税を払っていない。

https://president.jp/articles/-/29552



*****
税制で格差解消をはかってきたのが日本です。
累進課税や相続税がその一例。
日本がアメリカと比べ、格差が少ないのは、
 こういった税制と役員報酬の相場が影響しています。

それが、グローバル企業で、税金を納めないでよいということになれば、
 企業間の格差是正機能
は働かなくなります。

さらに、強力な存在となれば、
 独禁法違反に該当する行為を強いる
ようになっていきます。

1%を契約店に負担させようとした事例で、独禁法違反の疑いで捜査され、
 結局撤回する
ということになりました。

ただ、アマゾンにより、消費者が受ける恩恵はあります。

これが、
 消費者の利益と国家の利益(税制の問題)
とのジレンマになります。

ひいては、
 グローバル化(自由主義)政策と保護主義政策とのバランスをどうとるか
の問題です。


*****
ちなみに、
 日本人は、給与が相対的に高いため、グローバル化により、
 給与は基本的に下がる。
 ただ、安い商品は入ってくるので、なんとかやっていける。

しかし、
 仕事自体がなくなっていくと、安い製品すら買えない
という事態になる。


日本が大量に保有している米国債が暴落したり、
プライマリーバランスの懸念から国債が未達になったりして
 円安が加速する
と、
 安い商品が円安により高くなる
ので、
 生活が苦しくなる。



政策は50年先、100年後を考える必要があります。
グローバル化について、
 国民的な議論が必要だと思います。

本日、農業への派遣制度を認める法案が通りました。

食は、国家の礎なので、もっと発展するように戦略的に動いていく必要があります。
日本の国民が幸せに暮らせるようにする。
これが、国家の役割です。

ただ、その国家を作り上げるのは、国民の選挙権です。

現在、国民は、質の低いメディアの影響で、
 国益について考え、自分と家族と社会のために、がんばろう
というポジティブな未来を描けなくなってしまっています。

世界を見てみれば、この国のすごさは分かると思います。
歴史を見てみれば、現在が恵まれていることが分かります。

メディアは、マイナス面ばかり強調し、
 韓国の幻想の歴史に振り回されてしまっています。

 日本国民が協力して、自分と国家のために、がんばっていこう
とでも言おうものなら、
 全体主義者のレッテルを貼り、戦争に向かっていくかのような印象操作をする
ことでしょう。

国旗や「君が代」を憎む教師の下で、
 自分や社会・国家のためにできることをがんばろう
という子供は育ちにくいと思います。

ただ、
 実は、多くの人の心には、潜在的に国民意識が根付いています。
天皇陛下の写真を燃やす画像を見たり、特攻隊の若者を侮辱する展示を見れば、
 心を傷つけれ悲しい気持ち
になる人が多いと思います。

海外に行ったり、外国人の友人と語り合えば、自分が日本人だと実感させられることになり、
 日本食や日本の文化、日本の精神性っていいな
と気づかされると思います。

 東京で暮らすと、ふるさとの料理が懐かしくなる
のと同じです。

ラグビーやオリンピックで日本を応援する気持ちも同じです。


思想信条、表現の自由は認められているわけですが、
 政権批判と反日の活動を混同するメディアや野党議員を目にする
と、悲しい気持ちになってきます。


*****
グローバル化の価値は、
 日本国民であることを誇りに思いながら、海外を尊重し、共存共栄を図る
ということであり、
 地球民の一体化
ということではないと思います。

世界中、どこにいっても同じような文化、思考、環境だったら、面白くないはず。

違いがあるから素晴らしいのであって、
 その違いを生み出しているのが、民族や国家といったもの
であって、
 それぞれの民族や国家を尊重し、協力し合う
ことで、
 より幸せに暮らせるようにする
のが、グローバル化の価値だと思います。


中国のように、ウイグルやチベットを同化させて支配することは、
 グローバル化
ではないわけです。

グローバル化の様々な面を考慮に入れ、
 保護主義政策とのバランスをとりつつ、世界の一員として発展していく。

今の世界中の格差是正のデモは、
 低賃金でこき使われる
など、
 巨大グローバル企業に支配されることへの恐怖
が背景にあると思います。

ウーバーのシステムは、
 労働基準法を回避する偽装請負
であり
 低所得で働かせるシステム
だと考えられています。



では、どうすれば、将来にわたり、幸せに暮らせるようになるか?

これが、
 国民の課題
であって、
これを実現するためのスキルを教えるのが、
 教育の役割
だと思います。

偏差値で、格差の概念を植え付けるのではなく、
 自分で稼ぐスキル、過酷な社会で生き抜く処世術
を身につけさせるのが、
 学校の役割
なわけです。

今までは、豊かな日本の遺産を享受できたので、
 社会経験のない社会で役に立たない教師(教科書ガイドを読むだけの教師)でも足りていた
かもしれないですが、
 今後は、グローバル化社会により過酷な競争に巻き込まれる
ため、
 賢く生き抜く「知恵」を習得する
必要性が増してきます。

知的に成長することで、
 どんな環境でも対応できるようにする。

ピンチをチャンスに変えるスキル。
スキルをお金に換えるスキル。
悪党からお金と身を守るスキル。

残念ながら、一般的な教員において、身につける機会がありません。

だから、自分で本を読んだり、実現できている人に教えを請うたりして、
 習得していく
わけです。

孔子の周りに人が集まったのは、まさに、こういう理由からです。
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