知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

社会について考える2

2014年02月17日 | 国家論
前回では、
 弁護士は、線路を切り替えない。

なぜか?
今回はここから。


これは、刑法を知っていれば分かること。

線路を切り替えて人を死なせた場合、
 数人の命を守るために、あの人が死んでも構わないと思い線路を切り替える
と、
 殺人罪の構成要件に該当
します。


えっ、数人を助けるためなのに?

でも、人を死なせた事実は、消えないわけです。

でも、かわいそうじないか?
数人を助けるためにやむをえずにした行為なのに、
 刑法に該当するなんて…。

確かに。

そこで、
 こういうケースでは、緊急避難(刑法37条)で罰しない
とされています。

刑法37条
1.自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、
やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。

刑法では、構成要件に該当するけど、
 違法性がない
とか
 非難できない(責任がない)
など犯罪を成立させないための要件を定めて、こういうケースを救済しています。

でも、うっかり、切り替えたあとで、亡くなった人が多かった場合には、
 緊急避難にあたらなくなる
おそれがあります。

こういうのを
 過剰避難
といいます。

リスキーですよね。
だから、弁護士は確実に人が死ぬと分かっていたら切り替えない。


えっ、でも、数人を見殺しにするの?

仮に、何もしなくて数人を見殺しにしても、
 犯罪にはならない。

なぜか?

犯罪は、自分の「行為」を罰するものなので、
 原則として、何もしないという「不作為」は刑法の構成要件に該当しない
わけです。

例外的に、作為をしなければならない義務がある場合に、しない場合には不作為は処罰されますが
(保護責任者遺棄罪など)、例外的なケースです。


行為しないことが自分の身を守ることになるわけです。

何もしないで見殺すことが、法的には正解だなんて、おかしいじゃないか!!

確かに、たくさんの命を守るための行動を取った人が、
 処罰されるおそれがあり、
何もしないで見殺しにした人が
 そもそも処罰される可能性もない
なんておかしいような気もします。

そこで、「法」って何?ってところを、次回見て行きましょう。

(次回へ続く)
コメント
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